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TENBOX(10匣)の「マッシュルームナイトシャツ」

 洋服を買う楽しみを覚えたのは、4年前くらいになる。
 大抵の大学生と同じように、まずは古着に興味を持ち始めた。トミーヒルフィガーとかラルフローレンとか、80年代に流行ったカジュアルなアイテムを求めて、下北沢や原宿へ。バイト代で賄える程度の金額で買えてしまうことが分かると、どんどんのめり込んでいった。当時は少し太っていたから、オーバーサイズな古着は体型を隠すという点でも、もってこいだった。

 そして何より古着は、かならず個性的だ。素材が上質なもの、シルエットが美しいもの、パターンが斬新なもの・・・個性はそれぞれ違えど、店頭に並ぶのは、一度人の手に渡っても捨てられずに大事に保管されていた、百戦錬磨のアイテムたち。その光景に見慣れてくると、やっぱり「強い」服が好きになる。着るだけで気分を上げてくれる、武器や装備のような意識。
 
 新品でシーズンものを買うようになった今でも、何処かその哲学は引き継がれている気がする。少ないアイテムの中で着こなしを工夫することこそ、ファッションの醍醐味かもしれないが、それでも僕は、目立つ「一点モノ」を購入したくなる。ロゴドンな人たちとは距離を取りつつも、そのブランドしか成し得ないアートピースを見つけて、どんどん「装着」していきたい。

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 TENBOXのマッシュルームナイトシャツは、そんな僕を象徴するような、オキニなシャツ。Instagramで、ブランドディレクターのpiguさん自身が旅で着用している写真を見た時、一目惚れしてしまった。

 マッシュルームナイトという名前の通り、「伝統的なヘッセドレススチュワートをマジックマッシュルームを食べて見たら歪んでいた」という、ちょっと危ないコンセプト。サイケな世界観、そしてポケットが5つも付いているというアウトドアな風貌が、「旅をテーマに、気まぐれにその時に着たいものを制作する」TENBOXらしい。・・・なんて文脈理解はさておき、もう巡り逢えないだろうこの斬新なパターンが、僕のテンションをどんどん上げていく。それだけのことだった。

 購入したのはJOURNAL STANDARD 表参道店で、値段は3万円ちょっと。まだ金銭感覚が保守的だった僕は少しビビったけれど、piguさんが(頻繁に)ストーリーズで更新する売れ行き状況をキャッチしていた僕は、試着した勢いで購入。(その後何故か、店員さんの口車に乗せられ、セレクトショップオリジナルのダウンも買ってしまった。。まあ、暖かいからいいけど)

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 ぜひ単体で着て街を歩きたいものだけれど、近年の気候条件とうまくマッチしないのと、目がシバシバすると通行人からクレームをつけられかねないので、暗めのアウターは欠かせない。piguさんがよく上に羽織ったのは黒のカーディガンだったけれど、僕はネイビー系で仕上げる。写真で着ているのは、UNDERCOVERのワークシャツ。これもまた別の機会に紹介したいくらい良いアイテムで、僕にとっては贅沢なコンビネーション(ハンガーで重ねて掛けて保管していたときに、偶然見つけた)。冬までの少し肌寒い時期、重宝する組み合わせ。これからもこうやって、強い服に守られて生きたい。

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