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未経験・独学・地方・社会人の税理士試験ふりかえり(簿記論・財務諸表論・消費税法)

2024年の税理士試験が終わりました。
受験された皆さま、お疲れ様でした!

2021年から受験している僕は、今回の受験で4回目となり、今年は消費税法のみ受験しました。
あんまり手応えないので、来年再受験かなぁと思いつつも、ひとときの解放感を味わっているところです。

試験直後の解放感を味わいつつも、これから受験される方々のために役に立つといいなと思い、これまでの勉強方法についてまとめてみたいと思います。

消費税法は合格できているわけでもないので勉強法が良いかどうかはわかりません。
しかし、僕のように周りに勉強仲間がいなくて、0から勉強する方の心配や不安を和らげることができると思っています。
こうした背景で、偉そうに筆を取ることをご容赦いただけると嬉しいです。

では参ります!

前提

まずは僕の状況を説明します。

・ 大学は経済学部だが、会計や税法に関する授業は取っていない
・ 大学4年生の冬から簿記の勉強スタート
・ 社会人2年目の秋まで勉強し、日商簿記2級を取得(仕事は会計や税務と関係なし)
・ その後約6年会計に関する勉強はせず、2021年2月に一念発起、税理士資格の勉強を開始
・ 2021簿×財×→2022簿×財⚪︎→2023簿⚪︎消×→2024消?→2025未定
・ TACや大原などの大手予備校がない田舎に在住、STUDYingとTACの市販問題集を使って独学
・ 分からないことは予備校生のブログ記事やXを追いかけてキャッチアップ
・ 妻と娘2人の4人家族、仕事家事育児のため平日と土日の昼夜×、毎日朝4時〜7時が勉強集中タイム

…と、こんな感じです。

これまで過去の受験生さんが残してくれたブログ記事やXのポストに助けられて勉強することができたので、自分も何かを残そうと思ってnoteを書いている次第です。

続いて、4年間の勉強方法について書いていきます。
(とはいっても、割と昔のことなのでうろ覚えです)

2021年【簿記論×・財務諸表論×】

生活圏内に大手予備校があるわけでもないので、Web通信での勉強を検討し、その結果「とりあえずSTUDYingでやってみよう」という結論に至ります。
決め手は『安さ』の1つだけでした。(どの予備校も大体20万円オーバーなのに、STUDYingは約6万円です。)

この年は、勉強をはじめて半年程度の受験だったため、記念受験のつもりで臨みました。
とはいえ隙あらば合格したいわけで、6月からは財表特化に切り替えて勉強しましたが、試験は上手くいきませんでした。

財表
・理論は単純な問題すら分からない
・そもそも理論問題への解答例を知らない
・計算は言わずもがな

簿記論
・2級持ってるし割といけるっしょと思ったが、本当に全く解けない
・分配可能額??という感じ

「2年目に簿財両方とろう」と思いつつ初めての試験を終えました。

2022年【簿記論×・財務諸表論⚪︎】

引き続きSTUDYingを中心に、淡々と配信スケジュールに追いついていきます。
昨年の経験から、途中でふと「STUDYing一本が良くないのでは」と思い始めます。

STUDYingは、
・講義動画が小刻み(長くても20分くらい)
・スマホでもPCでも動画を見ることができる
という点で、ストレスなく講義を消化できるのが良いところです。

しかし一方で、
・紙ベースの教科書がなく書き込みができない(メモは取れるのだけど、いちいち開くのもめんどくさい)
・答練などの機会がない
・春から総合問題がちょっとずつリリースされるため問題を解く量が少なくなる
という点で、いい感じに学習するためにはカスタマイズが必要だなと思っていました。

なので、近所の書店に行って簿財両方のTAC総合問題集をゲットし、
・インプットはSTUDYing(+Quizlet *後述)
・アウトプットはTAC総合問題集
というスタイルで勉強を進めていきました。

財務諸表論の勉強に使ったアプリ「Quizlet」

スタディングはスマホ対応の理論教材を提供しているのも売りの一つですが、スマホでポチポチしながら赤マーカーを外す作業で首がこりそうだったので、使うことをやめました。
↓アプリ画面はこんな感じです

そこで導入したのが「Quizlet」というデジタル単語帳アプリです。

Quizletは、アプリ上でオリジナルの単語帳を作ったり、他の人の単語帳をシェアしたりできるサービスです。
PCはブラウザで、スマホはネイティブアプリで使えます。

これを使って、
・PCブラウザから覚えたい会計基準の問いと答えを打ち込む
・スマホアプリで隙間時間に暗唱する
…という感じで勉強していました。

アプリのホーム画面はこんな感じ
カードをタップすると単語帳の表裏が入れ替わる。これは『「履行義務」とは?』という問いの答え

消費税法を受験した今、財表の理論は「ポイントをざっくり覚えてればまぁまぁいける」というレベルな気がします。

消費税法は見開き1ページを丸暗記せよ!」てな感じなので、このアプリは使えませんでしたが、財表の理論学習には役に立ちました。
無料なのでぜひ使ってみてください!

