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ゼロから始めるオンラインライブ(導入編)

■はじめに

 みなさんこんにちは、こんばんは、Sotamakiです。私はラブライブ!コピーユニット『カガライブ!』でスタッフをやっています。近年はCOVID-19の影響により対面での音楽ライブやコンサートは開催することが難しくなりました。そんな中、カガライブ!では複数カメラを使用したライブ配信をいち早く導入しました。初めて本格的なライブ配信を導入したのは2020年3月に開催した4th KagaLive!でしたが、この時は筑波大学発ベンチャー企業である輝日株式会社さんに委託する形で行いました。そこから約1年後には6th online KagaLive!が開催されました。本家さながらのカメラワークは視聴者の皆様もご覧になったと思います。

 本記事ではオンラインライブを導入・実行していく中で私が得た知識を紹介していきます。「配信機材とか詳しくないし....」という方でも大丈夫!私も一年前までは全くの素人でした!というわけでゆるりと解説していきます!

■配線図と各機材の概要

 まず、機材の構成は以下の図のようになります。

ライブ配信配線図.002

 この図は機材の構成を示したもので、5th KagaLive!で実際に使用した構成に加えて6th KagaLive!で使用した技術も一部書き加えた+α仕様になっています。配信プラットフォームはお馴染みYouTube Live、エンコーダソフトウェアはフリーのOBS(Open Broadcaster Software)を使用しています。

 基本的な考え方としては、カメラをスイッチャーに繋ぎ、スイッチャーで集約されたカメラの映像から配信したい映像を選択し、配信用PCを通してYouTube Liveに配信するという流れになります。

 それでは各機材を大まかに説明していきます。

・カメラ

 キャストを撮影する為に使うカメラです。大体上手(ステージに向かって右)側、中央、下手(ステージに向かって左)側に1台ずつ配置すると色んな角度から撮影出来て楽しいのではないでしょうか。業務用のカメラがあればもちろん良いですが、家庭用のデジタルHDビデオカメラでも十分なレベルで撮影できます。しかし、物によってはHDMI出力(つまり配信)しながら録画できなかったり、グリッドやガイドが配信にのってしまう事などがあるため、本番前のシェイクダウンはかなり重要です。スイッチャーとの接続にはHDMIを使用しますが、家庭用ビデオカメラにはミニHDMIやマイクロHDMIの端子しか無い場合が多いため、適宜変換プラグが必要です。

・スイッチャー

 映像制作や中継の現場において、画面の切り替えを行う機材のことです。オンラインライブにおいて最も重要とも言える機材&役割です。

・返し用4CH分割モニタ

 スイッチャーに集約されたカメラの映像をリアルタイムで確認するための使用します。HDMIが接続できるモニターならなんでも良いです。

・タリーランプ

 テレビカメラやモニタ等に取り付けられた赤・緑の表示灯のこと。ライブやテレビ番組の収録には複数のカメラが用いられるのですが、これが赤く点灯すると、その機器がスイッチャーにおいて選択され、放送や収録用に使われていることを示す便利な代物です。2021年3月に開催された6th online KagaLive!のカメラワークもこのタリーランプがあったから実現できました。

・テロッパー用PC

 サムネイルに切り替えたり、配信中に動画を流したりする際に使用します。Roland VR-4HDをスイッチャーとして選択する場合はHDMI INが4つあるためカメラ3台+テロッパー用PCという運用が割とスタンダードです。エンコーダソフトウェアのOBSにもサムネイルを表示したり動画を再生したりできる機能はありますが、配信中のPCを操作すると誤って配信を終了してしまう恐れがあるためライブ配信初心者の方はオススメしません。

・配信用PC

 YouTube LiveとOBS使用して配信するPCです。この役割のPCはある程度スペックが要求されます。大体intelのCPUならcore i5やcore i7とともに、GPUと呼ばれるグラフィックボードも搭載しているとスムーズな映像を配信することができます。参考情報として5th、6th KagaLive!で使用したPCのスペックを載せておきます。

