『氷山の1.8910402角』
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「氷山の一角には厳密な定義があります」
チャンネルを変えると、抑揚を制御した声が深刻そうに述べていた。
「具体的な数値は場の幻質によって変化しますが、原則として、存在量(パラディグニティ)を超立方体に一般化します。基準となるのはn次元の正八胞体です。16個の点を頂点とする正八胞体の中に点Pをとり、求める対象と、正八胞体の各胞に関するPの対象点に共通する超体積、それが従来の1パラディグニティ(1pdi)とされていました。虚幻界を除く現慣性系の時象学では通常、氷山