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KBO新外国人選手まとめ

2018-19年にかけてのオフシーズンは外国人選手の補強が早かった。

なぜ補強が早く進んだのか?

考えられることはただ1つ「このオフから年俸やオプション、譲渡金含め100万ドルまでというルールができた」からである。それにより良い選手を安く獲得するにはルール5ドラフトが1つの区切りになる。ルール5ドラフト開催時にはMLB30球団が40人枠に入れる選手を全て決めた時。裏を返せばお宝がまだ40人枠外にいるということになる。だからこそ躍起になる。NPBの球団も動いているがお金を出すので比較的慌てている様子はなく、リミットを設けず年明け後も補強する印象である。
では、どのような選手が韓国行きとなったのか。キーワードとしては「将来性と今後のMLB挑戦」「100万ドル以内で獲得できる精一杯の補強」、「金より出場機会」と「想像以上に割高」である。

「将来性と今後のMLB挑戦」

MLB経験者が多い中、これまでとは違う部分で注目すべきなのは20代半ばでのKBO進出である。マイナーリーグにいてアピールできればMLBに進出できるがそこまでの過程において年俸が安い、移動はキツイ等現実は厳しい。また、昇格したところですぐDFAされたりマイナー降格の世界も待っている。そこで、一旦MLBの夢を置いてKBO行きに来る選手が多い。エリック・テームズやメリル・ケリーがKBO→MLBで複数年契約という確実な投打の実証例を作ったことが大きい。
ブロック・ダイクゾーンはSKワイバーンズと70万ドルで契約した。MLB経験はないが来年25歳と若く、第2のメリル・ケリーとして期待される。アストロズは将来のメジャーリーガーでひしめいている部分もケリーとの経緯が似ている。また、ジェイミー・ロマックと同じカナダ人でオフには2人でトレーニングを行う仲でもあるためすぐに馴染めると思われる。

ジェイク・トンプソンはデトロイトタイガースに入団、ホアキム・ソリアとのトレードでTEXへ、その後ハメルズとのトレードでフィリーズへ移籍した。元トッププロスペクトだったがメジャー3年間で結果は残せずブルワーズとマイナー契約していた。来年25歳。若いが今後のMLB定着を考えると焦る立場だったのだろう。ロッテジャイアンツと年俸76万ドル+オプション14万ドルで契約した。現時点では韓国行きが最も金を貰える場所だろう。そして好投し、4〜5年後にはMLBと複数年契約を目標にすると思われる。

トミー・ジョセフは2016〜17年シーズンで2年連続20本塁打と打ったバリバリのメジャーリーガー。今季はマイナーのみだったがアジア行きは意外であっただろう。しかし、現実は甘くない。一塁専門の長距離砲はもはや需要が無くなりつつあるのだろう。来年28歳。MLBへ良い形で復帰できる可能性が残されている。もちろんNPB行きも将来的にあるかもしれない。元捕手という部分でもハンファと阪神に在籍したウィリン・ロサリオに似ている。注目したい。

ラウル・アルカンタラジェイコブ・ターナーも20代と若い。特にターナーは全体9位とトップ級だが中々開花せずにメジャーを7年過ごしてきた。ここで活躍できなければ終わり、活躍すれば再注目されるというキャリアの分かれ目とも言える。
MLBでもドラフトで1巡目指名され、トッププロスペクトとして期待された選手がKBOに来たという印象である。皆、将来のMLBを目標としているのだ。果たして定着できるかに注目。

100万ドルで獲得できる精一杯の補強

100万ドルまでという縛りでは当然マネーゲームで負けてしまうのは目に見えているしこれまでのような100万ドル以上で補強することすら無理になったのだ。例えばニック・マルティネスは日韓とのマネーゲームで日本ハムと契約したし、アドニス・ガルシア(元LG)はATLへの譲渡金を含めれば150万ドル近くになるのだ。
ジェレミー・ヘイゼルベイカーエディ・バトラードリュー・ルチンスキーはそれに該当するだろう。

金より出場機会

日韓の球団との争奪戦は実際あった。NPB球団が100万ドル以上を出せばKBOは撤退するのは目に見えている。だが、KBO球団と契約する例が二例あった。それはワーウィック・サーポルドデック・マクガイアだ。NPB球団はサーポルド140万ドルを提示した。おそらく先発・中継ぎをこなせる枠が欲しいヤクルトではないだろうか?まずこの時点でKBOは撤退だろう。しかし、勝ったのはハンファイーグルスだった。ハンファは年俸制限以前から獲得に興味を示していた球団で、譲渡金・年俸・オプション込みで計250万ドル提示したが拒否された過去があった。今回は契約金・年俸で総額100万ドル。FAだったというのも最高のタイミングだったがなによりも「1年間先発保障」が大きかった。NPBならまず先発、無理なら中継ぎのような起用方法になってしまうし、2軍漬けでシーズンが終わることもある。金が多くても自分が投げて1軍の優勝に貢献できないという部分も嫌な外国人選手もいるはず。起用保障が契約に結びついた形だ。

想像以上に割高

100万ドルまでの縛りと言われたら補強できるラインが限られているように見える。しかし、裏を返すと「100万ドルまでなら確実に貰える」というのを見越して選手や代理人が交渉し、契約したという事例がKBO関係者間ではもっぱらな話題だ。
カルロス・アスアヘはロッテジャイアンツと年俸55.1万ドルで契約した。そこは安いので問題はない。しかし、テキサスレンジャーズへの譲渡金交渉で割高と感じるのだ。球団間では非公表としているが40万ドルはTEX側に払ったものと思われる。となると総額100万ドルだ。球団は、長距離打者ではないが二塁打・三塁打を量産するタイプでチーム内のソンアソプに似ているという。また、盗塁は少ないが潜在能力はある、守備では失策の少ない堅実な選手として期待しているという。しかし、175cm71kgと小柄であり守備は堅実でも守備範囲はそこまで広くないというリスクも抱えており不安が大きいというのが現状だ。

クリスチャン・ベタンコートといえば二刀流で有名だった捕手だ。パワーと走力とマルチ守備の選手はたしかにマイナーには少数だが、NCダイノス総額100万ドルは割高という印象である。PCLで20本塁打というのがどれくらい凄いかはわからないがかなり不安点が多い。また、守備→投手スイッチはKBOでは禁止されているので二刀流を見ることはできない。果たしてどうなるか?現時点ではポジションがどこメインなのかも想像につかない。

ケイシー・ケリーはLGと総額100万ドルで契約。レッドソックスの元有望株だがマイナー成績は特別凄いというほどでもない。ポジ要素はマイナーではほぼ先発登板だったこと、はまればKBOに合った投手ではあるがリスクも大きい。

今後への未来投資は?

MLBやNPBを見れば、KBOはレベルが低いと認識されているような印象があるし見下されている感じもする。にも関わらずNPBはKBOルートで外国人選手を獲得する。過去に失敗してファンが発狂してもだ。ルートから獲得した選手はバンデンハーク、ロサリオ、ハフなどだ。
また、KBO→MLBルートもできたことで全体のリーグ水準は低いと思うが、外国人選手たちは以前よりも成長する。
外国人選手が活躍すればKBOの地位も必然的に上がる。育成型外国人選手を日米に逆輸出できるかもしれない。選手会と球団への損失も含めれば輸出する現実性は0に近いが、新たな収益モデル構築のためにも必要なことだろう。
#MLB #KBO #新外国人選手

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