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雅楽はどこで習ったら良いのか??雅楽演奏家が徹底解説!

こんにちは。雅楽演奏家の山口創一郎です。

私自身は奈良県で週に一回の講習会
そして高校と大学の部活動を中心に主に
三管を習っていたわけですが、
雅楽を習えるところってネットで
検索してもなかなか出てこないものです。

雅楽を習えるところというのは主に団体である『雅楽会』と『雅楽講座』がある施設、高校大学等の『部活動』や、個人が『フリー』でやっているところが主になってくるわけです。


●民間の雅楽団体


民間の雅楽団体というのは実は全国様々あったりするものです。

関東では
『道友会』
『日本雅楽会』
『小野雅楽会』
『伶楽舎』


関西では
『大阪楽所』
『四天王寺雅亮会』
『南都楽所』
『生田雅楽会』
『和歌山雅楽会』

その他の地域にも天理教の雅楽団体や神社、
寺院などでやっている団体があります。


メリット

団体に入るメリットとしては、団体としてやる為、
宮内庁の先生に習熟した技術をそのまんま教えてくださること、
人数が多いという点が大きいのではないかと思います。

仲良い人ができたら、相当稽古もしやすくなる環境になり、
練習も大人数の為合奏技術というのは自然と
身につけることができるのもいいところです。

演奏会や発表会なども年に数回あり、
かなり大きい舞台で演奏会に出演することができ、
稽古の日程も決まっているところも、大きな魅力かと思います。

長く続けていけば技術も上達でき、会内の演奏会でソロ(音頭)もでき、会内で講師で呼ばれたり他の依頼演奏などに出演することもできるかもしれません。

デメリット

デメリットととしては雅楽という
伝統芸能の故のしがらみが多い点が多く、
人間関係なども現代の会社のような歪み合いなどは少なからず存在するみたいです。
(絶対に1人か2人、クセモノと呼ばれる人が一定数いますねw)

また、年功序列の縦思考や派閥が非常に強く、
会特有の閉鎖的な思考があるところもあったり、

上下関係が厳しいところも数多くあり、
環境的に会外での個人的な演奏などは
非常にやりにくいとお聞きすることも多くあります。
(やったりしている人もいることはいます。)

入会費、月会費はグループレッスンの割には
月1万円以上の高めの団体もあります。

講師ガチャ(毎回講師がランダムで変わる)もあるので、
嫌な先生とかが来たら毎度地獄を味わうのだとか・・・

演奏会などは個人での出演料を支払うこともあれば、
チケットを売るノルマ的なものも少なからず存在します。

特に若い世代は下積みが非常に長いのことと、
上世代の昔の価値観を強要されることも多いので、
(もちろん、下積み期間が大切なのは重々承知の上ですが・・・)

個人的には
若い間の時間を棒にふるわないうえでは
絶対にオススメはしづらいというのが本音です。

(実際、自分の年代でこういった団体で活躍しているという話は
ほとんど聞いたことがありません。)

また、決まった楽器やパートしかできません。
僕みたいな笙・篳篥・龍笛を
3つやるなんてご法度なわけです。笑
(これについては別で話す機会があれば話します。)

年代的には大方40代〜90代の方が多いかなと思います。
(かなり高齢化してます。)

まあ、若い人らにわかりやすくいうと、
雅楽団体は現代の雅楽の世界における
『会社』『宗教団体』という組織のようなものと
想像していただいたらええかな思います。
(特に団体の上層部は宗教団体関係者、めちゃくちゃ多いです。)

雅楽界では、会としては有名ですが、
個人で有名な人というのが
いないのが残念なところですね。
(そういった人が生まれにくい構造です)

まあ、雅楽が合奏音楽という分野があるからも否めませんが、、

●宗教団体


雅楽といえば元々は宗教からの起源が強いですね。

神社で演奏されることはもちろんのこと、
お寺や天理教・立正佼成会などの
新興宗教の祭儀で使われることも
多いことから、

宗教団体内で講習会などが開催されていることも多いです。

神職になる人は雅楽を演奏できる方が就職率が高いのは
いうまでもないですが、
僧侶になる方でも宗派によっては雅楽が必須だったり、

天理教や立正佼成会なども祭儀で使うことから、
義務で雅楽を習熟する人達も多かったりします。

(ちなみに山口も元々は家が天理教だった故、
小中学で右も左もわからず雅楽を習っていましたw)

