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喪中の方に送る「喪中見舞い」って何のこと?

 身内の人に不幸があった場合、生前お世話になった人へ喪中はがきを送ります。近年では、お葬式の規模も昔より小さいことが増え、家族のみで行うことが多いため、喪中はがきを受け取って初めて訃報を知ることも多くなりました。これまでは、喪中はがきを受け取ると、「寒中見舞い」でお返事をすることが習慣でしたが、最近では「喪中見舞い」を送る人が増えているようです。

喪中見舞いとは?

「喪中見舞い」とは、頂いた喪中はがきに対してのお返事で、弔意を伝えるはがきのことを指します。はがきだけではなく、お悔やみのお供物や香典を合わせて送ることもあります。喪中はがきへのお返事として以前から広く知られているのは、「寒中見舞い」ですが、違いは送るタイミングです。

喪中見舞いを送るタイミング

 寒中見舞いは、いわゆる ※松の内 が明けてから、立春までに送ると決まっているのに対して、喪中見舞いにはその時期に決まりがありません。一般的に喪中はがきが届くのは11月から12月初旬にかけて届くことが多いです。喪中見舞いは、年をまたがずに早めに送ることが目的として生まれたものであるため、時期に決まりはないとはいえ、届いてすぐ、できれば年内に送るようにしましょう。

※松の内とは
元旦から7日、または15日までの期間のこと。
地域によって異なります。

喪中見舞いの内容

文章の組み立て

1 題字(表題のこと)と挨拶状をいただいたお礼
【例】
 ・喪中お見舞い申し上げます
  ご丁寧にご挨拶状をいただきありがとうございます

2 お悔やみの言葉
【例】
 ・○○様の訃報お聞きし大変驚きました
 ・年賀欠礼のお知らせをいただき大変驚いております
 ・ご挨拶状を拝見して初めて○○様のご逝去を知り 大変驚いております
 ・謹んでご冥福をお祈り申し上げます
 ・○○様には生前大変お世話になり感謝しております

3 相手(遺族)を気遣う言葉、年賀状を控えることを添える
【例】
 ・お気を落とされていることかと存じますがどうかご自愛くださいませ
 ・どうぞお体に気をつけて新しい年を迎えられますようにお祈り申し上げます
 ・お寂しい年の瀬をお過ごしかとは存じますが 心穏やかに過ごせますことをお祈り申し上げます

 ・服喪中につき新年のご挨拶は控えさせていただきます

4 喪中見舞いを出した年月
【例】
 ・(1マス空けて)令和○年○月

 そのほか、必要に応じてご不幸を知らなかったことへのお詫びや、年賀状を誤って送ってしまったことへのお詫びも添えるといいでしょう。

喪中見舞いの文章例

【例1】 喪中はがきをいただいて、ご不幸を知った場合

喪中お見舞い申し上げます
この度はご丁寧なご挨拶状をいただきありがとうございました
ご逝去を存じ上げず お悔やみを申し上げずに失礼いたしました
○○様のご冥福を心寄りお祈り申し上げます
服喪中と存じますので 新年の挨拶は控えさせていただきます
皆様どうかお体にお気をつけて 新しい年をお迎えになりますことを心よりお祈り申し上げます
 令和○年○月

【例2】 葬儀に参列して、喪中はがきもいただいた場合

喪中お見舞い申し上げます
この度はご丁寧にご挨拶状をいただきありがとうございます
○○様がお亡くなりになられてか○ヶ月 お寂しい年の瀬をお過ごしのこととお察し申し上げます
お気を落とされていることと存じますが どうかご自愛くださいませ
なお服喪中と存じ 年頭の挨拶は控えさせていただきます
 令和○年○月

気をつけておきたいこと

遺族に寄り添った言葉選びを

「拝啓」のような頭語や、「敬具」のような結語、句読点は不要です。「賀正」や「迎春」のようなお祝いの言葉も避けます。励ましてあげたいという気持ちがあっても、「頑張って、元気を出して」というような励ましの言葉や、アドバイス控えましょう。遺族には故人を偲んで悲しむ時間も必要です。体を気遣ったり、故人との思い出を共有するような言葉選びを心がけましょう。

