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【✏】えんぴつ堂#502~#535

使用の手引き… https://note.com/souffle_lyric/n/n0ba1320f658a
ごゆっくりどうぞ!

【502】
【✏】
どうしてだろう
鉛筆はボールペンに
カードゲームは履歴書ゲームに
成熟ってこういう事だっけ
スマートフォンで武装
攻防一体武器のようで
隙在らばって構えてる
自己中な刺激に飢えている
カメラ機能で刺す、文字入力で刺す
もしや無意識に争ってる
成熟ってこういう事だったか?

【503】
【✏】
「微笑みのヴェールを
上手く被れない」って君は泣いた
優しく暴きにいくから待ってて
百面相ヴェールの売れ行きは好調
そんな世の夜の片隅で
震えながらも口づけていよう
ほんとうのものを抱きしめていよう
黒い薄地
そっと捲られた時にこそ
君のいちばん素敵な笑顔が現れる

【504】
【✏】
自分がわからなくなったら
心の中の公園をたずねて
ブランコに乗ってみてごらん
大人のまんまか、子供の姿か
立ち漕ぎか座り漕ぎか
スピードはどれくらい
大車輪しちゃおうか
それとも疲れて止まっていようか
心模様な空模様
心の公園、小さなブランコ
きみにきみを教えてくれる

【505】
【✏】
欲望はまるでトランプタワーだ
広く高く鋭利な塔を
作ってはまた天空を抉る
誰もが刹那の欲を組み上げる
百段積んだあいつのタワーが崩れた
嘲笑う奴らは
隠れて違法接着剤を使う
だけどいいのかい?
次に乗せるつもりのカード
その手の中には
不吉に笑うジョーカーのカード……

【506】
【✏】
未来少し/1秒 無料を
誰もが今も受け取って
大きな砂時計を持って
それぞれの「イマ」を過ごしてる
未来さんようこそ
自分を豊かに磨いたり
体を休めたり
時間を持ち寄り集まったり
ありがとう未来さん
過去くんと合流なさいな
次に来るのはどんな一瞬

【507】
【✏】
雨音はきみへの拍手
応えるようにステップを踏んで
くるりとターンしたら
朗らかな私でいましょう
冷たくも温かな水たち
ハンカチに優しく含ませましょう
差した傘に当たる熱烈な雨粒は
きっときみを推してるファンだ
本日の主役
雨のハレの日
♪伝い落ちる雫の祝福!♪

【508】
【✏】
表情、癖、ファッション、声、言葉
目と心で追いすぎて
あなた専門の研究者にでも
なってしまいそう
ああ違うの、そんな風に思わないで
わたしは藻掻く恋愛者です
研究目標があるとしたって
それは何の変哲もない
ありふれた
あなたの隣の恋人という
在り方なのです

【509】
【✏】
よぶんなパーツはとりはずして
よけいなデバイスはつくえにおいて
あおむけになったら
だらり
めをとじて
ふわり
すこしだけちゅうにうかぶ

ぼくらのいちばんもろいぶぶんを
そよぐひかりにあてる
にっこうよく

ここは
はてしなくやさしいそうげん
または
あなたのうでのなか

【510】
【✏】
言わんでいい事言ってしまった
大きな仕事でやらかした
気まずさはいつも剥き出しだ

無知を晒してしまった時
コミュニケーションが滑った時
気まずさは裸体で迫る
秒針まで鈍る錯覚

気まずさは駆け抜ける
一途で素直で滑稽で
ざわざわと鳴る恥の中
ほんの少しだけ愉快を残して

【511】
【✏】
恐る恐る出した勇気でも
あなたの体から飛び立って
無表情のあの人の心にも
確かに風を吹かせるでしょう
外の風景知った勇気は
広い世界を巡り巡って
大きくなってあなたへ還り
あなたを大人にするでしょう

情けなくたっていい
勇気の籠の鍵を開けよう
解いて、放って!

