ドイツでおせち作り
ドイツに来てから20年以上になりますが、ほぼ毎年"おせち"を作っています。
……と言っても、
個人的に好きな黒豆と紅白なます、たたきごぼうという3つ以外はちょこっとずつ好きなものをおつまみのように作るだけ。
後は魚卵を食べるチャンス!と奮発してロシア食材店でイクラを買ったり、生ハムやスモークサーモンを張り込んでみたり。
ドイツ(ベルリン)でもなんとか材料を調達して作ることができる、頑張らなくてもちょこっと楽しめるおせち、どういうポイントを重視して作ってるか、覚書きしたいと思います。
①重箱に詰めない
日本の実家でも、重箱ではなく皿盛りのスタイルだったのですが、ドイツ、デュッセルドルフの食材店で重箱を見つけて、やっぱりおせちは重箱でしょ!と重箱を購入。はりきって作りましたが、お節を重箱にきっちり美しく詰めるのが難しい(量足りない…)
その上食べたあとはんぱに残って、毎日詰め直すことになる。
しかも2人暮らしには何重も食べ切れない。
参の重に入れるお煮しめを作りすぎ、腐らせてしまい、それ以来おせちにお重は使っていません。 お皿に好きなものをちょっとずつ盛るのが、ドイツの友人たちにとっても食べやすいような気がします。
重箱だったら、TIME & STYLEのものが使いやすそうです。
②好きなものをメインに2日で食べ切れるくらいの量
好きなものを好きなだけ。
うちは2人暮らしなので、基本的に2人(+友達)が2回食べて、後は夕食のおかずになる……くらいの量を想定して作っています。大好きなたたきごぼう(的なもの)は作ってる最中からつまみ食いするのであっという間に無くなります。
③甘・塩・酢っぱいのバランスを考える
④できれば温めて食べられるものを添える
おせちって作っても食べないし、飽きない?ってよく言われるのですが、確かに甘いものが多いのであまり量が入らない気がします。しかも作り置きが多く冷たいからなんか箸が進まない。
なので、
甘いもの:黒豆 金柑煮 栗の渋皮煮(作りおき)
塩っぱいもの:卵系の何か(燻製の卵、竜眼巻き、卵焼きなど) 八幡巻き 鶏肉の松風 数の子
酸っぱいもの:紅白なます たたきごぼう 菊花カブ
などの中から食べたいもの、できそうなものを味のバランスを見て作り、
出す時に暖かい茶碗蒸しを添えたりします。茶碗蒸しは難しそうと思ってたんですがある日やってみたら意外に簡単!蒸し器がなくても鍋に小皿を乗っけて、とか色々やり方があるのがわかってちょくちょく作るようになりました。
日本から買ってきた可愛いお麩とかあると格段に可愛く、お正月風になります。なくても何か飾り切りすればバッチリ!
さらに焼き豚や角煮などのしょっぱくてあったかいお肉料理があると、ご馳走感もあるしお腹も満たされる気がします。
⑤洋風のお寿司があると華やか(で、お腹もいっぱいに)
餅を食べない代わりに、ご飯もの。
数年前からラインナップに入ったのがお寿司です。
北海水産の塩サバを使った焼き鯖の押し寿司
そして生ハムxカブの手まり寿司
生ハムの手まり寿司は材料もドイツで手に入りやすい!し、ドイツの人にも好評。あればカブの漬物をはさんで、ロシア食材店で買ったいくらをお醤油代わりにかけると華やかです♡
ベジの友達にはラディッシュやズッキーニの手まりずしを。
作るもののラインナップが決まったら、時間割。
時間がかかるもの、早めに作っておいても大丈夫なものから取り掛かります。私はクリスマスが終わったくらいのタイミングで今年のラインナップを考え、アジア食材店、ロシア食材店(主にいくら)やスーパーに行って色々買い込んできます。
この段階で、カブが見つからない!(ベルリンではEDEKAで見つかる確率が高いように思うんですが全然ない時も)
ごぼう代わりのSchwarzwurzelがカスカスだった!
スモークサーモンが高すぎた!とかで、色々断念することもあります……
そして、意外に大切なのが手持ちの調味料の残量を確認しておくこと。
醤油や料理用酒、胡麻やお砂糖など。
お節は思った以上に結構量を使うのと、足りない!ってなった時気軽に角のコンビニで買えるような環境ではないので(涙)
>1週間前〜
金柑煮
栗きんとんは好きなんですが、日本のさつまいもに似たものはどうやっても手に入らないし、栗の甘露煮も大変なのでスキップ。その代わり、最近ちらほらドイツの市場などでも見かけるようになった金柑を甘煮に。
金柑はKumquatsという名前で売っています。シロップ煮にしておくと日持ちもするし、アイスに乗っけても、お茶請けにも美味しいのでたくさん仕込みます。私はこちらのレシピを参考に、最後に柑橘系の蒸留酒とかリキュールで香り付けしています。
焼き豚
今井真実さんの焼いてから漬け込み、最後にオーブンでカリッと焼き目をつける+温める 焼き豚レシピを発見してから何度か作っています。当日は温めるだけなのでパーティとかにもぴったり。漬け込んだまま1週間くらい忘れたことがあったんですが、脂身がとろける甘さになっていました!
年越し蕎麦に乗っけても美味しそう。
>クリスマス明け〜
数の子
作るものや材料にもよりますが、米の研ぎ汁に浸す(1日)塩抜き(1日)漬け込む(1日)と考えると、4日前くらいから取り掛かりたい。
塩抜きのやり方はこちらを参考にしています。
数の子は北海水産で買ったものを友人と二等分。松前漬けが好きなので日本の富澤商店でセットを買ってきましたが、アジア食材店に昆布、スルメ的なものはあるので自作しても。
黒豆
黒豆は、キドニービーンズとかでも代用できますが、あの歯ごたえはやはり黒い大豆Schwarze Sojabohnenならではのもの……なので、マクロビ食材を扱うお店で見つけたものを使います(KUROMAMEとかSchwarze Sojabohnenで検索すると結構ヒットします)。丹波の黒豆があれば最高なんですが!
