ケアマネマインドの育て方① 家をあきらめない
どのケアマネジャーが着くかによって、その利用者さんの余生にまで影響を及ぼしてしまいますから、すべてのケアマネジャー (事業所) が、質の高いサービスを提供できるようにするのが理想です。
しかし、どんなに経験を積んでスキルを磨いても、根本的な考え方が間違っていては、× 0 になってしまいます。
ケアマネジャーも人間ですから、みんなそれぞれ性格や考え方も違いますが、支援するにあたっての指標を持つようにしましょう。
誰もが家で暮らしたい
最近は、特養以外にも有料老人ホームやサ高住など、さまざまな施設が充実してきていますが、やはり、利用者さんとしては、施設に対してあまりよいイメージを抱かないのが現実のようです。
決して施設が悪いとかそういうことではく、住み慣れた家でずっと暮らしたいと思うのは、誰でも当たり前のことです。私たちが、利用者さんの立場でも同じように考えるはずです。
そもそも特養は、要介護3以上とハードルが高い上になかなか空きが無く、民間の施設だと費用も高くつくので、現実的に家で暮らさざるを得ない人もたくさんいます。
これからまだまだ高齢者が増えていくわけですから、施設だけで対応できるはずはなく、在宅サービスの充実や、在宅のケアマネジャーの力量が鍵になってくるでしょう。
在宅のケアマネの存在意義
私たちは、利用者さんが、住み慣れた家で、できる限り長く暮らすことを支援するためのケアマネジャーです。
たまに、ケアマネが、「自分が大変だから」という理由で、安易に入所を促してしまう話を聞きます。これは、絶対にあってはならないことですし、私たちの存在意義の否定にもなりかねません。私たちは、在宅サービスを利用してもらうことで報酬を得ているわけですから、これでは商売にもならないですよね。
できる限り在宅での生活を続けるために、私たちに何ができるのか⁇ 在宅生活の限界とは、何を以て判断するのか⁇ 次の項で考えてみましょう。
在宅生活の限界とは
在宅生活の限界を伝えるのも私たちの仕事だと言われていますが、その見極めを安易に考えてしまうことはないでしょうか。
また、利用者さんやご家族も、本当は家で暮らしたいけれど、そのための術が分からないために、あきらめてしまっている可能性もあります。
利用者さんやご家族の意向が第一ですから、施設を希望するならそのまま話を進めるのは当然のことかもしれませんが、その背景にあるものに目を向けてみましょう。
たとえば、入院中の利用者さんのご家族が、「寝たきりだから、とても家では見られない」と、不安に感じるのは当然のことです。
こういうときは、寝たきりで家に帰って来たときに、具体的にどんなことに困るのか⁇ どこをクリアできれば、不安は消えるのか⁇ 困りごとに対して、どのように解決すればよいのか⁇ ご家族と1つ1つ向き合ってみましょう。
お下のお世話ができないなら、ヘルパーさんに全部やってもらう。
ご家族が不在のときは、デイサービスやショートステイを利用する。
病院に連れて行くのが大変であれば、訪問診療や看護を利用する。
私たちからすれば当たり前のことかもしれませんが、利用者さんやご家族は、初めてのことで、まったくイメージがつかないわけです。こういったところを丁寧に説明してあげることによって、希望を持つことができるかもしれませんよね。
私たちができる限りの引き出しを持ち、まわりのスタッフや社会資源、相談機関など知識を結集し、最良の判断や提案をすることが大切です。在宅をあきらめるのは、できることを考え尽くしてからでも遅くはないのです。