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お葬式で終わりじゃない!満中陰って何のこと?

満中陰とは

 四十九日と言い換えれば、聞いたことがあるでしょうか。昔の仏教では、輪廻の思想に関連して、生存のサイクルが四段階に分かれています。それぞれ、「生有(せいう):受精の瞬間・死有(しう):死の瞬間・本有(ほんぬ):一生・中有(ちゅうう):死有と生有の中間の存在」と言います。さらに中有は7日ごとに7段階に分かれており、遅くとも、七七日(四十九日)までにすべての生物が生有に至ると考えられていたそうです。満中陰の中陰とは、この中有のことで、人が亡くなってから、次の生を受けるまでの49日間を指し、49日目を満中陰と呼びます。

 死後、故人の魂は、「天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道」の六道を彷徨いながら、生前の行いを調べられます。7日ごとに十三仏と共に、地獄の裁判官である十王の裁きを受けるのです。馴染みのある閻魔大王もその一人で、35日目に審判を受けます。一周忌から、三十三回忌には涅槃(一切の煩悩から解脱した、悟りの境地)に入ることができるとされています。より良い裁きを受けられるよう、裁判の日ごとに追善供養を行い、遺族のお経の声を届けるのです。亡くなった日から7日目を初七日(しょなのか)として、故人の法要を営みます。そこから、7日ごとに二七日(ふたなのか)、三七日(みなのか)、四七日(よなのか)、五七日(いつなのか)、六七日(むなのか)と法要を行い、七七日(なななのか) 7×7=49日には、いわゆる満中陰法要(四十九日法要)を営みます。

※ 十三仏:冥界の審判に関わる13尊の仏様。死後、人は自力で極楽浄土にたどり着くことはできず、この十三仏と呼ばれる仏様に導いてもらいます。

※ 十王:審判を下す裁判官。三回忌以降の3審を担当する3尊を加えて十三王とも呼びます。

法事の準備

 法事は僧侶にお経をあげていただく法要と、参列者の会食を含めた行事を指し、中でも、満中陰法要が最も重要だと言われています。葬儀が終わったあとすぐに準備を始めるのが一般的です。

日取り決め

 満中陰は四十九日とも言いますが、命日から数えて49日丁度でないといけないという訳ではありません。参列者が法事に出席しやすい日を49日の前の土・日で設定して大丈夫。四十九日は来世の行先が決まり、この世を離れる時なので、法要をしないと魂が彷徨ってしまうと考えられているため、先送りにするのはよくないとされています。一部では「三月越し」を避ける習慣があり、法要の日が亡くなった月を含めて3か月にわたってしまう場合がそれに当たります。「四十九(しじゅうく)=始終苦」が「三月(みつき)=身付く」と連想されて、避けるべきとする考え方もあるそうです。その場合は四十九日を三十五日で切り上げます。

僧侶に連絡

 お盆やお彼岸などのシーズンは、予定がふさがってしまっている可能性もある為、早めに連絡をするようにしましょう。もともとお寺のお付き合いがなく、お葬式のときには葬儀社に寺院を紹介してもらっていた場合、同じように四十九日もお願いすることが多いです。

会場の手配

 法要を行う場所について、どこでないといけないというルールはありません。お寺や自宅ですることもありますが、交通アクセスのいい施設(葬儀社やホテルなど)を運ぶことが一般的になりました。菩提寺がある場合は、法要の後に納骨や納骨式が行えます。自宅でする場合は、会場を借りる費用がかからないことにメリットはありますが、法要に必要な仏壇や卒塔婆など自分で手配する必要があります。加えて、会食をする場合は、食事の準備も必要なので、施主側の負担が大きめと言えるでしょう。一方、法要を専門にしているセレモニーホールや葬儀式場では、知識が豊富なスタッフに相談できるのがメリット。会食の手配や、出席者にお渡しする粗供養なども一緒に手配できることも。ご葬儀後すぐに準備が始まるということもありますので、自身の負担を減らせて、尚且つ参加する人が集まりやすいところを基準にして選ぶといいのではないでしょうか。

案内状の送付

 料理や粗供養の手配は必要になるため、返信はがきを同封するか、往復はがきを用いて出欠を確認するようにします。近しい親族や友人には、電話やメールなどで連絡することも増えました。はがきよりも負担は少なく手軽ですが、失礼のないよう、マナーを守って使いましょう。どこまでの範囲の人を呼べばいいのか悩むこともあるかもしれませんが、親族は呼ばれなかったことに気を悪くする方もいるため、後のトラブルにならないように全員声をかけておくのが無難です。遺族や親族だけで行うのか、友人・知人まで声をかけるのか、家族で話し合いましょう。

位牌・墓石の発注

 葬儀から満中陰の間、白木の位牌が祭壇に飾られます。満中陰法要を期に、白木の仮の位牌から本位牌に変わるため、本位牌を発注しておきます。仏壇屋さんや葬儀社に相談しましょう。位牌に文字を入れるのは、早くても1~2週間は必要なので、早めに手配を始めるようにします。また、一般的には、満中陰法要の日に納骨を行うため、日程と戒名を石材店に伝え、墓石への彫刻も依頼しておきましょう。あらかじめ、菩提寺に出入り業者の有無を確認しておきます。納骨先が決まっていない場合、満中陰までに決定するのは難しいので、一周忌に納骨することが多いです。

満中陰法要の流れ

満中陰法要の流れ(一例)

一同着席
 席について僧侶を待ちます。着席順は遺族と血縁の深い人から順に座り、施主は僧侶の後ろに座ります。

開式の挨拶・僧侶入場
焼香は施主から順番に行います。

僧侶による法話・僧侶退場
 すべて終わると僧侶から法話があり、納骨式がある場合はお墓へ移動します。

納骨
 僧侶立ち合いのもと納骨をし、読経をしてもらった後、お参りをします。

会食
   僧侶も招きますが、辞退された場合はお膳料・お車代をお布施と一緒に渡します。会食の場では、施主の挨拶後親戚の中で一番目上の人から献杯をしてもらい、故人を偲んで会食をします。会食が終わったら、再度施主から挨拶の後、粗供養(返礼品)をお渡しして、一連の流れは終了です。


お葬式が終わった後も、大切な人にしてあげられることはあります。法要を営み供養をすることもそのひとつ。満中陰法要は中でも大切な法要です。いろいろと準備がありますので、計画的に進めていきましょう。

イラスト/ちくわ

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