試験の感触

財表
「計算問題が難しかった」と総評された年でしたが、触れてきた問題が良かったのか、あまりそのようには感じませんでした。
簿記論の計算問題に比べればサプライズな問題は少なく、スタディングの直前問題週を2周、TAC問題集を2周した程度でした。

簿記論
受験後に「簿記論は一生合格できないかも」と思いました😇
STUDYingで勉強してきたことと、TAC問題集で勉強してきたことの両方が全く通用しない問題に遭遇したためです。

「え?え?」と困惑しながら第一問にとりかかり、意味が分からなさすぎて10分くらい無駄にし、解答を進めるもこれは無理だと直感します。

結果

既述の通り、財表だけ取れました。
財表を合格できたことはすっごく嬉しかったのですが、簿記論に絶望したことを思い出し、大学院進学も視野に入れ始めます。

試験結果が明らかになったことを機に、「(そもそもガッツリ税法の研究をしてみたいから大学院進学も視野に入れ、)ミニ税法のうち実務に役に立ちそうな消費税法を勉強しよう」と決意します。

試験後の9月〜11月まではSTUDYingで法人税法を勉強していましたが、一旦中断し、STUDYing消費税法を申し込みます。

2023年【簿記論⚪︎・消費税法×】

2022年12月から、STUDYingで消費税法をゴリゴリ進めていきました。
しかし、本業の都合もあり勉強時間が足りなくなったため、4月に消費税法を捨てて簿記論に集中しました。

消費税法を捨てたことで、『理論対策とか2科目とか関係なく、「今苦手な簿記論の問題を解きまくる」』というマッチョ思考に突入します。

具体的には、
問題を解く→ミスる→解説記事や対策を書く→見返せるように保存する
をひたすら続けました。

今見返すと何を書いているのかわからない。CはCashで現金のこと、くりふは繰越税金負債のこと。
高速で解くための自分なりの解法を書いてみたり。T字勘定で解く方法や勘定科目の略記などはSTUDYingで教えてくれるわけではないので、受験生のブログやXを見ながら自分で編み出すしかないです。

昨年の「簿記論まじ無理」なトラウマもあってぎりぎりまで不安でしたが、簿記論に合格できました。
昨年より理解が進んだのもあるし、僕と相性が良い問題が出てくれたことも合格の理由かと思います。

試験を受けてたら「一生合格できないかも」な気持ちになることがあるかもしれませんが、相性の問題もあるので根気強くいきましょう〜

Xをチェックし始める

そしてこのころ、プライベートではほとんど使っていなかったX(Twitter)を見始めるようになります。
特に消費税法については、

  • 『税法科目は一言一句暗記する勢いで覚えないとダメ』

  • 『理マスと理サブという理論暗記用の冊子があり、受験生は常に携帯している』

  • 『イケてる受験生は、問題に対して回答すべき理論を「M3-1-(2),(3)」みたいに項目レベルで暗記している』

など、(偏ってるかもだけど)合格できる受験生の熟練度が推測できるようになりました。

Xを見る前までは、『STUDYingでは先生が「しっかりと暗記するように」と仰っていたけど、さすがに理論まるまる暗記してる人なんておらんやろ』と思っていましたが、↑のような方々がいることがわかり、考えが甘すぎたということを痛感することになります。
(界隈ではX校と言うそうです。)

僕自身はXで会ったことがない方々に絡んだりするのが苦手なので、ポストにいいねしたり、たまーに感謝のリプライすることくらいしかしませんでしたが、毎日のようにXで問題を出し合いっこする皆さんのやりとりにほっこりしつつ刺激をもらっていました。

まだ税理士試験受験生でXを活用していない方は「消費税法(自分が受ける科目) 試験」で検索すると幸せになれますよ〜

2024年【消費税法?】

STUDYing消費税法を継続購入しつつ、9月早々に理マスを購入。
全題暗唱できるようにするため、1日に30分~1時間くらいは目を通すようにしました。

理論の勉強

テーマ同士のつながりを意識しながら、この本を全て丸暗記する作業です。
これはとても辛かった。そして全て丸暗記はできませんでした。

どうやったら最も効率的に成果を出せるかを調べたり考えたりした結果、

  1. そもそも丸暗記は、解答スピードを上げるために必要であると認識する

  2. 暗記は量だよ兄貴!

