霧島啓二の長い一日
突然、がんと大きな衝撃がして、体全体が前のめりになった。胸元がシートベルトに押さえ付けられはっと気付く。踏みかけのブレーキを強く踏みなおした。
「やっちまった……」
フロントガラスの目の前に、超至近距離に、真っ黒いワゴン車が停まっていた。
予想外の出来事に、真っ青な顔で混乱した思考のまま、凍りついたようにハンドルを握って座席から動けないでいた。
しばらくするとワゴン車の助手席側から、作業着の男が一人出てきた。
自分の車の助手席の窓を軽くノックしてきたところで、金縛りが解けたよ