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ナウイミクトラン考察『ORTが目覚めたのはテスカトリポカによって星殺しが行われたからではないか』

※この記事にはFGO第2部第6章と第7章のネタバレが含まれています。

ORTの概要と今回の考察方針について

FGO第2部第7章、黄金樹海紀行ナウイミクトラン。今回の異聞帯はかなり謎が多い。とりわけ私が不思議に思ったのは、『なぜORTが目覚めたのか』だ。今回はそれに焦点を絞って考察していこうと思う。

そもそもORTとは何か。FGOで公開されている情報だけを並べるとこうなる。

  1. 16世紀に中南米で発見された地球外生命体

  2. 彗星のアルテミット・ワン

  3. 探索にきた冠位グランド1人と色位ブランドの魔術師6人を殺害。冠位の遺言は『次の紀を待て。我々が絶滅した後、新たな進化を経た生命に、望みを託す』

  4. ORTは星の叫喚がないかぎり目覚めない。

  5. ORTが動き出すとこの星の人類圏が失われる。

  6. 西暦3000年までの人類の技術では解析不可能。

上記のとおりである。今回は上記の情報と、作中で明かされたテスカトリポカとデイビットの目的と言動から、ORTが目覚めた理由を探っていこうと思う。

ORTの目覚める条件

ORTは星の叫喚がないかぎり目覚めない。ここでまず疑問になるのが、『星の叫喚とはなにか』である。
これはおそらく奈須きのこが過去に書いた短編小説『鋼の大地』の設定資料集に書かれていた、『地球が自らの死後も生き延びている人類に恐怖を覚え、死ぬ寸前に「どうか、いまだ存命する生物種を絶滅させてほしい」と発したSOS信号』のことだろう。
タイプムーンの世界観では星にも魂と意思があるとされている。この星は人間を始めとした生き物が住む土地であり、一つの強大な生命でもあるのだ。その生命が絶命する時に発する断末魔の叫び、それが星の叫喚である。
ORTはこれを聞いて目を覚ます。地球の最後の願い、地上に残った生命全ての絶滅を実行するために。

テスカトリポカとデイビットはどうやって星を殺したか

ORTの目覚めには星の叫喚が必要である。逆説的に、『ORTがこの異聞帯で目覚めたのは星が殺されたから』と言えるだろう。
では誰が星を殺したのか。容疑者は2名。ORTによる星の滅亡を目的としているデイビットとテスカトリポカだ。
なぜそんなことをするのか、という動機がさっぱりわからないので、あくまで容疑者だ。妄想でいいなら思い付きが2点ほどあるが、それは割愛しよう。今回はどう殺したかに焦点を絞る。
結論を先に言おう。私は『テスカトリポカが空想樹の魔力と自身の権能を使って、星殺しを行ったのではないか』と考えている。
テスカトリポカの権能は『そのルールの中で起きうることであれば、自在に引き寄せられる』というものだ。テスカトリポカは作中で令呪一画と自身の臓腑を犠牲にし、何日か後の未来を現在いまに持ってくるという離れ業を見せつけた。

何日か後に起こる確定された終末みらい


この際マシュやデイビットなど、現在のメヒコシティにいる生き物に変化はなかった。変えたのはメヒコシティの今と未来だけだ。この点から、『テスカトリポカは生物には一切手を出さずに世界を変革できる』という事実ができる。

この事実から私は一つの仮説を練り上げた。
ミクトランより上の地上世界、『黙するイルウィカトル』には、2億5200年前から6600年前に存在していた超大陸パンゲアがあった。そこは太陽の光も通さない分厚い積乱雲と水のない乾いた大地、噴火し続ける火山だけが見える原初の地獄だ。そこでは生命が生まれることも、生きていくこともできない。星が夢を見ることもない。文字通りの『全てが死に絶えた世界』だった。

カルデアの面々が観測したこの世界は、本当に最初からそうだったのだろうか。思い浮かんだのは、第2部第6章でモルガンが行った過去の改変である。元々のブリテンは数えるばかりの幻獣や妖精がちらちらと辺りをうろつく、文明圏のない行き詰まりの世界だった。そんな世界をモルガンはレイシフトを利用し、過去を改変することによって、妖精國ブリテンという特異点に変化させた。

テスカトリポカも同じように自身の権能を使い、元々あった現在の異聞を、遥かな過去に存在した地獄に書き換えたのだ。当然そんなことをすれば現在いまを生きていた生命は急激かつ過酷な環境変化に適応できず、絶滅するだろう。
ただ作中の描写から、テスカトリポカ自身の力に頼った場合その環境変化は数10分程度しか続かないようだ。あの世界は文字通りの地獄だが、生命とは人間が思うよりも強靭だ。たった数10分では全ての生命を殺すには足りないかもしれない。だが異聞帯には、その数10分を何100日に変化させる力がある。

空想樹だ。空想樹の内部には膨大な魔力が存在する。ブリテンではモルガンが大厄災によって死滅した何百もの妖精たちを、空想樹の魔力を使い蘇生させている。それと同じように、テスカトリポカはこの星を『死の惑星』に変えるために空想樹を使用したのだ。
この説には一つの穴があり、空想樹がない異聞帯はこの星には根付かない。だから地上をあの環境に変えるために空想樹を枯らしたのなら、この異聞はとっくの昔に消えていないとおかしいのではないかというものだ。
それについてはこう考えている。マヤの神話では、緑のセイバというものが存在する。それは世界の中心に存在し、天界13層、地下9層を繋げる巨木だ。今回の舞台がミクトラン地下9層である以上、この緑のセイバが南米の空想樹になっているとみて間違いないだろう。
テスカトリポカは天界13層にあたる空想樹だけを使い、地下9層の空想樹は残したのだ。それはORTの目覚めるもう一つの条件をクリアするためである。

