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これまで書いた製作ノート

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過去公演の製作過程を書いた“製作ノート”を一つにまとめました。
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2023年3月の記事一覧

「STORY FOR TWO」藤井個人的ベストエピソード

1996年4月より2021年3月までの25年間、Kiss FM KOBEで毎週金曜夜に放送されていたラジオドラマ番組『STORY FOR TWO』 2018年 僕はこの番組にゲスト作家として短編を書き「その際のフリートークの声が良い」というミラクルな理由で次の年度からパーソナリティをしないかとお声がけ頂きました。そして2019年-2021年の二年間、レギュラー出演することになるのです。 そんな、この番組最後のパーソナリティー藤井が、過去放送アーカイブから選ぶ個人的な傑作選です

3月 幻灯劇場第十回公演『DADA』

先日、伊丹アイホールで上演された幻灯劇場第十回公演『DADA』の創作過程について、きっかけとなった2013年の冬から書いてみます。ちょっと長くなるかもしれません。長いことこの作品に向き合ってきたもんですから。 ※上演風景と歌詞はこちら 京都駅のホームレスとの出会い 2013年。僕は兵庫県立宝塚北高校演劇科に通うため、滋賀県の実家から毎日片道2時間50分かけて通学していました。演劇が好きで、演劇科の授業だけでは物足りず、演劇部にも入って作品を作っていました。演劇の授業と演

3月THE GREATEST SHOW-NEN Aぇ!group×幻灯劇場 『鬱憤』

朝日放送で放送されたTV番組「THE GREATEST SHOW-NEN」の Aぇ!group×幻灯劇場『鬱憤』回について振り返るnoteです。ひとまず『鬱憤』という作品の成り立ちまで遡ります。 十六人と『鬱憤』を作る。 音楽劇『鬱憤』は16人の俳優とディスカッションを重ねながら作っていきました。台本が何も無い状態で稽古初日を迎え「コロナ禍で感じた鬱憤」をテーマに、お互いの話を聞いていく。コロナ禍によって関係が良くない家族と離れることが出来ない/バイトしたくてもシフトに安

5月-3月センチュリー豊中名曲シリーズ

「喜怒哀楽、四つの感情をテーマに四つの小説を書き下ろしてほしい」とお声がけ頂いたのは2021年の夏頃でした。劇作家の僕がオーケストラの公演にどのように関わればいいのか全く想像がつかず、ひとまず日本センチュリー交響楽団の公演を観にいくことにしました。 生まれて初めてみるオーケストラの演奏会は、とても刺激的な体験でした。統率された音の群れは巨大な一体の生物の呼吸音にも聞こえ、躍動する音の塊に、僕は何度も何度も心を揺さぶられました。劇場を出て興奮冷めやらぬ内に返事をかえし、この素