人々の不安を受け止める機能としてのジョーカー
映画『ジョーカー』におけるジョーカーは何を象徴しているのかをかんがえていく上でまずは一般的なこの映画についての評価をみていきたい。この映画の描写の中で最も注目するべきは、オリジナルのバッドマンでは生粋の悪役であるジョーカーには実は情状酌量の余地があるというように描写しているところだ。それどころか社会的に虐げられる弱者であり、悪役になってしかるべきとさえ思わせるような悲惨な状態に彼は置かれている。貧困で管理の行き届いていないマンションに住み、病気を患う母を一人で介護しながら、自