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Decision making, Interpersonal relations and conflict resolution ‐Retrosuburbia読書会第5回34章‐

私たちの暮らしにまつわるルールは、家族やパートナーとのの関係性の中で、秩序だてられてゆきます。時間を長く過ごして、関係が深くなってくる間柄であると、はっきりと言葉としていないにも関わらず、自分たちの間でルールができることは、多くの人が経験されていることでしょう。最初は、いいことをしようと人々が集まったとしても、『紛争解決のスキル』『有効な意思決定の方法』が欠けていることによって、物事がうまくいかないことが多くあります。

例として出ていたのは、エコビレッジの取り組みで、食べ物を自給自足にすること、エネルギーを再生可能エネルギーにすること、地域コミュニティで、マルチ機をシェアすることなどが行われてきました。さまざま困難が、このような活動の中で生まれ、乗り越えることに情熱を傾けられることや、意義があるものがある中で、もっとも魅力が感じられず、つまらなく思える困難が、マルチ機のシェアだったと言います。

いつまでに返すという期限に帰ってこない、また貸しをする、壊れたなどの問題が発生することによって、地域内でいい関係性を築けていたとしてもそれがすぐに渋くなるという事が発生します。特に、地球にいいことをしよう、持続可能な暮らしを作ろうと思っても、これらの課題につまづいて、人々が自分たちの暮らし方を変えてゆこうという機運がなくなってしまうことがあるということも危惧されていました。

意思決定、対人関係、紛争解決の課題は、人と人とがかかわる中出てくる課題です。人の関係性の中で出てくる課題は、「あの時はどう対応したか」と、自分の経験の中から、その解決方法を探ります。責任や、影響力ある人にもっとも必要なことは「自己の気づきや認識を変えること」なのです。

【家庭内、コミュニティでの考え方の例】
コミュニティの中では例えば資源の分配や意思決定にかかわるうえでそれぞれのメンバーで差異があります。そのうえで、フェアに意思決定するために、お互いのアイデアを「知識がある」「発言に責任を持ったうえで出している」と尊重することが核にあります。

・相手を尊重しながら、適切な方法で自己表現すること

・相手の意見に耳を傾けること

・アイデアを実行

・結果を検証し、間違いを認める

これらのことを大切にすることによって、リーダーやコミュニティ内の誰かの意思決定をする、従うという関係ではなく、意思決定のプロセスを良い形で行うため、個人の在り方について言及されていました。

【セシリアマーコリーさんの実践例】
次に、コミュニティを作るうえで、自分自身、メンバーをどのように見たらいいのか、パーマカルチャーデザイナーでシェアハウスを運営しているセシリアさんの事例です。シェアハウスのメンバーで暮らすうえで、優先事項と境界線を重要にしていると語られます。問題が起こることを、その人の性格や行動に問題があるのではなく、適切な「物理的環境」と、適切な「人の組み合わせ」を選ぶことが調和のとれた家庭への最良の方法ですあると語られます。「人間をコンパニオンプランティングしている」ということ、Connecting well(うまくつながること)一人一人がベストピープルになるようにマネジメントすること。
常にみんながハッピーでなくてよいこと。お互いの距離を生み出し、静かであること、穏やかであること。などを大事にしているそうです。

【意思決定のプロセス】
対人関係の次に、意思決定のプロセスについてみてゆきます。ここでは、SWOT分析、ホリスティックマネジメントについて大きく取り上げますStrong強み、Weakness弱み、Opportunities機会、Threats脅威に分けて考える「SWOT分析」6つの思考の帽子例えば緑の帽子の役割の人は‐革新と創造的思考でという意思決定プロセスを用いて考えてみる「ラテラルシンキング」という手法などに触れていました。特に、意思決定の中で大きくとりあげられていたのは、ホリスティックマネジメントでした。

・ホリスティックマネジメント
意思決定のフレームワーク(アラン・サボリ=生態学者、放牧家)
放牧地の管理の生態学的アプローチから始まりました。
意思決定は、個人または社会としての私たちの在り方を左右することであり、私たちが後世に何を残すのかが決まってしまう。それぐらい重要なことにもかかわらず、社会でその重要性が強調されていません。ホリスティックマネジメントは、意思決定の場で、個人や家庭、企業などの集団だけではなく、環境にも良い影響をもたらすアプローチです。

ホリスティックマネジメントに関しては、デイビッド・ホルムグレンのメリオドラを取り巻く要素でも検討されており、「パーマカルチャーのエシックとプリンシプルが表現され、人々がその豊かさを得られる拠点」というコンセプトを中心に、地域コミュニティ、隣人とかかわること、スキルシェアの場であること、ブッシュファイアに対する安心安全があることなど、その要素を抜き出して実践されています。

コアとなるビジョン、それを可能にしてゆくプロセス、何を扱っているのか定義すること、なぜそれが必要なのかという意図を明確にすること、それを持続させるにはどうしたらいいのかというレイヤーで考えます。

そういった全体像を出すことによって、一つの事実や目的ではなく、複雑な要素を俯瞰し、全体の中で意思決定が及ぼす影響を見ながら行うことができるのです。

【クリエイティブな意思決定のプロセス‐Many Baskets‐】
物事を決めるときに、「はい」「いいえ」の2つの選択肢ではなく、様々な選択肢を用意する。グループで意見が一致したものは、中央のバスケットに入れられる。ほかに用意されるバスケットとしては、「重要だがもっと議論が必要」「個人的なプロジェクト」「選択肢にない」など多様なものを用意します。このことによって、意思決定のプロセスが、どの段階にあるのか、視覚的に明確に表現することができ、参加者全員の積極的な参加を促します。また、会議で行うと、癖のある人や、意見が長くなってしまう人、自分の意見がうまく言えない人でも同じように参画することができます。

リーダーシップ、対人関係、意思決定、紛争解決の課題は、最も重要なプロセスであり、個人対個人、コミュニティのデザインの仕方、リーダーシップのとり方、物事を単純化しない意思決定の方法を模索することによって、様々なプロジェクトや普段の暮らしが、良いものになるヒントを、事例やフレームワークを通して学ぶ章でした。


フリーランス、専業で活動していますが、パーマカルチャーの記事、書き物等、基本的に無料で公開しています。仕事に充てられる時間を削って執筆しているので、もし、活動に心を動かされた方がいたら、1000円から7000円のスケール型のドネーションでご支援いただけたらとても嬉しいです。