地上に残っていた全ての生命と大地を殺し、再生の目も潰したことで、『地球は死んだ』。ORTが目覚める条件はもう一つ、『死んだ地球になおも生存圏を拡大していく霊長がいること』である。
勘が良い人なら察しがついたかもしれないが、この霊長とはオセロトルたちのことである。テスカトリポカが用意した彼らはたった1年という短い期間で神殿と街をつくり、汎人類史の文明をこの異聞帯ロストベルトに定着させた。メヒコシティでは既に10万人ものオセロトルたちが生活している。

オセロトルは普通の人間よりも生き抜く力が強かった

それなのに数の増加は全くというほど衰えない。先にミクトランに住み着いていた先住民、恐竜人ディノスたちを殺しながら生存圏を拡大させ、今も数を増殖させている。

地上ではありとあらゆる生命いのちが絶えたのに、死者しかいないはずの冥界には生命が溢れている。

地球からしたら鳥肌物だ。自分が眠っている墓場の中で、生命の誕生と生の喜びを声高に言祝ぐ奴らがいたら誰だって気持ちが悪いだろう。
完全に意識がなくなる前にこう叫んでもおかしくない。『誰かあいつらを殺してくれ』と。

この考察を裏付ける根拠

第9節『失われた水の都』で、牢屋でデイビットとカドックが対話するシーンがある。そのなかでデイビットはテスカトリポカについてこう語っている。

このセリフ、ただの物の例えにしては妙に真実味リアリティがある。まるで本当に体験したかのような物言いだと私は感じた。
ではこれが真実だとして、デイビットの持つ預金とは何か。
コフィンから目覚め、生身一つで異聞帯に送られたデイビットが蓄えていた物なんて、空想樹にため込んでいた魔力、これしかないだろう。身体は五体満足、令呪は一画失われているがテスカトリポカが勝手に使えるものではない。なによりテスカトリポカが欲しがるのは『戦いに使える兵器』だけだ。デイビット個人の持ち物に興味を示すとは到底思えない。
デイビットがちょっと目を離したすきに地上に上がり、テスカトリポカが空想樹の魔力を使い地上を壊滅させた。彼が地上の変化に気づいた時にはもう、後の祭りだったのだろう。

右手の令呪を一画使ったのは案外その時かもしれない。『自身の命令なしに権能を使うことを禁じる』などの命令で、2度と勝手な真似をしないようにテスカトリポカを縛ったのだ。
本来なら主神クラスのサーヴァントに、令呪による強制命令権などほとんど効きもしないだろう。だがテスカトリポカはただの人間を依り代にした疑似サーヴァントだ。令呪一画で十分縛り付けられる。

今までの考察から組み立てる星殺しの流れ

今まで積み上げた考察とシナリオで判明している事実から、デイビットとテスカトリポカが南米異聞帯にきてから行ったことをざっくりとまとめると以下のようになる。

デイビット、テスカトリポカを召喚。地上を軽く見聞した後、ミクトランへ。

ミクトラン第5層に神殿とオセロトルを召喚。汎人類史のルールを定着させるために行動を開始。

テスカトリポカ、デイビットが目を離した隙に地上へ。空想樹に溜まっていた魔力を使い、地上を過去に存在した地獄へ変えた。地上の生命と大地は死に絶える。ORTの覚醒条件の一つが解除される。

デイビット、一画目の令呪を使用。テスカトリポカの権能使用に制限をかける。

NFFサービスの銃火器をテスカトリポカが自作できるようになり、オセロトルたちによる恐竜人ディノス狩りが加速。恐竜人ディノスのメスはほとんど絶滅し、恐竜人ディノスの絶滅が避けられない物になる。

生存圏の拡大に伴い、都市が繁栄。オセロトルの増殖が加速する。ORTの覚醒条件の二つ目が解除寸前。ORTの覚醒までもう数十日の猶予もない。

カルデア到着。メヒコシティにてテスカトリポカが権能を使用、ORTが覚醒したメヒコシティを見せつける。ORTが目覚める未来は今のところ確定していると宣言した。

考察を練った感想。次の考察について

ここまで考察を練り上げたが、自分自身、まだ抜けているピースがあると感じている。
例えばオセロトルたちが恐竜人の心臓を捧げている理由がわからない。
テスカトリポカの目的はORTの覚醒だ。そしてオセロトルたちはテスカトリポカを信仰し、その指示に従って行動している。だからオセロトルたちがとっている行動はORTの覚醒に繋がるものであるはずだ。だがORTの目覚めに供物がいるなんて話は聞いたこともない。捧げた心臓は川を伝い、冥界の最下層へと流れているらしいが、何のために心臓を捧げているのかがわからないのだ。

ミクトランはわからないことだらけで、自分の考察だけでは限界があると感じている。多くの人の考えを見ながら、1月下旬に始まる後編までに考察を積み重ねようと思う。
手始めに、次はデイビットとテスカトリポカの目的について考察してみようと思う。1月下旬までには完成していると思うので、興味がある人はまた覗きに来てほしい。

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