月刊そうすけVol.12
2002年8月8日に開店して今年でちょうど20周年。月刊そうすけと名を打ったメルマガがスタートしました。様々な角度から「古家具古道具そうすけ」をご紹介していきます。
ー物の心を助けるーを社訓とする「古家具古道具そうすけ」その名の通り店内には、愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。一見気づかないほどのさりげなさで、隅々まで美意識が行き届いた店内の様子は来店したものの心を静かに満たしてくれます。
・・・・・・・・・・・・
沖縄や奄美はとっくに梅雨明けしたそうで、関東は今月19日ごろの予定だとか。日本列島の長さを感じます。全国津々浦々の方がこの記事を読んでくださっているのでしょうか。もうすぐ夏が始まります!そうすけの店内は季節問わずいつでも新鮮キラキラ!その理由を紐解いていきましょう!
●見せ方
「ディスプレイも接客と同じ」まず一言目に米倉氏が話す。
自信のある商品を、お客様に素直に見せる。
しかしそこには沢山の工夫が潜んでいる。
優先順位としては、入り口に来たお客様に「わあ!!」思わせること。だんだん奥にいくにつれて"起承転結"を感じてもらう。正面から入ってまっすぐ行くか、左に向かうか右に向かうか、どちらにすすんでも「わあ!」と感じるポイントを作る。角を曲がるごとに見せ場を作り、最初に売りたいものが目に入るようにします。
導線をどちらに向けるか・・・。
二股であれば、正面は広がりがあるように見せ、自然とお客様を誘導させる。しかし狭い道を選んだお客様はそれはそれで、掘り出し物に出会えたりする楽しみがある。
商品のボリューム感も大切で、平面であることを避け、ずらしたり、高さや奥行きを変えることでくっきり見えるように。隣り合わせを意識し、売りたいものの周りにスパイスを肉付けしていく。
ー例えば物の隙間の開け方のコツー
いつも教えるのは、この側板の幅を空けることです。幅が2cmだとしたら、隙間を2cm空けるようにしましょうと。そこから数ミリ狭めるとかは感覚の世界だけど。最初に教えるときは「俺がいない時に何か売れたら、この側板のサイズを空けなさい」と説明します。
ー積み上げるー
インパクトを出すため、入り口正面は立体的に積み上げることで、お客様が興奮するようにする。売れてる店の絶対条件は、積み上げです。そう言えば、コストコやドンキ・ユニクロ・イケア…。わかりやすい例で言うとみんな積み上げてる!
正面は奥に続き、角を曲がるとその壁面はどうしても平面になります。そこで、ちょっと奥行きが違うものを並べたり、形の組み合わせで見せたりすることでお客様を飽きさせないようにする。
米倉氏のディスプレイ術の一番の師匠は、アパレル時代、ヴァンヂャケットの販売会社時代の上司である吉岡社長。それまで平面でしか作れなかった米倉氏の目の前で、吉岡氏がディスプレイを手がけるとケースの中が立体的になり輝いて、どんどん売れていくように!それはそれは衝撃だったそうです。
立体的に構築できることが大事。蚤の市のように、積み上がっている売り場に目が行き、そこから探したくなるようにします。
目線の上を三角形に持っていくのもコツ。
●ここで相談事
少し脱線するようで後につながりますのでご容赦を…。
月刊そうすけを書かせていただいてるノスリ舎。事務所は古い一軒家を借りています。現在は1階をお菓子屋が使用し営業していて、2階が事務所である。
お菓子屋さんの一角でノスリ舎プロダクトのエプロンや石鹸などを置かせてもらい細々と販売しているのですが売れ行きがあまり芳しくなく…。ものは自信があるのに…。
今後2階の事務所スペースをオープンスペースにして、そこで物販を強化させていきたい…。そんなご相談をすると以下のような回答が米倉氏から返ってきました。
ー売れる理由・売れない理由ー
売れない理由は絶対ある。ボリュームが足りない、サイズが足りない、デザインや色が悪いなど。何かを解決したら急に売れたりする。例えば見せ方なのかもしれない。
商品がちゃんと目に付くことが大前提。
そうすけの優先順位は入り口から。奥は一番最後。売りたいものはなるべく前に持っていく。それが売れたら奥にあるものでそろそろ売りたいものを前に持っていく。
店は倉庫じゃない。ちゃんと綺麗に見せるべきだ。
お菓子目当てだけど、たまたま来た人に「何これ?」って思ってもらえるかどうか。入った時にわあっ!て思うかどうか、一瞬で決まる。人は一瞬で「あ、これ欲しい」と思うことがある。ハンギングや上にぶら下げて、あれ何これこんなのあったっけ?と目立たせたり
買ってもらうにはアイデアが必要。
これでどうですか?いいでしょ?ってやらないと。
見せ方で変わるから、ビフォーアフターみてみたいねw
なるほど…!!!
