「味の薄いココナッツジュース」
靴磨き世界一周アジア編195日目
路上靴磨きに向かう途中、交差点で信号待ちを
していたら道端でココナッツジュースを販売
している女性に話しかけられた。
「ココナッツジュース!!」
いつもなら路上で物売りに話しかけられても
立ち止まることはないが、なぜかこの日は足が
止まってしまった。
なぜ止まったのだろうか。
別にココナッツジュースを飲みたいわけではないし、
むしろココナッツジュースは思ってたよりも味が薄い
から好きではない。
そんなことを考えてると、その女性はココナッツ
に包丁を入れて穴を開け、ストローを刺していた。
もう断れねぇじゃないか。
「How much?」
「50,000ドン」
日本円で300円か。
ベトナムに来てからハマってるフルーツジュース
なら3本飲めるじゃないか。
50,000ドンをその女性に支払い、ココナッツ
ジュースを受け取った。
この時にはなぜ飲みたくもないココナッツジュース
を買ってしまったのかは気づいていた。
最初に話しかけられた時にすっごく愛想のいい
笑顔でココナッツジュースを勧められたから、
思わず立ち止まってしまったのだ。
少し話してみたいなぁと思ったので、
ココナッツジュースを飲みながらお話をした。
少し英語の話せる方だった。
その女性は私のカバンを見て「何が入ってるの?」
と質問してきたので、靴磨きしながら世界一周を
していて、これから路上靴磨きすることを伝えた。
するとその女性は20,000ドン出してきて、
「これラッキーマネーだよ」と言って手渡してきた。
ラッキーマネー??
そのお金には「幸運」や「幸せ」という意味が込めら
ており、受け取った人は良いことが起きるという
ベトナムの言い伝えだそうだ。
「お金」というよりかは「お守り」みたいな
感覚なのかもしれない。
「いいの?せっかくココナッツジュースを
売って手に入れたお金なのに?」と聞くと、
「いいの。あなたの靴磨きがうまくいくように
応援してるわ」と言って、重たいココナッツ
を持ち上げて、また通りすがりの人に愛想のいい
笑顔でココナッツジュースをごり押ししていた。
その後の靴磨きの結果は、言うまでもない。
ココナッツジュースの味は相変わらず薄かったけど、
濃い出会いが続いた一日だった。
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