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第8話「きっかけ②の後半 夢発表」

「未来に希望の種を蒔こう」


というタイトルの喜多川泰さんの講演会
に参加した大学4年生の1月の成人の日。


喜多川泰さんの講演会の前座で地元で野菜を
作られてる男性が自分の活動や夢を話していた。


私より少し年上だろうその男性が100人くらい
いる前で、堂々と自分の夢を話してる姿は爽快
でカッコよかった。


その後喜多川泰さんの講演を聞き、人生で
初めて訪れた講演会はとても良い日になった。


その講演会の2ヶ月後に大学を卒業し、
私は愛知県にあるレゴランドで働きだした。


社会人1年目の12月頃、

「そういえばまた愛知県半田市で喜多川泰さん
の講演会はあるのかな?」

と思い、ネットで検索したら前回と同じ
1月の成人の日に愛知県半田市で喜多川泰さん
の講演会があることを見つけ、有給休暇を
取得してその講演会に聞きに行った。


主催者はお馴染みの割烹着を着た
私のお母さんくらいの女性。


この年も喜多川さんの話の前に、夢発表のコーナー
があり、この年は2人組でピエロのような格好を
して演奏をされてる方々がお話されていた。


そして、喜多川泰さんの講演会が始まり、
冒頭にこんな話をされてた記憶がある。


「私がお話することは、皆様にとって
"種"でしかありません。

話を聞いただけではその種は実らないし、
いずれ役に立たなくなります。

でも、今日それぞれが持ち帰った種を日常
で水をやり、陽に照らし、あなたがその種を
育てていけば、あなたなりの実になり、花が
咲くのだと思います。」


私はこの1年間、この日いただいた種を
育てようと決意した。


そして次の年の成人の日、私は毎年恒例と
なった愛知県半田市の講演会に参加した。


今年の夢発表は誰だろうか。


3年連続となれば、この講演会のプログラムも
理解していて、前座の夢発表を聞くのも一つの
楽しみになっていた。


「明日」「歩」「花」と書いて「明日歩花」〔アスポカ〕
というコミュニティスペースを運営されてる
ユカリさんという女性が夢を語っていた。


例年は1参加者として夢発表を聞いていたのに、
この年は違った。


「私はいつまで人の夢を聞いてる側なんだ?」


という思いが湧いてきた。


私はあそこで夢を発表することはないのか。


「お兄さんの夢は何?」


レゴランドで子ども達から聞かれた
質問を思い出す。


私の夢は、世界一周すること。


でも、いつやるんだ。


お金が貯まったらやろう。


仕事がひと段落したらやろう。


いつまでやらない理由で夢に蓋をして、
自分の夢を後回しにしてるのだろうか。


私はあの場所に立って、自分の夢を語る
ことはできるのだろうか。


そんなことを考えながらユカリさんの
夢発表を聞いていた。


この年の喜多川泰さんの講演会は、
あんまり集中して聞けなかった。


講演会の最後の主催者挨拶で、割烹着を着た
女性が来月、ユカリさんのお店「明日歩花」
で読書会をすることをお知らせしていた。


よし、この読書会に参加して、あの割烹着の 
女性に自分の思いを話してみよう。


1ヶ月後、再び愛知県半田市にやってきた。


読書会が始まる30分以上前に到着した。


古民家を改装して作られた明日歩花の扉を
横に開けると、割烹着を着た女性、いや、
この日は着ていなかった喜多川泰さんの講演会
を毎年愛知県半田市で主催している房子さんがいた。


私は一方的に房子さんのことを知っていた
けど〔あの割烹着の人と思ってた〕房子さん
は私のことを認識したのはその時が初めて
だったと思う。


奥のキッチンにはゆかりさんがご飯を作っていた。


お互い挨拶を交わした後、

「実は話があるんです。」

と言って、私は話始めた。


「私の夢は世界一周することです。

世界中で見たことない景色を自分の目でみて、
違う環境で育った人達と膝と膝を突き合わせて
話してみたいんです。

来年、まだ誰も決まってなければ夢発表したいです!
そして、夢発表をした後に世界一周の旅に出たい
と思ってます。」


明日歩花の入り口扉は風にあたってギシギシと
揺れて、店内は電気ストーブのボーという音が
なる店内で、私は房子さんに思いを伝えた。


ゆかりさんも盛り付けの手を止めて、
私の話をキッチンから聞いていた。


房子さんは微笑ましい顔で時より相槌
を打ちながら私の話を聞いていた。


私は自分の思いを話した後に、


「ぜひ、よろしくお願いします。

佐原くんの夢、全力で応援します。」


こうして2020年1月の夢発表は私に決まった。


1番最初に夢を伝えた人が「応援する」
と言ってくれたことが、どれだけ心強い
お守りになったことか。


この時は、まだ靴磨きのことも思いついて
おらず、これからどうやってお金を集めて
世界一周しようかと考えだした時だった。


でも、"いつか"と言っていたことに
"期限"を確定した時に神様は必要な
イベントに出会してくれるのかもしれない。



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