本当の安価な葬儀とは

入り口の部分と出口の部分が違うパンフレットや資料をよく目にします。

基本的にこの葬儀という生活媒体においては感情が邪魔をして予算費用を度外視してしまう傾向にあります。ましてや親族の方々が一同に集まられた状況で安価な品物だけを選びたい経済状況であったとしても、打ち合わせをする場所や集まっている方々によって大幅に金額が変動してしまうものです。

喪主になられる方だけで打ち合わせをするのであれば、金額は喪主様の予算内であり支払うのに困らないであろう金額で打ち合わせをするでしょうし、お父さんの葬儀だからとかお母さんの葬儀だからといったご兄弟の方がいる状況とでは大幅に変わります。これは喪主様の立場と感情の変化によるものであると思います。

よく一般的なお葬式をあげたいという事を言われるますが、一般とは世間的相応なものだというものだと理解いたしますが、以前であればネット環境がなかったので金額はわかりません。昔、私が25歳位の頃でしょうか。別に意地悪をするつもりではなかったのですが、その時に勤務していた葬儀社の一覧表をお見せして、「それぞれ予算もあるでしょうから、金額は親族と相談して皆様方で決めて下さい」と一言申し上げて一言も喋らなかった打ち合わせをしてみた事がありました。たぶん、今の時代では一番安価な金額になったかも知れませんが、その時は確か祭壇と雑費で500万円位まで金額が上がっていった記憶があります。その当時は自宅での葬儀が殆どでしたので流石に話をし始めたように覚えております。

葬儀に関して一般的な方々は全く知識が無いという事が、若き日の記憶に大きく焼き付いております。勿論、保険を加入していたなどで金銭的には多少余裕のある家であったのかも知れませんが、六畳の部屋で祭壇が350万円となると非常に飾るこちらが悩む位でした。あの頃はフラワー祭壇という概念が無く、白木の祭壇に菊のスロープだったイメージの時代です。

確か、亡くなられたのが女性でしたので、喪主様としては強い思い入れがあったのは事実だとはおもいますが、喪主の妹様が「お兄ちゃん、お母さんの葬儀なんだからできる限り良くしてあげてね」と言っておりました。たったこの一言が金額を決定する際に喪主の心を締め付けたようです。

勿論、菩提寺様のお布施もこの金額には入っておりませんし、返礼品や料理なども別になりますと申し上げましたら明日の朝、又、お越しいただけませんかと言われ翌日の打ち合わせになりました。当然、妹様や親族の方々は日程があいているので、お引取りになっておりました。

翌日、ザックリと最初の話で、「実は車を買い換えしたいと思って、300万円だけはある」と、後は母の入院費用やら子供の学費などで、正直いっぱいいっぱいだとの事。翌日、打ち合わせをして良かったです。あのまま進行してしまえば、我々としては未収金の上、印象も最悪でしょうし。

この家はおまけに葬儀の場所も変わり、自宅でなく、お寺で施行した記憶があります。

最後まで御拝読いただきありがとうございます。

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