5th
PC:Apple MacBookPro 16inch
CPU:2.4GHz 8コアIntel Core i9
GPU:AMD Radeon Pro 5500M(8GB GDDR6メ‍モ‍リ搭載)
メモリ:32GB 2667 MHz DDR4

6th
PC:MSI Prestige-14-A10SC-280JP
CPU:1.1GHz 6コアIntel Core i7
GPU:NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Q デザイン
メモリ:16GB LPDDR3 オンボード

・音源用PC

 音源を流すためのPCです。正直、本番中にカクついたりしなければなんでも大丈夫です。

・スピーカー

 スピーカーはLとRの2台をステージ後方に配置し、キャストはその音を聞いて踊ります。対面とオンラインのハイブリットライブでなければある程度のスペックのもので十分です。

・MC用マイク

 ライブにはMCが付き物です。6th online KagaLive!では3人に1本ずつの合計3本使用しました。

・オーディオミキサー

 ミキシング・コンソールとも言います。音響信号(マイク/ライン入力などの素材)間のレベルバランスを調整して混合(ミキシング)し、出力する機器の事です。音源、カメラマイク、MC用マイクの音をシチュエーションによってこのオーディオミキサーでMIXします。

・インターネット環境

 重要です。他にどんなに良い機材を用意したところでそのデータを安定して送信する事の出来るインターネット環境が無ければ全く意味がありません。ここで重要なのは上り(アップロード)のスピードです。アプリケーションから6Mbps程度でアップロードする場合、大体3〜5倍程度の速度が安定して出ていれば快適に配信することができます。その時、その場所で速度の出やすいバンド(周波数帯)を固定するなども重要です。また、通信速度を安定させるためにWi-Fiではなく有線で接続する事を強くオススメします。

■実際に使用した機材

構成は大体分かったけど、実際にはどの機材を使ったらいいの?って思っているそこのアナタ!大丈夫!それも紹介しちゃいます!

Roland VR-4HD AV MIXER

   これ1台でフルHD1080p対応のビデオ・スイッチャー、デジタル・オーディオ・ミキサーなどが揃ってしまうという代物です。初めての方には是非ともオススメしたい一品です。

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ヤマハ STAGEPAS 400BT

 コンパクトなポータブルPAシステムです。パワードミキサーとスピーカーがセットになっています。カメラマイク以外の音響機器はここに集約します。

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Cerevo FlexTally

 Cerevoのスイッチャーをはじめとして、他社製スイッチャーに対応している、低価格なタリーランプシステムです。このFlexTallyは親機と子機がBluetoothで接続できるため配線などの手間もなく自由度が高いです。Roland VR-4HDに接続するためには専用のFlexTally用GPIOケーブルが必要なのですが、なんとこのケーブル、セミオーダーしないと手に入りません!!結局どうしたかというと、D-sub15ピンコネクタを買って自作しました!

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■Q&Aコーナー

Q.PAってなんですか?

PA(Public Adress)とは、音響機器の事です。機器全般をさして言うので、マイク・アンプ・スピーカーなどをまとめて、PAと言います。

Q.これらの機材はどうやって手に入れたの?

 ほぼ全てレンタルしました。ネットで借りるなら、パンダスタジオ・レンタルさんとかおすすめですね。

Q.FlexTally用GPIOケーブルは自作したんですか?

 普通にセミオーダーしたらそれなりのものが届くんですけど、お値段もなかなかな上に納期も営業日20日前後と時間がかかるため、自作するという選択肢を取りました。自作、というと敷居が高いイメージがありますがそんなに難しくありません。事実私も中学の時の技術の授業以来、はんだ付けなどはやったことがありませんでした。

参考にした資料は結線図FlexTallyのGPIO情報Roland VR-4HDのTALLY/GPIO端子の情報です。これらの情報を元にピン同士を銅線で繋げばいいだけです。参考ですが私はこのコネクタを使いました。要は15ピン3列のD-subコネクタアダプタならなんでも良いのです。

■終わりに

 はい、ということでゼロから始めるオンラインライブ(導入編)でした。いかがだったでしょうか。もっとこういうことが知りたいとか、ここはどうしてたの〜?とか質問とか受け付けてますんでお気軽にどうぞ!!

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