伊勢神宮では毎年、
神宮楽師による講習会を催していたり、
天理教などでも、各大教会という組織などでも
講習会が催されています。

メリット

宗教団体自体が基本的には非営利団体であることから、
参加費がとんでもなく安いところが多くあります。
(山口が小中学校いっていたところは半年で2000円だった笑
その代わり実家は教団に献金めちゃくちゃしてましたのでww)

たくさんの人数で習うところが多くあるので、
世代が合えば仲良くなれる人も出てくることもあるでしょう。

デメリット

もちろん、宗教団体ということは、
受講者のほとんどはその宗教の信者ですので、
少なからず勧誘というものもあることも
覚悟しておいてくださいw

+、元々こういったところの維持費というのは
宗教団体のお供え、
すなわち信者から寄付してもらったお金で
成り立っているということは割と
気にしておくといいかもです。

特にここ10年で教団のお供え額などは激減しているので、
今後は規模縮小になっていくことが必至でしょう。

現状、統一教会の問題で明るみに出ていますが、
今後宗教団体自体が現在業界的にも衰退することは確かなので、
長く居続けてやることは
あまりおススメができないのが現実です。

とはいえ、一番安く雅楽を習う方法はこういったところが間違いなく
一番よいのはいうまでもありません。

●カルチャースクール等から始まった雅楽団体


最近はこの形態から雅楽会に発展している会が多かったりします。

奈良県の斑鳩町でやっている
『斑鳩雅楽会』がその一つだったりします。

また、最近では大阪府富田林市でも『とんだばやし雅楽会』が、
京都では『京都雅楽塾』、

奈良の談山神社内にある『談山雅楽会』
三重にある「みえ雅楽会??」
北海道では『札幌雅楽同好会』なども
そのような形で活動をしているみたいです。


メリット

このようなところは、仕事を終えた方の趣味としてされることが多いので、年代は50〜70代の方が非常に多いです。

男女比も女性の方が多く、和気あいあいと雅楽を同地域の方と、
同世代の方々と楽しむことができるというのが
大きな魅力かなと思います。
会費も他団体に比べたら俄然安いところが多いのも大きな魅力です。

会外での活動にもそれほど閉鎖的ではなく、
他団体の練習や、別の先生に師事を個人的にされる方も多くおられます。

何より、別団体との交流なども行うところも多かったりします。

デメリット

デメリットとしては、グループレッスンの合奏形態の練習が多く、
管別の練習も人数が多いことから、
一人ひとりの技術の向上というところまでは行きつきづらい面があります。上達にはかなりの年限が必要になるかもしれません。

また、年代が高い為、ここでも若い人らが入るのは
非常に困難かと思われます。
(勿論、中には大学生もおられたりするそうです。)

後は、ちょいと田舎的な風潮の「村社会」がある団体も
なかには存在するので、

ちょっと周りと違うことをしている人は
「村八分」にされることも
場所によっては出てくる可能性もあります。

ただし、本当に老後の趣味で同世代くらいの人同士で
雅楽をしたいという方には、
丁度いい場所かもしれませんね。

こういうところは雅楽において、
現代で言う『サークル』といった感じです。

上手くなると言うより、
楽しくできる方が1番ぴったりかな場所かと思います。

●学校の部活動・専攻コース

最近では高校や大学での部活動というのは盛んになってきました。

奈良県天理市にある天理大学雅楽部は世界42カ国での
演奏活動を展開したり、

最近では國學院大学の青葉会で、2019年の紅白歌合戦の際、
坂本冬美のバックミュージックとして演奏を披露しておりました。

大方は宗教の祭儀で使う関係上、
神道や天理教、仏教系の学校が多かったりします。

大学では東京藝術大学に雅楽専攻があったり、
(ここは部活ではありませんが・・・)

天理大学(奈良)
國學院大学(東京)
皇學館大学(三重)
大正大学(東京)
京都女子大(京都)
奈良大学(奈良)
同志社大学(京都)
九州大学(福岡)
相愛大学(大阪)(授業であり)
大阪芸術大学(大阪)(授業であり)
京都大学(京都)


高校では
天理高校一部(奈良)
天理高校二部(奈良)
浪速学院高校(大阪)
赤穂高校(兵庫)
水戸女子高校(茨城)
進徳女子高校(広島)
敬愛高校(千葉)

