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【R5電気電子部門:必須問題】Ⅰ-1「再現論文」/技術士第二次試験

【問題文】
 大規模かつ複合的なシステムで広く用いられてきている仮想化、レイヤ化、モジュール化、ソフトウェア化、などは、効率的に開発するうえで重要な『手法』 である。一方でこのような『手法』は、入出力情報をもとにハードウェア技術の理解なしに組み合わせているため、統合されたシステムの全体の振る舞いが把握しにくくなっている。例えば、技術者が入力と出力しか把握しないことで、それまで実施確認していた事項がおろそかになり、エンジニアリング業務を遂行するうえでの障害になっていると考えられる。上記の状況から、電気電子分野における影響を踏まえ、 今後どのように克服して発展させていけばよいか、解決策と将来像についての道筋を示すことが求められる。以下の設問に技術面で解答せよ。(人事、政策などは含まない。)
(1)電気電子分野の技術者としての立場で上記『手法』を活用する際に生じる3つの課題を多面的な観点から抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。(*)
(*)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。その課題に対する解決策を3つ、電気電子部門の専門技術用語を交えて示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(2)で示した解決策の実施において、技術者としての倫理、社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。

(受講生さんの了解を得て、ここに掲載します。)

本復元論文の受講生さんは、問題Ⅰにおいて「B」評価とされました。
私の評価もBが妥当と考えます。実は評価に結構悩みました。
私がB評価とした根拠、悩んだ経緯を以下に示します。

・設問(1)は問題文をオウム返ししているだけで、ここだけを取り上げればC評価となる。
・設問(2)以降は全体的に文章が読みやすく、概ね題意に沿って解答している。ここは評価できる。
・設問(3)の2)新たなリスクへの対策は、やや具体性に欠ける。
・設問(4)は概ねよいが、1)と2)各々の最後の一文が重複して点がマイナスポイント。別々の表現のほうが見識の広さを強調できる。


標題の復元論文を以下に示しますので、みなさんもご一読いただき、改善点があればご指摘いただけませんか?
(noteの表示上、項目名を下線で表示できないので、太字で表示させます)

【復元論文】
1.大規模・複合的なシステムで用いられる手法の課題及びその観点

●観点1:仮想化、レイヤ化、モジュール化、ソフトウェア化などの手法を活用する際に、ハードウェア技術の理解が不十分である場合、システムの全体的な振る舞いを把握することが困難になる。
 →課題1:ハードウェア技術に関する知識を深める。
●観点2:大規模かつ複合的なシステムを扱う場合、システムの複雑性によって、システムの全体的な振る舞いを把握することが困難になる。
 →課題2:システムの構造を明確にする。
●観点3:技術者が入力と出力しか把握しないことで、それまで実施確認していた事項がおろそかになり、エンジニアリング業務を遂行するうえでの障害になっている。
 →課題3:システムの全体的な振る舞いを把握する手法を確立する。
 
2.最重要課題とその理由、及び解決策
 前述した課題のうち、最も重要と考える課題は「課題3:システムの全体的な振る舞いを把握する手法を確立する」である。
 その理由は、システムの全体的な振る舞いを把握することは、システムの設計や開発において非常に重要であり、システムの問題点を特定し、改善するための基盤となるからである。
 この課題に対する解決策として以下の3つの手法が挙げられる。
➀システムトレーサビリティ
 本手法では、システムの要件から設計、実装、テスト、運用までの全てのプロセスを追跡し、システムの全体像を把握することができる。
②モデルベースシステムエンジニアリング
 本手法では、システムのモデルを作成し、そのモデルを用いてシステムの全体像を把握することができる。
③システムアーキテクチャ
 本手法では、システムの構造を明確にし、システムの全体像を把握することができます。システムアーキテクチャには、ハードウェアアーキテクチャ、ソフトウェアアーキテクチャ、ネットワークアーキテクチャなどがある。
 
3.新たに生じうるリスクとその対策
➀コスト増加:例えばシステムトレーサビリティを実施するためには、システムの全プロセスを追跡するための追加のリソースが必要になることがある。
②時間の増加:例えばシステムアーキテクチャを明確にするためには、システムの構造を詳細に分析する必要がある。
③技術的な問題:設問(2)で挙げた各解決策を実施するには、多くの場合、新しい技術を学ぶ必要があります。例えば、モデルベースシステムエンジニアリングを実施するためには、モデルベースのシステムエンジニアリングソリューションを使用する必要がある。
2)新たなリスクへの対策
 各リスクへの対策として、より効率的な方法を探し、新しい技術を学ぶためのトレーニングや教育を受けることが必要である。
 
4.技術者倫理及び社会の持続可能性に必要な要件
1)技術者倫理

 技術者はシステムの設計や開発において、倫理的な観点から、人々の安全性、プライバシー、セキュリティ、および環境に配慮する必要がある。システムが人々のプライバシーを侵害する可能性がある場合、技術者はその問題を特定し、解決するための方法を見つける必要がある。
2)社会の持続可能性
 技術者は、システムの設計や開発において、社会の持続可能性に配慮する必要がある。システムが環境に悪影響を与える可能性がある場合、技術者はその問題を特定し、解決するための方法を見つける必要がある。
                               以上

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