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sosoの素(59)

些細

毎日過ぎていく、ただただ過ぎていく。
若かれし頃妄想にも似た刺激的な毎日なんてのはそこにはなくて、しなくてはならないことを実行していくだけで過ぎていく。
ありがたいことに僕は自分の時間を自分で配分できる。その逆で一人しかいないから仕事に猛烈に追われて頭の中が仕事で支配だってされてしまう。
多分僕が会社員だったらそんな生活の今の僕を見て心底羨ましくなるだろう。自由でやりがいがあって刺激的で。
でも実際その立場であるけれど毎日は刺激的というよりは抱えてるものの重さが苦しかったりするだけで、ただただ過ぎていく。目の前のことで精一杯なんだろう。

あんなところに行ってきた、こんなものを食べた、あの人に会えた、そんな貴重な体験の数が人生の豊かさと繋がってるとも思っていた時期もある。
それはそれで間違いだとは言い切れないけど、心を満たしてくれるのは毎日の些細なことになってきた。

毎朝のコーヒー。
子供の楽しそうな声。
食事の準備をしてくれてる匂い。
猫の寝顔。

出張で少しだけだけど家を空けてる時に足らないなーと思うのはそんなこと。もう僕は一人で暮らしてコンビニや外食だけで過ごす日々が耐えれない弱い弱い人間になっている。それと共に優しさや思いやりや暖かさは一人を耐えれる強さがあった頃とは比べ物にならないくらい増している。

些細なことのなかに幸せはいつも眠っていて、それを崩さないようにそっとすくい上げ、幸せだなーと感じてまたそっと戻してやる。
外からお金や時間をかけて手に入れることも特別だけど、些細なことに幸せを見つけれる能力はもっと特別で、それは誰かと比べることでも比べられるものでもない本人にしか味あわえない特別なもの。

僕はこれからどんなに頑張っても歳を重ねていく。それが悪く苦しいことではなく、それまでの人生を何度も堪能するための時間なのかもしれない。

ただただ過ぎていく誰にでもある毎日、そんな毎日が愛おしいなと思う日があったならそれは自分の歩んできた道が思ってるほど悪くなかったってことなんだろう。



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