などがやっているそうです。


メリット

大学は天理大学、東京芸術大学ではガッツリ練習をしますが、
それ以外はサークル程度なので、そこまで毎日練習はしないそう。

東京藝術大学、天理大学は4年間で
相当技術は身につくような練習ができるかと思います。

天理大学は普段は先輩から後輩へ伝承するシステムですが、OBによる指導がきめ細かに指導くださることから、雅楽のかなり高度な技術を習熟することが可能です。

神道系の大学である國學院大学や皇學館大学の場合は、就職する神社によって雅楽を続けることもできるというのは、大きな魅力的なところかもしれませんね。

高校も天理の高校は数名は3年間で上達しますが、それ以外の高校ではそこまで上達することは難しいかもしれません。

天理の高校でも実際3年間での習熟では一人で
演奏するレベルに達することは現状難しいです。
(それでも一般的には上手いレベルまで上達します)

デメリット


何より、高校大学で雅楽を習熟した後の進路が
確立しないのが大きな課題です。

東京藝術大学卒は運がよければ『伶楽舎』や『東京楽所』に
所属ができますが、空きがなければ完全なフリーランスでの
活動になってしまいます。
近年は上の方が辞めない限り空きがないのだとか…
(東京芸大自体が卒業後3年で学校の名簿上
行方不明になる人が5割いるのだとかw)

また、大学の部活動は近年闇が深いのが現状でしょう。

平たく言えば、雅楽団体と部活の顧問や講師と
繋がっているケース
が多い為、
学生のやりたいように部活動ができないケースがあったり、
会と繋がっていれば卒業後に雅楽ができる場所も限られます。

「雅楽は好きだけど部活が嫌い」

という子も一定数
どの学校にもいたりします。
(山口も大学生時代はその1人でしたw)

OB層が口を出している学校については
「OB」という古株が年々人数が増えていくので
(+高齢化で減らずにどんどん増えていく)
そういった意味でも息苦しさはどことなく起こってきます。
(楽しめるところは楽しめます!)

ただ、青春時代を雅楽に没頭した。
という思い出にはなることも大きな魅力かもしれませんね。

●個人起点の雅楽団体


個人起点で始まった雅楽団体、
私自身が主宰している「陽雅会」もこの
ポジションだったりします。

これといった団体に属さず、
演奏活動や講師の活動をしている人がここにあたります。

団体名でいえば、
大阪・東京では「博雅会」(全国にメンバーがいる)

関東は
「香風舎」(東京)


東海地方では
「主韻会」(愛知)
「雅楽松風会」(岐阜)


山陰地方は
「鳳鳴雅楽会(ほうめいのうたまい)」(鳥取)

関西では

「榊葉雅楽会」(和歌山)
「陽雅会」(大阪)


などが個人でやっている雅楽会といえます。

主宰者が一人いて、
その人が周りの人たちを集めて会活動を進めていく。

ある意味個人プレーで活動を展開している団体が
こういったところだったりします。

その為、この辺の団体というのは
メンバーが重複していることも多々あります。
(最近は演奏会の写真を見ると、同じ顔ぶればかりだったりw)

私も陽雅会の主宰でありながら、
団体やとあるコミュニティの中で

雅楽演奏家・講師をしていたりします。

生徒はこれまで数1000名を指導し、
その方々を年に一回自分主催の演奏会にも
出演していただいています。

狭山雅会 はじめての雅楽Part3より

メリット

こういった団体は主宰者のツテでメンバーを招集することから
基本的には人間関係で悩むことが少ないのが特徴的です。

(特に陽雅会は演奏技術よりも人間性でメンバーを選出しているので、
なおさらそういったことが他の会に比べて少なかったり・・・)

後は個人でやっている故、宗教との関わりが民間の団体など
他の団体と比べてほとんどないことです。

私含め、陽雅会は元々家が宗教家庭というメンバーはいるものの、
僕自身現在宗教団体は離れ、

そういった狭い界隈での話ということがありません。
雅楽団体特有の堅苦しさという
部分がないことは
大きなメリットだったりします。

何より、気楽に練習ができて上達もできるというのは
かなり大きいかと思います。

デメリット


デメリットといえば、団体に属さない分、
社会的地位というものがないといったところです。

ただし、ここに関してはそのうち機能しなくなるところなので、
デメリットでもなくなってくるとみています。

現状、雅楽団体は向こう20年でなくなるだろうとみています。
(これは雅楽団体に限らず、既存の会社・宗教団体などでも叫ばれていたり・・・)

なくならないにしても、どこも規模が
かなり縮小されることは間違いありません。

少子高齢化による雅楽団体に所属する人が高齢化し、
(特に既存団体は年を増すごとに年輩の独裁者の腐敗が進む)

雅楽をやる若者はその場所にはおらず、

自分たちで会やコミュニティを立ち上げていく。
そういった時代の風潮になってきているからです。

特にネット社会では下手な人は音でわかるように、

上手い人も音でわかれば、
どの団体にどういった人柄の人がいるのかも
わかるような時代に転換していきます。

そのようにわかるものが、
現在ネットで蔓延していっているわけです。

皆さんはその界隈(かいわい)で
偉大な先生に師事してる偉そうな生意気な人と、
そうでない謙虚でお心のいい人の両者が動画を配信して、

+そんな偉そうで生意気な師事してる方の
演奏があまりにずさんなもので、

そうでない謙虚なお心のいい人の音色が素晴らしかったら、
どちらに習いたいと思いますか??