ということで、1.で「暗記は必要なのだ」と腹から認識した上で、2.とにかく読みまくる、という作業をしました。

暗記をしていると、「なんでこんなことしないといけないんだっけ」「効率的な道はないんだっけ」という気持ちが湧き上がってきます。
そこで、「解答スピードを上げるために作業しているんだ」という認識を持つことで自分自身を納得させることができます。

そもそも↑のような気持ちにならない方は、こんなことをいちいち考えておられないかもしれませんね。
僕は納得しないと進むことができないタイプの人間なので、こういうマインドセットが度々必要でした。

そして量をこなしていくと、こんな変化が訪れます。

  1. 1題(M1-1,M1-2で区切られる、見開き1~2ページくらいの量)に書かれていることを理解する段階【1回目〜5回目】

  2. 1題ずつ、理マスから目を離したり見返したりしながら、とめどなく読めるように口を慣らす段階【6回目〜9回目】

  3. 1題ずつ、得意な題は理マスを見なくても大体喋ることができる段階【10回目〜15回目】

  4. 「M3-5は非課税輸出」「M4-1-1.は前期納税実績による場合」など、題の番号を思い浮かべることができ、ある程度喋ることができる段階【16〜20回目】

  5. 問題を見て、「M1-1-1.(1)とM1-6-1.(1),(2)とxxとxxの用語の意義を書いたらよさそう」と判断する練習ができる段階【21回目〜】

  6. 問題を見て、↑に加え、「こういう点から国内取引と判定できる上、事業者が資産の譲渡等をしているから課税の対象で、非課税取引でも免税取引でもないからこの取引は7.8%課税取引なので、課税標準額の計算に含まれるし、課税売上高の計算にも含まれるし、課税売上割合の計算上は資産の譲渡等の合計額と課税資産の譲渡等の合計額にそれぞれ含まれるよね」というようなお決まりパターンを書くことができる段階【?〜】

以上、【 】の中はすごく適当だし、もっと時間がかかった気もするので参考までとしても、大体こんな感じでレベルが上がっていった気がします。
今、暗記が辛いなと思っている受験生の皆さん、地道に続けていけばこんな感じに変わっていくと思うので、一緒に諦めず頑張りましょう!

計算の勉強

計算については、簿記論と同じように『解く→ミスったら解法や対策を書く→保存して見返す』をマッチョ思考でやり切るだけです。シンプル!

STUDYingだけでは難しい

理論・計算の両方に言えるのですが、僕の場合、STUDYingだけでは合格できない気がします。
STUDYingは基礎知識の習得にはとっても使える一方、「時間内にどのように解いていくべきか」については言及されていないため、解法は自分で考える必要があります。

例えば、計算問題の仕入れ税額控除の区分経理のうち、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」が問題文中にあったとして、どのように問題用紙にメモし、解答用紙に集計したら良いか、教えてもらえる機会がありません。

Xやブログを読み漁ったところ、
TAC生はⒶと書き、大原生は「課のみ」と問題用紙にメモするようです。
*違ったら誰か指摘してください笑

さらに、Ⓐと書くだけではなく、人によっては配られる計算用紙に集計表を作って数字を集めていく方もいらっしゃるようです。

YU ME NO U E さん、こんな素敵な記事を残して下さってありがとうございました😊
最終的に僕は集計表を作らず、直接解答用紙に書き込んでいくスタイルで試験に臨みましたが、↑の考え方はとっても参考になりました。

ふりかえりを終えて

以上、僕の4回の受験を振り返ってみました。

結局言いたかったことは、

  • STUDYingは、独学・未経験社会人が基礎知識を身につけるのに最適

  • しかし解法は学べないため、ブログやXをフル活用して独自の解法を編み出す必要がある(消費税法だけでなく簿記論や財務諸表論も同様)

…ということかもしれません。

幸運にも身の回りに通学できる予備校がある方や、普段から税理士事務所に勤務している方は、先生や他の受験生・経験者に質問できる環境を是非是非活かしていただきたいなと思います。

そうでない方は、自分の勉強スタイルや解法を工夫しながら、一緒に勉強を進めていきましょう!

何度も言うようですが、僕はまだ2024年の消費税法の結果がわかっていません(自己採点の結果はボーダー下なので不合格の可能性が高いです😇)。
偉そうに書いていますが、参考までと考えていただけると嬉しいです。

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