●当たり前
一つ売れたら店内の見え方もボリュームも変わる。補充作業がすぐに行われないと、その店はダメになっていく。
「売れた瞬間に、あとでいいや」と思ってしまう人の店は、一つ売れたらマイナスイメージから始まってしまう。
「100%で始まっている」という意識が大切。売れたらすぐに整理整頓をする。
どの商品を移動して補充すればいいか、細かく見ていく。アパレルでの経験から、10種類ある商品のうち2〜3色差し色があってそれが抜けると印象が変わることや、もし差し色がなくなったら薄い色からグラデーションに並べるなど、コツを知っている。
もちろん差し色を補充するのも大切。
最初に作ったのはあなたの100%だということを理解していない人が多い。お客様にとってはそれぞれが初めての来店なんだからそれを忘れて店側が良くない当たり前になっちゃうことが多い。
●いいルーティーンの当たり前
整理整頓が綺麗にされていること。掃除が徹底されていること。
一つ売れたら店内の見え方もボリュームも変えられる。
すぐ直す。直すのが日常。
「わざわざ来てくれてありがとう」と心の中で言って、店がやるべき仕事を全力でこなす。お客様がキラキラを常に感じる空間を作ることが当たり前になっていけばいいんだよ。
● 発注(バランス)
発注のバランスは店づくりの重要な鍵。技術やアイデアが必要で、正統派に売りたいものを7割だとして、見せ筋や面白いアイテムを3割など全体のバランスを見ながら仕入れる。
見せ筋を買う人は1割に満たなくてもそれがあるおかげでスパイスになりディスプレイの面白さにもつながる。
音楽や映画・デザイン・アート、料理…。
きっと色々なものにそのバランスがあり黄金比が取れているものが美しい仕上がりになるのだろう。
良いお店にはそういうバランスがあるのだという。
● 練習
才能とかセンスについて少しお話しする。持って生まれた物ってありますよね…。
しかし米倉氏は、うーん。努力や練習(経験)も大事だよと強く言う。ディスプレイも急にできることではない、練習するしかないと。
そうすけを始めたとき、初めはリサイクル品をどうしたらよく見せることができるか試行錯誤した。毎日ディスプレイを変え、見せ方を変えて、品揃えも考慮しながら商材と格闘してきた。どうすれば売れるディスプレイになるかを考えながら、それはいまだに毎日やっている。
そしてそれをどの程度のレベルまで持っていって、どう楽しむか。苦痛になっちゃうと、面白く見えるわけがない。鼻歌を歌いながら楽しめるくらいじゃないと…。
それは兼ねてから米倉氏が重要視している接客術にも同じことが言えるといいます。経験、練習、そして気づいたら肩の力が抜けていて、自分もお客さんも楽な接客。
修行ありきなのですね、何事も。
● カッコつけたい(誰に向けて)
プロ意識が大事という。
自分がプロとして自覚したらその瞬間にその視点で物事を見始める。お金をもらうとするならば。お客様にとっては新人だろうが社長だろうがアマチュアだろうが関係ない。
アパレル時代の先輩「安藤さん」と飲みに行った時のお話し。
「なんで俺や安藤さんはディスプレイができるようになったのかな」と聞いたんだよね。
「それはよ、ヨネ、俺もお前も好きだからできるようになったんだよ。それしかないよ」
そうだよね安藤さんって俺も言えた。
好きだから、お客様が喜ぶのが好きだから、それをしたい。かっこ悪くなりたくない せっかくきたのにイマイチだねって思われるのやだもん。
カッコつけたいんだよ。モテたいんじゃない?w
「センスは知識から始まる」って本読んだんだよね。
センスは努力の塊。最初からセンスなんてない。だけどさ、ディスプレイやってればセンスになる。自分が何を選んで、それをどう積み重ねていくか。
お客様と話してるのが楽しい。品揃えした店にわざわざきてくれて悩んで選んでくれて、それが家に行ってずっと使ってくれる。なんていいことだ。
そうすけが関わってるのはほんのちょっとの時間だけどお客さんを楽しませるように、ただ並べるよりちょっと面白い、かっこいい、どうこれっ!て言うふうにやってるんだろうね。
●エンターテインメント
結局、ディスプレイも接客もエンターテインメントなんだよね。
そこにユーモアがあると彩が生まれる。洒落が大事。
たくさん経験して、練習して自分が行きたいようなお店を作る。嘘がない、楽しい、楽になる空間を作る。
あー楽しかった!ってお客さんに思ってもらえるように。
パッション!!米倉氏の熱い想いはいつもお客様に向けられている。だからほんとにかっこいいんだ!相手を喜ばせるテクニック。やっぱりモテって大切なんだと改めて噛み締めて、さあこれから夏を迎えましょう!
・・・・・・・・・・・
https://www.instagram.com/sosuke312/
記事:合同会社ノスリ舎
デザインと企画の会社です。ローカルや人にスポットと当てたお仕事をさせていただいております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?