「毎日がショーの初演」

靴磨き世界一周アジア編169日目
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なんで靴磨きを始めたの⁇
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「私は靴磨きが好きで靴磨きを始めたのではないんです。
世界一周したくて、でも世界を旅するためのお金が
なくて、じゃあ世界中でできる仕事につけばお金を
稼ぎながら旅を続けられるって思ったんです。
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世界中でできる仕事はなんだろうか？
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そう考えた時に、"靴磨き"なら世界中の路上で
できると思いついたんです。
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最初は小銭稼ぎのつもりで始めた靴磨きも、
やってるうちにどんどん好きになりました。
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その時に決めたんです。
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私は靴磨き職人として世界を旅して、世界を
足元から輝かそうって。」
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今日だけで、20回くらいはこの話したかな。
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今日はバンコクで本田健さんの講演会が行われた。
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主催者のMimiさんと、健さんの心意気のおかげで
講演前と講演後参加者の靴磨きをさせていただく
機会を得た。
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ありがたいことに、今日だけで9足磨かせて
いただいた。
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靴磨きをしていたら、ありがたいことにいろんな人
が興味を持って話しかけてくれた。
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その時に最初にされる質問が、「なんで靴磨き始めたの？」だ。
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例え5秒前に前の人が同じ質問をして、
答え終わった後だったとしても、私は
初めて話す時と同じテンションで話す。
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「私は靴磨きが好きで靴磨きを始めたのではないんです。
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世界一周したくて、、、」
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2年ほど前かな。
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経営者が集まる会に参加させてもらった時に、
私は一度自己紹介を手を抜いたことがある。
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先週も話したし、今日は自分の違う一面を
知ってもらおうと与えられた時間に別の話をした。
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結構ウケたよ。
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M1予選二回戦の実力者なんだから。
#大したことはない
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その会も終わって、帰ろうとした時に一度だけ
立ち話をした方が「おいちょっと待て」と私の手を
引いて別室に連れて行かれた。
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「なんでお前いつもの自己紹介しなかったんだよ？」
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「いや、前もしたし、その前もしたので自己紹介を
省いて別の話をした方がいいかなって思って。」と私は言った。
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「バカか！
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お前のことなんてほとんど覚えてねぇよ！！
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そして今日初めてお前のこと会う人もいるだろう！
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お前の新曲〔最近の話〕なんて誰も興味ねぇんだよ！
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お前の定番〔自己紹介〕をみんな知りたいんだよ！
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俺はお前の自己紹介聞いた時、靴磨きで世界一周
しようって俺にはできないって思った。
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感動したんだよ。
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お前が自己紹介に飽きんじゃねぇよ。　　
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お前が何者かになりたいんだったら、
後10000回は自己紹介すると思え。
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10000回目も、俺が初めて聞いた時と同じテンション
で自己紹介しろ！
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お前のことを広めてくれるのは新曲じゃねぇんだよ！
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定番〔自己紹介等〕なんだよ！」
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なんかむっちゃ怒られたんだよ。
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元ミュージシャンの会社経営者の方に。
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でも、毎回自己紹介する時とか、定番の質問に
答える時に、あの人の顔が浮かぶ。
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手抜いたらまた私の手を引っ張って
ドヤされんじゃないかって。笑
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まぁその人は今でも大阪に帰ったら
意味分からん量のご飯食べさせてくれるんだが。
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私は前職がテーマパーク社員だったので、
そこでも似たようなことを教えられた。　
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「毎日がショーの初演」だという気持ちで演じろ。
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キャストは毎日同じことを繰り返してるが、
今日くるゲストは「今日が最初で最後のショー観戦」
なのだから。
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私が自己紹介するのは今日が30回目でも、
30回目に聞いてきた方は今日初めて私に
質問してきたんだから。
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「なんで靴磨きを始めたの？」
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この質問をされなくなったら、俺も紅白出れるかな。