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これまで書いた製作ノート

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過去公演の製作過程を書いた“製作ノート”を一つにまとめました。
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#物語

3月 幻灯劇場第十回公演『DADA』

先日、伊丹アイホールで上演された幻灯劇場第十回公演『DADA』の創作過程について、きっかけとなった2013年の冬から書いてみます。ちょっと長くなるかもしれません。長いことこの作品に向き合ってきたもんですから。 ※上演風景と歌詞はこちら 京都駅のホームレスとの出会い 2013年。僕は兵庫県立宝塚北高校演劇科に通うため、滋賀県の実家から毎日片道2時間50分かけて通学していました。演劇が好きで、演劇科の授業だけでは物足りず、演劇部にも入って作品を作っていました。演劇の授業と演

5月-3月センチュリー豊中名曲シリーズ

「喜怒哀楽、四つの感情をテーマに四つの小説を書き下ろしてほしい」とお声がけ頂いたのは2021年の夏頃でした。劇作家の僕がオーケストラの公演にどのように関わればいいのか全く想像がつかず、ひとまず日本センチュリー交響楽団の公演を観にいくことにしました。 生まれて初めてみるオーケストラの演奏会は、とても刺激的な体験でした。統率された音の群れは巨大な一体の生物の呼吸音にも聞こえ、躍動する音の塊に、僕は何度も何度も心を揺さぶられました。劇場を出て興奮冷めやらぬ内に返事をかえし、この素

音楽劇『鬱憤』 再演版 製作ノート

フェニーチェ堺で上演された音楽劇『鬱憤』を振り返るnoteです。パンフレットを作れなかったので、代わりにここで製作過程を振り返ってみます。細かい内容にも言及するので、ご来場いただいた方や戯曲をお持ちの方向けの内容になるかもしれません。 再演するってさ! 京都で『鬱憤』の初演が終わった頃、大阪の劇場・フェニーチェ堺から「幻灯劇場の作品を上演しませんか」と声をかけて頂いた。これまでフェニーチェ堺では『演劇解体新書シリーズ』という実験的なWSシリーズを継続して実施してきた。今年