忌み言葉に注意

 繰り返しを連想させるような「再び」や不穏な気持ちにさせそうな「消える・終える・死ぬ」といった言葉は忌み言葉と呼び、お葬式の際の挨拶でも避けられるような言葉は喪中見舞いでも使いません。「度々」のような同じ音を重ねた言葉も不幸が続くことを思わせてしまうため控えましょう。

はがきや切手の見た目への気遣い
 年賀状のような華やかなデザインが印刷されたはがきや、縁起物が描かれた切手は、喪中の人へ送るのには不向きです。相手の気持ちを考えて、スタンダードな白やブルー、グレーといった寒色のハガキを選ぶといいでしょう。郵便局やインターネットであれば、喪中用のはがきを購入できます。胡蝶蘭や山桜、山百合といった白を基調とした控えめな花の絵柄を選ぶのも一つ。また弔事用としてカラフルではない切手も販売されています。お手紙にてお送りする場合も、はがきと同様にデザインが控えめな便箋を選びましょう。一般的には白い便箋を使います。

喪中見舞いで品物を送りたいときには

 喪中見舞いと一緒に香典や供物を送ることもできます。その場合は、はがきや手紙を添えるのがマナーです。お悔やみの品物や香典の用意は必須ではないので、もし用意できなくても問題はありませんが、喪中はがきを受け取ったときには、喪中見舞いか寒中見舞いは必ず送りましょう。

 もしも葬儀から随分日が経過してしまったタイミングで送るときには、香典返しといった「相手のお返しの手間や費用」を考えると、香典や品物は送らずに、はがきや手紙のみを送るだけでもいいでしょう。遺族の負担や状況を考慮した上で準備するようにしましょう。

代表的な品物と相場

 喪中見舞いのギフトは線香やろうそく、花というように仏壇にお供えできるものが一般的。故人への哀悼を示すことができ、ご遺族も気兼ねなく受け取ることができます。送り先の家に仏壇がない場合は、好きなものを選べるカタログギフトを選ぶのも一つでしょう。
 また、喪に服している遺族への心遣いとしてお茶やお菓子のギフトを送ることも多いです。何を送るにしても、必ず喪中見舞いの手紙を添えるようにします。金額は、受け取る遺族が負担に感じない3,000円から5,000円程度を目安に考えましょう。

喪中見舞いの熨斗

 喪中見舞いに品物を送る場合、「御供」か「喪中御見舞」の表書きで熨斗をつけましょう。不祝儀にまつわる贈答品であるため、結び切りの水引を選びます。
 水引の色については、通夜や葬儀では一般的に黒白の水引が使われますが、法事用のお供えの水引の色は地域によって異なります。お供えを渡す相手がどこの地域に住んでいるのか確認してから準備したほうがいいでしょう。

香典を送りたい場合

 故人が亡くなって時間が経ってしまい、香典を送るタイミングを逃した場合でも、喪中見舞いで香典を送ることもできます。相場は3,000円から5,000円程度、新札は使わないように注意しましょう。喪中見舞いのお手紙を添えることも忘れずに。
 表書きは喪中見舞いを送るタイミングで変わるため、気をつけなければなりません。四十九日の前であれば「御霊前」、後であれば「御仏前(御佛前)」であるため、確認の上準備をします。神式では「玉串料」、キリスト教では「献花料」のように、宗教によっても異なります。また、お金は現金書留で送るということが法律で決まっているので、現金書留用の封筒を郵便局で購入して香典袋を入れるようにしましょう。

おわりに

 喪中見舞いは、近年になってから誕生したものです。まだ馴染みがなく、賛否両論あってもおかしくありません。大切なのは、故人を偲び、遺族を思い遣る気持ちです。自分がどうしたいかだけではなく、相手の状況や考え方もよく考慮します。地域によって、葬儀後の習慣が異なることもたくさんありますので、その習慣に従って準備してもいいでしょう。

イラスト /  ちくわ

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