☆☆両利きの経営
変化に直面した時に、リーダーがどう行動するかが問われている。
第一章 イノベーションという難題
1,組織の進化
成熟事業(既存の強みを有効活用できる分野)と新領域(新しいことをするために既存の資源を使う分野)の両方で競争可能に。
2,破壊的イノベーション
クリステンセンは、探索と深化は同時にできないので、探索にあたるサブユニットをスピンアウトしなくてはならない、と言ったが正しいのだろうか?
3,イノベーションストリーム
価値を獲得できるという状況をリーダーたちは見抜けないでいるのだ。
4,本書の構成
フレームワーク、組織的な調整、探索と深化の概念、リーダーのアプローチ、教訓、
第二章 探索と深化
1,組織的な調整力
マネジメントは確実に列車を定時運行させるのに対し、リーダーシップは適切な目的地に列車を向かわせる。マネジメントは実践を、リーダーシップは戦略と変革を扱うのだ。
2,サクセストラップ
コダックVS富士フィルム 富士フィルムは「すでに豊富な経営資源があったので、それを新規事業に転換させる方法があるはずだと我々は考えた」
3,アマゾンの探索と深化のモデル
顧客満足へのこだわり、行動偏重、実験の繰り返し、倹約、直接的なフィードバック、継続的な結果測定を重視する文化、
4,探索と深化に向けた戦略と実行
アマゾンの意思決定は、顧客満足へのこだわり、低価格、長期展望を重視する一連の基本的価値観によって推進されてきた。
第三章 イノベーションストリームとのバランスを実現させる
変化に直面した組織が生き残るには、リーダーは相矛盾する2つの重要なことをやってのけなくてはならない。それは継続的な漸進型のイノベーションや変革を通じて、既存の資産と組織能力を深化すること。そして、既存の資産と組織能力が新規参入者に対する競争優位となりうる新しい市場や技術を探索することだ。
1,シアーズローバック
サクセストラップ成功体験による囚われ
2,ボール社
成熟市場と新興市場で同時に競争しながら、技術と市場の変化に応じて進化した
3,どうすれば時の試練に耐えて組織は存族出来るのか
うまく適合すること、そのためには多様化して選択していく経営陣の能力にかかっている
4,戦略的インサイトと戦略的実行
探索と深化では、求めらる組織的な調整や組織能力がいかに根本的に異なる。
第四章 六つのイノベーションストーリー
1,両利きの経営の事例
新聞を自己改革するー自己駆逐
2,六つの事例の総括
経営陣は新規事業と成熟事業の対立をマネジメントしなければならない
3,リーダーに求められる三つの行動
①対立マネジメント②価値の発掘③新規の支援
第5章 「正しい」VS「ほぼ正しい」
1,正しく実行する
強いリーダーシップチーム、利益貢献戦略、市場で早期に成果が出る、顧客向けの価値提案が実証されている
2,ほぼ正しく実行する
未来に対する大胆なビジョン、新しいことを試みようとする意欲、小さく始めて個別のペインポイントに集中するメリット、新しいベンチャーを早く深化させる組織能力、簡単かつ頻繁にコミュニケーションをとる重要性、情熱の力
第6章 両利きの要件とは?
1,両利きになるための要素
①探索と深化が必要であることを正当化する明確な戦略的意図。探索ユニットが競争優位を築くために利用可能な組織能力や資産を明確にすることも含まれる。②新しいベンチャーの育成と資金供給に経営陣が関与し、監督しその芽を摘もうとする人々から保護すること③ベンチャーが独自に組織構造面で調整を図れるようにすること④探索ユニット深化ユニットの共通のアイデンティティの価値観文化で全員を巻き込む
2,戦略的意図
資産を活用し、戦略的な重要性も高い
3,経営陣の関与と支援
支援や資金の共有母体として経営陣の役割は大きい
4,両利きのアーキテクチャー
探索ユニットが独自に調整できるようにしなければならない。
5、共通のアイデンティティ
協力が必要なことを正当化する共通のビジョン
6,なぜ四つの要素が必要なのか
惰性の力を断ち切れる
第七章 要としてのリーダー
1,困難な状況に加担するリーダー
心に訴えかける戦略的抱負を示し、幹部チームを巻き込む
2,探索事業と深化事業を引っ張っていく
どこに探索と深化の緊張関係を持たせるか明確に選定する
3,両利きの組織を導く
幹部チーム間の対立に向き合い、葛藤から学び、事業間のバランスをとる
4,幹部チームの皮肉と自己刷新
一貫して矛盾するリーダーシップ行動を実践する
5、リードや破壊の要となるリーダーと幹部チーム
探索事業や深化事業について議論や意思決定の実践に時間を割く
第8章 変革と戦略的刷新をリードする
1、戦略的刷新が適切であるかどうかを理解する
危機的状況では、組織のあらゆることをオープンに見直すという方向転換を通じて、速やかに改革していく必要がある。
2、IBMの戦略的刷新
絶えず自己再生する伝統を蘇らせる意向をパルミサーノははっきりと従業員に示した。
3,ハイアールの戦略的刷新
戦略的な関連性を持たせながら、幹部チームを結束させて全体的な差別化を図る
4,戦略的刷新をリードする
危機がない状況で変革をリードする
①成長にむけて感情移入できる抱負を定める
②儀礼的な文書化された計画プロセスではなく、対話として戦略を扱う
③今後起こることを教えてくれる実験を通じて成長する
④少なくとも幹部チームがかけてくるものと同等の圧力が、ボトムアップから生じるようなプロセスを設計する
5,最初の問いに戻ろう
明確に異なる2つのゲームを同時にやる
解説 冨山和彦
イノベーションの時代を経営するには、一方で既存事業を深化して収益力、競争力をより強固にする経営とイノベーションによる新たな成長機会を探索し、ビジネスとしてものにしていく経営の両方が求められる。