僕だったら、そんなに大した人に習ってない人だろうが、
『謙虚お心のがよくて良い音を演奏できる』人に習いたいと思います。
(とはいえ、個人の団体のすべてが「お心がいい」かは別ですが・・・)

『肩書』というのはそういった意味では不要なものとなってきます。

YouTubeやSNS・ネットの発展は社会には
本当に大きな時代の変遷をもたらしています。

音だけじゃなく、その発信している人の
人柄までもがわかる時代となりました。

他にあげられるのは
そういったところは

基本的に個別レッスンの為、
会に入るよりも使うお金は高くなる傾向はあることは
いたし方ありません。
(うちも他の雅楽団体・宗教施設に比べればかなり高めです。)

ここに関しては、
メリットに代わるところが
一つあるのは、
数年間、教室で教えてて毎度感じるのは

料金帯が上がるだけ来る人の人柄が
とてつもなく上がることです。

安い料金のお店に来る人はそれ相応の客層になり、
(安いディスカウントストアや安い飲食チェーンとかの客層はやばいw)

いいお値段のお店に来る人達は
やはりレベルが違います。
(一言で言うと、ストレスのかかり具合が違います。)
(とはいえ、お心が悪い商売をしている人も割といるので、この見極めは割と難しいかもw)

そしてこういう団体は
入会方法・関わる方法というものが基本的に存在しないので、
基本的には主宰をしている人とどうやってつながるか?
(お稽古をつけてもらうやイベントに足を運んで直接会う等)

がカギになります。

Webはあるものの、
入会募集などを一般に出すことは
ほとんどないといっていいでしょう。
(陽雅会も年中入会募集は原則しておらず、
基本はこっちからオファー出してます。)

僕自身も、とある個人の会での
演奏会に出演しているのもそこからでした。

当時雅楽をする場所がなくて
どうしようか明け暮れていた時に
とある会の主宰している方に
FACEBOOKで直接連絡をして

その方が主催している合奏会や
講習会、終わってからの懇親会にも参加して
お話をしたのがきっかけだったりします。

そこから別の会の主宰者ともつながり、
今でもそちらの方の演奏会や会の龍笛の講師なども
させていただき、

自分の会で演奏会を企画できるくらい、
様々なツテを作ることもできました。
(そこから現在の陽雅会にもつながっています。)

余談ですが、こういう人と会うことって
基本なかなかできません。
山口も最近は雅楽関係者などと
会う機会がほぼないので

お稽古にきた生徒さんやたまたま、
別の演奏機会や直接相談があったりなどで

偶然繋がったりした人というのが
今の陽雅会のメンバーや
生徒さんだったりするので

こういうコミュニティやいい人たちに会う為の
おススメの方法は

「その人に正当経路で会いに行く」

を実践するといいでしょう。

その人が主催している練習会・講習会・演奏会などの
サービスを受ける。
すなわちお稽古をつけてもらう等。

それで自分の実力や人柄が認めてもらえたら、
どんどん使ってくれることもあります。
(現に陽雅会のメンバーはほとんどそれで繋がった子ばかりです)

僕自身も、雅楽に関しても
それ以外のジャンルでも
会いたいなと思った人には
その人やコミュニティのサービスを購入し、
正当経路で会いに行って挨拶をしにいきます。
(もちろん、めちゃくちゃ緊張しますがw)

逆に、求めている相手もそういった方法で
毎度会いに来てくださるので、
こちらも毎度感謝してお稽古なり、
仕事を全うさせていただいております。

このような時代にどこで雅楽をしたらいいのか??
皆さんおわかりいただけたでしょうか??

陽雅会(雅楽演奏家・講師 山口創一郎)は、
YouTubeにて初心者向けの笙、篳篥、龍笛の唱歌と独奏、
または現代曲の動画配信も現在させていただいてとります。
練習用として、どうぞチャンネル登録していただければと思います。

また、大阪・奈良の方で雅楽教室を開講しております。
是非雅楽を体験し、一緒に雅楽を学ぶひと時を過ごせたら嬉しく思います。


長くなりましたが、本日はここまで👍


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