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実行のすすめ

最近、諸子百家や日本の幕末を結構調べている。目的は歴史上の組織や哲学のエッセンスをスターテイルに取り組むことなのだが、どうしてもインプットがとても多くなってしまうので、全くまとまっているとは思わないが体系化するためにアウトプットとしてブログを記載している。歴史上、存続し続けることができた組織というものは存在しない。古代ローマ帝国で約500年、江戸幕府でも265年である。スターテイルが今後数十年、数百年を見据えた時に何をしてどう発展していくかを考えていく時に、最初から哲学と歴史に検証されたイデオロギーやDNAを仕組みをして持っておくのは何よりも重要だと考えている。例えば、組織のマネジメントだけみても、王道を通せる時代は性善説で孟子の言うように「仁」「義」「礼」「智」を基盤とした組織秩序を目指せば良いし、乱世には覇道である法家の韓非子が言う「法」「術」「勢」を基盤にして組織をマネジメントすれば良いのではないかと思う。常時、「将(孫子:将とは「智」「信」「仁」「勇」「厳」)」「天」「地」を考慮して、人材をあつめ、戦略を練り、実際の戦時には孫子でいう「風」「林」「火」「山」「隠」「雷」のように動く必要がある。これらは全部仮説であるし、何より実践を通して仮説を検証していけば良いと思う。その意味で、スターテイルの哲学は進化し続けるし、その進化のメカニズムをうまく内包する組織こそ成長しながら長く存続する組織だと思う。

前置きが長くなってしまったが、今回は実行のススメという題名でブログを書いていきたい。Web3でもなくても、ビジネスで最も難しいのはロジカルシンキングでも技術に対する深い知見でもなく、人間関係である。言い換えるのであれば人との関わりである。これはビジネスパートナーとの関わり方であったり、社内のメンバーのマネジメントであったり、投資家との関係性構築だったりする。特に、スターテイルでは19カ国にメンバーが存在し国籍も非常に多様であるため共通のバックグラウンドがいい意味でもわるい意味でも存在しない。日本人比率は約33%である。全員が日本人であればいわゆる空気を読むとか相手を敬うといった日本人同士であれば当たり前として考えられていることがある。しかし、世界各地にメンバーがおり、キリスト教、イスラム教、儒教、無宗教など様々な思想、育ちや話すネイティブの言語が違う中で何かしらのコンセンサスをこのくそ早いWeb3の世界でとっていくには何かしら新しい哲学が会社には必要である。それが企業で言うとカルチャーと呼ばれるものであるが、カルチャー以上にメンバーのバックグラウンドになるような強烈な哲学を作りたいと思っている。

そんな中で社内で現在ルールになっているのが、いくら働いたとかいくら休んだとか関係なく一律、会社のミッションに対するアウトプット・結果とカルチャーフィットで人事評価をするということだ。実際のKPIやKGI設定や落とし込みはブログではかけないので書かないし、まだまだ改善の余地しかないが一定うまく行っている。ここらへんはNetflixのNo Ruleという本からインサイトを多く受けている。

こうした仕組みも大きく歴史哲学の影響を受けている。

儒教の陽明学には「心即理」や「知行合一」の概念がある。人間の心が本来持っている道徳的な直感や知識こそが真理であり、行うことと知っていることは一体で真の知識は行動によって証明されるとしている。この陽明学はこれまでのいわゆる(机上で学ぶ)学問を重視する朱子学のアンチテーゼとして注目を集めたが、この熱烈な実行者で有名なのが吉田松陰である。吉田松陰は黒船に乗り込もうとしたり、獄中でも囚人を感化してしまいみんなで勉強会を開催した逸話や、松下村塾のメンバーである高杉晋作や伊藤博文などを世に送り出していたり、まさに実行を重視する教育者であったと思う。スターテイルでは批評よりもアウトプットや成果が重視される環境にしている。

また、同じ時代で言うと、福沢諭吉がいる。福沢諭吉の学問のススメという本は「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という言葉から文章が始まる。有名な言葉なので多くの人たちはこの言葉を知っていると思う。福沢諭吉は慶應を作った人なので慶應生なら全員知っているはずである笑。この言葉はあたかも人間の公平性や平等性を説いていると多くの人には認識されている。しかし、この言葉の真意は続く言葉を見ないとわからない。続きには、「人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥どろとの相違あるに似たるはなんぞや。その次第はなはだ明らかなり。『実語教じつごきょう』に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり。<中略>人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人げにんとなるなり。」

つまり、学問のススメは公平性や平等性とかについて書いてある書物では全くなく、世の中を見てみると裕福な人も貧しい人も、賢い人も、愚かな人もいるよね。それはひとえに学問をしているかどうかで決まるよねということを言っている。

福沢諭吉がすごいなあと思うのはこの学問が机上のいわゆる学問ではなく実学を指しているということだ。続きには

「学問とは、ただむずかしき字を知り、解げし難き古文を読み、和歌を楽しみ、詩を作るなど、世上に実のなき文学を言うにあらず。<中略> されば今、かかる実なき学問はまず次にし、もっぱら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。」実学とは、実際の生活や社会の役に立つ学問や技術のことを指す。会社で置き換えると、世の中わかったような批判や、言葉だけ言うだけのやつはマジでいらない。計画をもち、実行とその成果によって大きな差が生まれてくるよねという解釈をしている。

今はどうしても東洋思想中心な仕組みになってしまっているけど、これからは西洋思想や哲学もシステムに取り入れることで真にグローバルな環境にしていきたいと思う。

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