昆虫についての知識って得るほど途方もない気分になる… 国立科学博物館昆虫MANIAC感想
なんか知らんけど子供のころから昆虫が好きである。
ただ好きではあるのだが、「虫」に対する嫌悪感も人並みにある。
こうした「虫」に対するアンビバレントな思いが強いので、結果として昆虫に対する興味・関心も強くなっているのではないだろうかと分析している。
そういうわけで昆虫に対しての知見を深められる機会に目ざとくありたいとつねづね思っているのだが、
今年の夏、国立科学博物館で昆虫に関するマニアックな展示をやるという広告を見た。
それでとりあえず駆けつけることにしたというわけだった。
(虫の写真がありますので、嫌いな方は戻ってください)
キッズが多すぎる
まぁ夏休みの時期の国立科学博物館の「昆虫」の展示に子供に来るなという方がおかしいだろう。
企画の側もはっきりと対象を子供としていたと思う。
が、展示に横入りする、突然絶叫する、走る…など
内部は小学校の体育館の自由時間みたいな無法地帯となっており、
もう少し「博物館」の「展示」を観覧するマナーがあってもいいのでは……と思ってしまった。
学芸員さんもいたのだが、あまりの騒がしさによっぽどでなければ注意のしようがないという感じだった。
夏休みのキッズが全力ではしゃぐ空間では脳がなかなか「学ぶ」モードになってくれず、
展示の説明を読んでも頭に入ってこなくて辛かった。
「昆虫」というととりあえずキッズが対象になっていることが多いため、
大人になってからこのように昆虫についての知見を深めたいとなると、どうしてもこうした苦労と隣り合わせになってしまう。
昆虫=子供みたいな図式には意味がないから、
「ポケモン」や「電車」といった界隈のように全年齢を意識した展開になっていってほしいと思う。
男女論で年中燃えているXで、
子育てのメリット、みたいなのが議論される中で「子供ができたおかげでカブトムシに興味を持てた」みたいのが挙げられていた。(クワガタだったかな)
が、できれば結婚したり子供を持つ前からカブトムシ(クワガタ)に興味を持ってもらえたら、
こういうところで子供が騒ぐのを止めて展示から学ぼうとする親になってくれると思うし、
昆虫界隈にとっても年齢・性別にバリエーションが出て有益ではないだろうか。
まあ単純に私のような者が学びに行く場所をあやまった、ということなのだなと書きながら認識を強くした。
地球外生命体みたいな地球内生命体、「虫」
地球上で最も種類が多い動物種が、
昆虫をはじめとした節足動物門である。
哺乳類が4500種程度にとどまるのに対し、
虫は100万種を優に超える種類が発見されている。
しかも単に形や色の違う小さい生き物がいろいろいる、というのではない。
見た目が違うだけでなく、種ごとに驚くべき生存戦略をとっている。
彼らの生存のための工夫を知ると、
自分の生き方のバリエーションの弱さ、硬直ぶりに愕然とさせられ、世界の広さを思い知らされる。
その衝撃というのはまるで「地球外生命体」と出会った時のようだ。
しかも知られていない種、知られていない生態もまだまだ山ほどあるとされている。
そんな昆虫については、
知れば知るほど「渇く」感じがする。
今回の展示も、「大満足」というより「何も知らないんだな」という飢餓感が残った。
得る情報、得る情報、すべて初耳というか。
でも、昆虫について学ぶということはすなわちそういうことなのだとも思った。
面白かったところ紹介
不思議な隣人、昆虫
どんなに冴えない人生を送っている人間にも、
どこからともなく飛んできた小さな生き物が身体に止まり、
はて、この生き物はなんだろう?と思う瞬間に、
人生はわずかに豊かになっていると思う。
昆虫とはそのような存在だと認識している。
キモいと感じるのも素直な気持ちだと思うのだが、
どこからともなくやってきたこの虫がなんという名前で、
何を食べて、どんな生態で暮らしているのか?
虫に興味が出ると、家から半径5メートル以内でもめちゃくちゃ楽しめる趣味になる。
嫌いな人にとってはただウザい存在かも知れないが、
1年間のうちにその日だけ飛翔する実は珍しい昆虫ということもあるのだ。(羽アリなど)
今回の展示で体験できるようになっていた、「素数セミ」の壮絶な鳴き声も印象に残った。
(箱に頭を突っ込むとセミのいる近辺の騒音を体験できる。電車が通過してる駅よりやや静かくらいのうるささ)
現地のアメリカの人は辛いかも知れないが、
この騒音は2種類の異なる種類のセミが同時に地表に現れる221年に一回しか体験できない騒音でもある。
そう考えるとなんだかプレミアムな体験な気がしてくるではないか。
「虫」とはありふれている存在だが、あなどっていると何かしら必ず驚かされる。
そういうところが、おもしろくて好きだ。
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