連続短編(リライト)『時空整備士が天国に収容された二十四時間の記録③』
7.〈消灯〉 実験開始六時間半経過
食後の食器や空き缶類の物性解除をすると、それらは跡形もなく消えた。片付けの手間もない。
インスタンスの物性解除は、しようと思えば〈OPENER〉は誰でもできるが、それなりのパラディグニティ(存在量/存在料)を必要とする。〈トゥア・ロー〉の用いる通貨のようなもので、我々の“給与”もすなわちパラディグニティの支給を指す。
物性解除は己のパラディグニティから生成した幻質を利用する消費活動だが、かれらにしてみれば“魔法”のように見えるかも