【512】
【✏】
焦らないでね、と
その背中に抱きついた
吸って、想いを吐き出して
あなたはゆっくりを知ってるから
モンスターみたいにならなくっても
一歩ずつ、大変を越えていけるんだよ
ちょっぴりもどかしいけどね
抱きついたまま目を閉じた
あなたのこわばりがほどけていく

【513】
【✏】
あなたが食べてたハードグミ
フルーツの香りがした
同じものを
帰りのコンビニでひっそり買った
「一つ食べる?」なんて
言い合う間柄じゃないから

一パック食べきったら
小粒な想いなど忘れよう
……無理 やっぱり駄目だった
恋心香る弾力
ほんとは隣で分け合ってみたい

【514】
【✏】
寂れた駅の自販機の
「優しさ」は売り切れ
コールドの慈愛も完売
仕方が無いから「建前」を買った
ホットのみ販売中
プルタブ上げて喉に流し込む
ああこれで
今日を上手くやり過ごせそうだ
「残酷」や「相槌」も販売中
日々を越える為買われてる
寂れた駅の静かな自販機

【515】
【✏】
無理しないでね、の
「無理」の境界線が
わかんなくって
今日もクッションを抱きしめてる
だって
そう言うあなたはいつも輝いている
無理しながらもきらめいてるんです
日陰でクッション、ぬいぐるみ
抱きしめながら
あなたの明るい強さを思う

【516】
【✏】
眠りの中
幸せな夢を見てた
突然、隔てる扉の向こうへ
意識ワープ
目醒めれば現実
昨日から今日へ
前進おめでとうと言われても…ねえ?
タスク、手続き、人間関係
今朝も脳にオートインストール
無事に終えたら
今夜の夢でじっくり褒めてくださいな

【517】
【✏】
総尺なんてわかんない
フィルターだってたぶん不要
綺麗な被写体じゃなくていい
強引な編集は嘘になる
それが、人生っていう対象
四季折々の環境音
ねえ、レンズ見て笑って
カシャリ!
これで十分
弄りすぎは罰が当たる
ほどほどな密着取材
どうか長生きしてね!

【518】
【✏】
おはようの数だけ
昼寝の数だけ
仮眠の数だけ
うたた寝の数だけ
就寝の数だけ
寝落ちの数だけ
目覚めた時の天井がある
だけどとりあえず瞼に委ねて
今が何時だって構わない
君が眠れれば
さてさて、よく頑張りました
深くなる呼吸
安心して
おやすみ。

【519】
【✏】
背たかのっぽの秘密の草むら
ふたりの冒険の途中に
クッキー缶をそっと隠した
空になった缶の中に
「好きです」って紙を入れて
誰から宛てたか書いてない
誰に宛てたか書いてない
そこまで頭が回らなくって
君を想う頬が熱かった
鮮やかな緑の何処かに在る
未完成のらぶれたー

【520】
【✏】
人+木の日
やすむばしょを決めよう
やすみかたを決めよう
人には見せられない姿でも
人には言えないオフしても
大丈夫
世界は案外優しいもので
目を開いて動いて楽しもうか
目を閉じて動かず眠りこもうか
大丈夫
肩書きは外して
きみのためだけに休んでいいんだよ

【521】
【✏】
時計はクールだなんて嘘
今日の
文字盤は喜び
長針は怒り
短針は哀しみ
秒針は楽しそう
そして代わる代わる
あやまたずに
ひとに寄り添って、今日も
力を合わせて、時を進めているのです
未来よ、盤上へいらっしゃい
てのひらで側面をひと撫で

【522】
【✏】
表、裏
あの仲良くない人のオモテウラも
横顔を見ればひとつづきだ
表裏一体ってわかるんだ
だから怖がりすぎないで
きっと混ざりあっているんだ……
そんな事を
臆病者の僕は
未だに自分にも
まだ言い聞かせているんだけどね

【523】
【✏】
ああ、同じものを買った
ああ、髪型の変化が分かった
ああ、今日は楽しそう
ああ、今日は物理的距離が遠い
あっ!今日は言葉を交わせた!
ああ、はあ……。
だけど一番は
好き
はあ、もっと近づきたい
耳元に届けばいいのに
未着で溜めたそんな息ひとつ
それだけなのです

【524】
【✏】
ね、アルトで話して
もっと、アルトで笑って
鳥の声や雨音と
心地良く混ざりあうんだ
きみがコンプレックスって言う声は
二つとない贈り物
豊かな広がりに
少しづつ惹かれるくすぐったさ
ね、アルトで名前を呼んで
もっと、アルトを隠さないで
あるとないとじゃ大違い
ね?

