女体欲とその葛藤
夏も終わりになってきました。少しだけ涼しい風が吹き始めましたね。
ただ、まだこの季節、女性の薄めでセクシーさを醸し出した服装をしています。中には、ものすごい格好をしている女性もいます。男性として、この事は嬉しい反面、なんとも複雑な思いがあるのです。というお話。
よく巷で聞く話では、「そんなはしたない格好をしていたんだから、性被害にあった女性が悪い」と言われるらしいですが、これには断固として反対します。被害を与えた犯人が100%悪い。明白です。
ただ同時に、モヤることも事実なのです。
モヤることのひとつは、こちらとしても性欲のある男性なので、そういったセクシー爆発な服装をした女性を見ると、単純に性欲でモヤモヤする。ちなみに、「性欲」は正確にいうと「女体欲」だと思います。
モヤることのふたつめは、こちらとしても社会性のある人間なので、こういった情動を直接に行動に移すわけにはいかない。理性で抑え込まなければならない。なので、見たいけど見てはいけなくて、目のやり場に困る。声をかけてみたいが、素直に考えてそんなことは迷惑なので我慢する。そういった葛藤が内部で生まれモヤモヤすることで心が消耗します。
こういった事象が男性の中で起こっていることを、セクシーな服装をする女性は少しでもいいので自覚してもらえたらな、と思うわけです。
もちろんそれは男側の都合で、そんな心がけをしろ!と強制できる話ではないです。着たいものを着る自由はあります。それを止めさせる権利は誰にもありません。ただ、そんな思いをしている人間もいるのだ、という想像力をふと何かの折に思い出してみてほしいのです。
例えばかなり極端な想定ですが、ハンバーガーを食べながら、お腹を空かせた難民の人たちの前を歩くでしょうか? 想像力があれば、その人たちがハンバーガーをどういった思いで見ているかをイメージすることができます。もちろん、そこで強盗にあってハンバーガーが盗まれたら、それは犯人が100%悪いです。ただ、そういったことが起こる可能性が高いことは想像可能です。
さて。
では、「地味な格好をして街を歩けばいいのね。それで問題は解決」とはいきません。これが女体欲の業が深いところです。
女体欲のエネルギーは消えるわけではないので、どんなものにも投影されてしまいます。地味な服装でもその中に女体があれば、やはりそこに欲望を持ってしまう。それが女体欲です。隠せば隠したで、逆に欲望を掻き立てる。やっかいです。
もちろん女性への欲望として、人間同士として親密になりたいという気持ちもあります。ただ、この消しきれない女体欲は男性の業です。
さらに女体欲には、「女体を消費したい」という女性に対する加虐性が含まれている。
冨樫義博の『レベルE』という漫画で、好きになった女子を文字通り「食べたくなってしまう」本能を持った異星人の話があります。これは極端なファンタジーですが、「女体を味わいたい」という欲求を男性は少なからず持っていると思います。
というわけで、かなり赤裸々に自分の心の内ならぬ内臓の内を晒してみました。そういう業を自分でも持て余しながらどうしようもなく抱えている存在がいる。そのことを、ここで控えめに提示しておきたく思った次第です。
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