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MM6の「シングルコート」

 昨年の10月3日、彼女の誕生日プレゼントを探すという名目で、僕は表参道にいた。立ち並ぶハイブランドのお店と、魅力的な商品たち。後先のことを全く考えなければ、という条件付きで「買えなくもない」という経済状況に置かれた、社会人2年目。そしてこの日は、長期戦だった地方ロケの撮影が終了して久々の休日。なにか、自分へのご褒美を探していた時期だった。

 倉敷の記事でも書いた通り、僕は街を徘徊することが大好きで、表参道や青山、キャットストリート付近も例外ではなかった。ウィンドウショッピングと言えば聞こえはいいが、体力と相談せずに歩き続けるので、圧倒的にコスパが悪い。そういう時に出会うアイテムはどれも若干惜しかったりして、結局「別に今買わなくてもいいしな」と強がりながら、無駄に疲れた足を引きずって1日を終える。そんなことが何回か続いていたので、この日は「今日こそは何かを買ってやろう」という"チート設定"をしていた。

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 そんな日に出会ってしまったのが、MM6のシングルコート。
 マルジェラ系統には少し前から興味あったけれど、今回は"M"が彼女のイニシャルという下手な理由だけでMM6をセレクト。そして、定番のジャパニーズトートを購入するついでに「他のアイテムも見ます」なんて機嫌よく答えてしまったのが事の始まりである。なんて接客しやすいお客だろう。

 僕はこのシルエットに一目惚れをした。良い着用画像がなく、伝わりづらいのが残念だが、この、若干丸みを帯びている感じがとても可愛い。店員さんに「誰にでも似合うコートがあるんですよ」と紹介されて、言われるがままに試着する流れとなり、体感をしてしまった。接客上手とは恐ろしいもので、なんとなく、僕が一番似合っている気がしてきた。

 さらに惚れたのは、見た目に反して軽い(そして暖かい)ということだ。今まで、コートを着た時に感じていた重みをほとんど感じなかった。
 唯一の欠点は、身頃がボリューミーなため、通勤用バッグが若干肩にかけづらい点。もしかしたらこれは、もう少しモードなトートバッグを買えという啓示なのかもしれない。(実は最近、そういう類が気になり始めている)

 値段は10万円+税。これまでの人生で一番高い買い物だ。
 とはいえ、今後の僕のマスターピースになってくれそうなアイテムだと思うと、良い選択だったのかもしれない。実は、大切なアイテムゆえに「出し惜しみ」をしてしまい、まだ実地経験は少ないけれど、これからの季節、肌寒い冬の日には大活躍してくれそう。いや、活躍してくれなきゃ困る。

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