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マッドネスマッドネス~エブエブ感想~

アカデミー賞7部門受賞したeverything everywhere all at onceを鑑賞。

自分映画史上一番狂気溢れる作品だった。
脚本から演出まで全てにおいてぶっ飛んでいた。苦悩の狂気からの悟りをアクションやコメディと煮詰めて飲み込んだようなストーリーでそれを傍観者として見ている観客も狂気の渦に巻き込まれてそこを受容できるか、楽しめるかどうかで感想が変わってくると思う。挫折したことがあったり登場人物と少しでも同じ経験があったら心に残る作品だが観る人をかなり選ぶようだった。

作品情報⇓
https://gaga.ne.jp/eeaao/


・マルチバース要素
直近だと「ドクターストレンジMoM」が挙げられるがMoMでは多次元宇宙の自分(ある意味ドッペルゲンガー)と相対したのに対して今作では多次元でも自分は自分でありその自分を現バースの自分にイタコ的に降臨させる扱いだった。バースジャンプについて魔法などの超常的な方法ではなく突拍子もないけどアルゴリズムが作中で確立されている設定がよかった。

・演出
エブリンとジョブが岩のバースで話すときの演出やジョブの強襲シーン、ラカクーニを追うための肩車走法など暗いシーンもありながらコメディに吹っ切れているシーンも多くて気温の高低差で脳みそがシェイクされまくった
モザイクでアクションするなんて銀魂でしかみたことないよ(誉め言葉)
犬をぶん回すシーンはちょっと引いた

・キーホイクァン
インディジョーンズとグーニーズをビデオで追った世代として彼の演技を映画館で鑑賞することができてうれしかった。アカデミー賞やディズニープラスのイベントでのハリソンフォードとの再会はエモさが爆発していた。
ウェイモンドの演じ分けもアクションシーンも素晴らしかった。次は「ロキ」のシーズン2に出演するそうなので楽しみだ。

以下鑑賞後前提の語り

一見マルチバースをジャンプしまくることが狂気に思えるけど、この作品の本当の狂気はあの真っ黒なベーグルに集約されている。

ジョブが生まれたのは明らかにアルファエブリンのせいだけど他のバースを経験して自分の人生に付きまとう無理解や孤独とそれに付随した苦悩がベーグルを造り出したのだと思う。あれはジョブ(ジョイ)にとっての真理で同じバースジャンプを経験したエブリンに見てもらうことでその真理を違う解釈で捉えることができたら救いになると彼女は考えていたんじゃないか。でもエブリンも同じものしか見えなくて、考えることへの諦めや受容、そこからくる悟りがベーグルの中に飛び込むという行動に繋がった。最終的に新しい視点を得たエブリンによってハッピーエンドバース(春節)のジョイが理解を得られ救われたことでジョブも救い上げられたのだと思う
自分がここまで刺さったのはリアルで語り合える人間が少なく社会で疎外感を感じ人生で「ああしておけば」と思ったことが何度もあるからだろう。少しの理解で救われることってあるよな
エブリンがギョロ目👀開眼をしたのはウェイモンドの主張を聴いてからなのであの👀=ウェイモンドなのだろう。弱い・ダメ人間と下に見ていたウェイモンドに新しい視点を与えられたことで結果ジョイ/ジョブを救うことが出来た。駆け落ちしたことで数多の成功を手に出来なかったけれどウェイモンドと結婚したからこそジョイ/ジョブを救うという一番大きい成功をつかみ取ることが出来たのだと思う。
春節バースのゴンゴンも先入観通りの人物でないことが分かり確かにhappy endなのだが乱闘バース(最初に見ていたバース)は結局あの後どう収拾が付いたのだろうか。乱闘バースのエブリンが最低人生をおくったことで他のバースで成功するのなら、乱闘バースのエブリンは犯罪者として逮捕されてしまった可能性もなくはない…?



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