黒豆煮は時間はかかるけど手順は簡単。
土井善晴さんのレシピで、鉄鍋を使って煮て、最後に香り付けにラム酒(ブランデーなどでも)を加えています。
出す時には生の金柑のスライスを添えても。ラム酒が香る黒豆は柿や寒天にもよく合いますよ!(→長尾智子さんの「お茶にあう和風のおかし」より)
>30日〜
紅白なます カブ漬け たたきごぼう
八幡巻き 鶏肉の松風焼き 燻製の卵や竜眼巻きなども
お肉屋さんで薄切り肉をたくさん注文して、小分けにして冷凍してたものを使って、牛蒡の残りとにんじんの残りと巻いて八幡巻き。鶏肉は挽肉がないので、フードプロセッサーにかけて松風焼きに。
燻製にハマっていた時は半熟卵と、新巻鮭を燻製にしたりもしました。
紅白なます、大根Daikon-Rettichは最近ドイツのスーパーでも入手が簡単になりましたね〜。便利な細切り用スライサーで細切りにして、最後にドライアプリコットを少し入れるのが気に入っています。ライムとかレモンのスライスも一緒に。生ハム寿司に美味しいカブのスライスも、この日に漬けておきます。カブはMairübenという名前で売ってます。
たたきごぼう(に似たもの)は日本のごぼうはKlettenwurzelという名前なのですがスーパーなどではほぼ見つからず。なので西洋ごぼうSchwarzwurzelで代用します。香りはほぼなし、皮はたわしで擦るだけでは剥きにくいのでピーラーで皮を剥きます。ピーラーにも煮る時の鍋にもベトベトしたものがつくのでお酢を入れて煮ます。(ベトベトはお酢で取れます)
胡麻は最近はオーガニックスーパーで入手が可能。
>31日〜
塩サバ寿司
北海水産で買った塩サバを焼いて、すり胡麻とガリを刻んだものを入れた酢飯と一緒にラップを敷いたパウンドケーキ型に押し入れて作る塩サバ寿司。少しおいておいた方が味が馴染んで切りやすくなるので前日に作ります。
生ハム寿司は当日に作った方が美味しいので、酢飯を両日作るのは少々面倒。どちらかにしたほうが楽かもしれません。
友達が来るときは、キンピラや、炒り卵と胡麻、枝豆などを入れた混ぜご飯いなり寿司が人気なので、せっせと仕込みます。
八幡巻き 鶏肉の松風焼き は前日に作っても。
今年は柚子胡椒があるので、柚子胡椒を入れた鶏ハムにしようかな?
大晦日は外でパーティのことも多いので、仕込みはほとんどしないです。
>元旦当日
だし巻き卵 お雑煮的なもの 生ハム寿司 ちらし寿司など
焼き豚をオーブンで温める
相方が餅が好きではないので、ウチではお雑煮はあまり作りません。(その代わり茶碗蒸し、白玉が入ったすまし汁などを作ることも)
生ハム寿司は、お茶碗にラップを敷いて生ハムを広げた上に薄切りにしたカブの漬物を乗せ、すし飯を乗っけてくるっと丸めて作ります。カブの漬物は梅酢か梅干し入りのお酢で漬けると合う気がします。
盛り付け
お皿は角皿を入れるとモダンでちょっとおしゃれに見える気が。人数が多い時は、焼き魚用の角皿に3種類くらい盛り付けて、あとはドーンと大皿で取り分けスタイルでも。
料理もお皿も色はあまり使わず、紅白+黒で。
最近は実家からもらってきた漆器が大活躍!丸い皿はバランスが難しい気がしてよく使うのは白いオバール型のお皿。
下に和紙を敷いたり、竹っぽいランチョンマットを敷いて和風にしたり。折り紙で箸袋を作ると、古い箸でも気持ち新たにお正月感が出る気がします。
黒豆など汁が出るものは、ライムやレモン(は底をちょっと切ると安定します)くり抜いた中に入れて柚子釜風に。お猪口や豆皿に入れて平皿の上に乗っけても。
お酒は能作の錫の片口に。
あとはノベルティのヒノキの枡、ロゴを相方が削りおとしてくれたもの。
漆器に、ドイツのアンティークの銀器も案外合うなと思ったり。
毎年作っていると、最初は入っていた海老や蓮根が無くなっていたり(探すのが大変な上、相方が海老の殻を食べないので勿体無いと作らなくなった)
紅白なますにアプリコットが入ったり、八幡巻きが加わったり(これは最初は猫が巻いた紐を食べてしまって大晦日に救急病院に行くことになって大騒ぎ)振り返ってみると、いろんな変遷も懐かしい。
そして、友人たちにおせちの由来を説明するため、せっせと日本の食文化や伝統を調べてドイツ語に訳したり。
えーと末広がりってどう説明したらいいんですかね?
一年の区切りとして、なんとはなしに楽しい年中行事。
さあ、2023年のおせちは何を作ろうかな?
燻製にハマっていたな〜と写真を見返して検索していたら、なんと羊羹のお茶燻製!というものが。
燻製って難しそうに思いますが、実はフライパンとお茶っぱ、アルミホイルと網(的なもの)があればできちゃうと知ってからハマりました。なま物はちょっとコツがいりますが、干物など乾き物、ポテトチップ、ナッツなども美味しい!やりだすとハマります・・
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