優しさ

？？『あのさ、、言っちゃ悪いがお前のそれは優しさじゃねぇよ優良(ﾕﾗ)』
優良「は？急に何言い出してるんすか荒谷(ｱﾗﾔ)さん」
急に何言い出すんだこの人
俺が優しくない？
優良「はは、、、俺は皆に優しいって言われてるんすよ」
荒谷『ああ、確かにそうだ』
荒谷『けどな、俺には分かるお前のそれは優しさじゃねーよ』
まだ言うのかこの人は
俺は自他共に認める優しさなのに
まぁ俺が認めてたらダメか
優良「まー俺が自分のこと優しいって自覚してたらダメっすよね」
荒谷『別にそれはどうでもいい』
なんなんだこの人
否定してばっかり
理由を言えよ
優良「そんな言うんだったら理由を言ってくださいよ」
声を荒らげつつ俺はそう言った
荒谷『あのなあ、、お前の優しさには助かってる人もいるかもしれねー』
荒谷『ただな、お前が特に優しくしてるあいつら』
荒谷『お前あいつらに依存してんだろ』
は、、、？
なんで、それ、、、
てか、なんで知って、、、
優良「なんで知ってんだよ！！」
荒谷『はは、やっぱりそうか』
荒谷『お前はな、優しくする事でそいつらから認められたい、好かれたい、愛されたいって思ってんだよ』
優良「は？」
マジでなんなんだよこいつ
んな俺の事妬んだりしてんのか？
荒谷『先に言っとくが妬んでねーぞ』
まるで心を読み当てられたかのようなセリフに
俺は少し驚いた
荒谷『別にそれがダメとは言わねーが、お前それ続けるならな、いつか辛い目に合うぞ』
優良「はあ？wどうなるってんです？w」
荒谷『自分はこんなに優しくしてんのにって思ってそれに見合う対価を払ってくれないあいつらを恨むようになるぞ』
荒谷『だから辞めとけ、優しくするのは良いが、期待はすんな』
荒谷『見返りなんか求めんなよ、俺も前はそうだったけどな』
荒谷『他人ってのはな、自分への優しさを利用して自分の価値を認識してーんだよ』
なんだよこいつ、、、
さすがの俺も我慢の限界だった
優良「あいつらはそんなんじゃねえよ！！！」
荒谷の首元を掴み、大声を荒らげた
荒谷『それだよ、、お前のそれが優しさじゃねぇってのは』
荒谷『相手がどう思ってようと、自分がそいつに言われたら嫌なことを言った相手を悪として責める』
荒谷『んなもんただの自己満以外の何物でもねぇよ』
自分が心のどこかで思っていたことを言い当てられた
動揺が分かりやすく俺の外に出た
優良「ちが、、俺は、、優しいんだ、、、」
荒谷『はははは！やっぱり図星じゃねーかよ』
荒谷『それが悪いとは言わねぇけど、お前が辛くなって押しつぶされるだけだぞ』
荒谷『俺ァお前のためを思って言ってんだよ』
荒谷『お前の依存癖も独占欲も嫉妬深さも知ってるからこそだ』
荒谷『期待なんざすんな、みんながみんなそうって訳じゃねーが』
荒谷『大抵の奴らはお前の優しさで悦に浸ってるだけだぞ』

それから、俺は人に期待しなくなった
周りからは冷たいだとか、色々言われたけど
前より少し楽になった
依存癖も独占欲も嫉妬深さもそれなりに収まった
けど、そうなるまでかなりの時間がかかった
それでも収まって良かったと思う