【525】
【✏】
何もわざわざ首をひねくれて
後ろ向きにならなくても良い
下を向いていた顔を上げれば
照明や太陽の
光、光が温かくふれてきます
ひねくれ者の影も
後ろで君を支えてくれています
そうして今見てる方向が
前、明日、未来だと知るのです

【526】
【✏】
繋がるの?
撃つの?
途中までは同じ字なんだ
HUGなの?
BANGなの?
きみがポケットから取り出した右手は
握手の形になるのか
銃の形になるのか
凛とした視線と共に
確実にぼくに向かってくる
「さあ、はじめましょう」

【527】
ちょっと、気になる人ができて…と
美容師さんに
照れ隠しながら打ち明けた
あと何人に打ち明ければ
本人に直接言えるんだろう

シャンプー台へ移動する
力を抜いて横になって
優しく頭皮を揉み込まれる
あなたの手ならきっと極上
妄想日和な私どうしよう

【528】
【✏】
「もっと素直になればいいのに」
「そうなれたら苦労はしないわ」

とげとげしいあざみの花に
そよ風が吹き語りかけます

「もっと好きに暴れてもいいのに」
「そうなったら皆が困るよ」

風が香りを巻き上げます
まるでダンスを踊っているよう

お似合いのふたりです

【529】
【✏】
心臓の中にいる
わたし自身のパイロット
昨日は上昇、今日は下降
心許ない操縦、旋回
燃料はお薬?食べ物?スマホの中?
航空計器の操作に迷っていたら
向かいからキミが声をかけてきて
心臓の中の私たちは
手を挙げて
笑顔で挨拶しあっていました

【530】
【✏】
無表情でできてる街並み
無言で守られてる交通
けど
服やカバンのポケットの中
スマホは元気な声で
持ち主の人格や個性を叫んでる筈
好きなアプリ
指で打ち綴られた言葉
ノゾイテミタイナ、なんて思いつつ
ポケットに手を入れ
クロスロードを渡る

【531】
【✏】
君が旅路を決意した時
手を挙げた時
その頭上に
不可侵の王冠が現れるだろう
戴冠の儀はなくとも
きみはきみの願いの王だ
瞳に新たな煌めきが宿った
さあ一歩目をここから
未来への風を見据えて

【532】
【✏】
それでもあなたは頑張ったよ
一生けんめい頑張ったよ
小さな小さな
べそをかく手を握って家路へ
ほら 秋の風が吹く
影がきれいに伸びていく
今日はあったかいハンバーグだよ
一緒にご飯を食べる幸せが
おうちで待ってくれているよ

【533】
【✏】
歪んだり緩んだりしながらも
体の前線で戦ってる
奥にある瞳が輝けるのは
鮮やかな景色見せてくれるから
目とレンズの間の空間は
私達だけの内緒スペース

【534】
【✏】
「今の事だけ考えて、やる事をしたら
不思議とね
未来も不安じゃなくなったの」
そう言って彼女は立ち上がり
お裾分け、と手を握ってきた
ぽかぽかと
強い免疫が滲む体温
心にまで伝わってゆく
ああ、明日がこわくなくなった

【535】
【✏】
変だよね
恋って
こんなにも素直であふれてるのに
何故か言い訳も生まれてくるの
手紙は上手くないし
直接なんてもっとハードル高いし
あの人の都合わからないし
螺旋階段な言い訳
悩みながら手すりを伝ってく
のぼる一段一段に
「好き」って気持ちが
きらきら置いてある

お気に召しましたら是非お願いします! 美味しい飲み物など購入して、また執筆したいと思います ( ˙︶˙ )