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【SH考察:024】雷神になる英雄とその末裔達

Sound Horizonの楽曲のなかで、雷神シリーズは3曲もあるが、クロセカに閉じているせいかあまり最近考察を見かけない話。
そのため、3曲にわたって何が起こったのか、事象と時系列を整理した。


対象曲

  • Chronicle 2ndより『雷神の右腕』『雷神の左腕』『雷神の系譜』

考察

時系列

時系列は『雷神の右腕』⇒『雷神の左腕』⇒『雷神の系譜』の順。
それぞれで1回ずつ嵐が起こっている。

1. 遥かなる時の彼方(≒かなり昔?)
要約:
邪悪な神々が楽園と呼ばれた地を破壊。勇敢な戦士が立ち向かい、右腕と引き換えに雷槍を放って神々を倒した。
戦士は英雄、やがて神として称えられ、雷神と呼ばれるようになった。
(『雷神の右腕』を要約)

ここでわかることは2点。
1点目は、邪悪な神が複数形であり、単一神ではないこと。
2点目は、後に雷神と呼ばれる存在は、最初は人間(少なくとも神ではない存在)だったことがわかる。

2. 黒の予言書 第一巻 816ページ(1から数十年後)
要約:
右腕を失ったときに子どもだった人はもう大人になっている。
邪神は扉の奥に封じられている。
不吉な予兆を感じた右腕のない男は、ある嵐の日に扉を左手で押さえた。抑えきれず諦めかけたが、祈る人々の力を右腕の代わりに感じて抑え込んだ。
(『雷神の左腕』を要約)

右腕を失った英雄はまだ存命。
ただし、あの時子どもだった人はもう大人になっていることから、数年、数十年経過している。

3. 黒の予言書 第四巻 27ページ
英雄は死去。その地には街ができて、住む者は雷神の民となった。
黒き法衣ローブの者たちが邪神の封印を解き、三度目の嵐を引き起こした。六対の翼をもつ邪神が放たれた。
対抗するため、かつての英雄、雷神の忠告(右腕だけでなく全身が吹き飛ぶかもしれない)を聞きつつも、直系の力を持つ少年と、村の長の娘が力を合わせて雷神の力を使った。
(『雷神の系譜』を要約)

この時にはもう右腕を失った英雄は死去。
さらに数十年単位で時間は経過しているようで、街ができたり、当時の血筋が薄まったりしている(=ほかの土地からも人が出入りするなど、当時からその地にいる人が減ったり、他の地域の人との混血が進むほど時間が経過している)。

教団はなぜ邪神を開放したのか

前提として、黒の教団はクロニカを唯一神として崇めている。
つまり、邪神を「神」だとは思ったり、信仰対象として考えていないだろう。

我ら<唯一神クロニカ>の名のもとに…

Sound Horizon. (2004). 聖戦と死神 第1部「銀色の死神」~戦場を駈ける者~ [Song]. On Chronicle 2nd.
※ルビは書き起こしのため誤差がある可能性あり

黒の予言書は、予言書と言いつつ年代記であり、整合性がある。
そしてクロニカ曰く、「歴史は改竄を許さない」。
このことから、教団は予言書に書かれた歴史が実際に発生するように動いているのだと推測できる。

邪神の開放もまた、邪神を開放して何かをしたかったのではなく、「邪神が解放される」という記述があったから、それを実行したに過ぎない可能性が高い。
はた迷惑だな。

パーシファルと雷神の関係

アヴァロン朝ブリタニア王国で、薔薇騎士団の第四騎士団長を務める者。それがパーシファルだ。

彼は戦いで槍を振るっているのだが、ただの槍ではなく、あえて雷槍スピアとか雷槍やりと表されている。
このことから、3.までの雷神の民との関連性は考慮すべきだと思っている。

あかい戦場を駈け廻る一条のいかずち Parsifalパーシファル雷槍スピア
進め我らが<薔薇の騎士団Knights of the rose>だ

Sound Horizon. (2004). 聖戦と死神 第2部「聖戦と死神」~英雄の不在~ [Song]. On Chronicle 2nd.
※ルビは書き起こしのため誤差がある可能性あり

Parsifalパーシファル雷槍やりが閃き
崩れ落ちるGefenbauerゲーフェンバウアー

Sound Horizon. (2004). 聖戦と死神 第4部「黒色の死神」~英雄の帰郷~ [Song]. On Chronicle 2nd.
※ルビは書き起こしのため誤差がある可能性あり

『雷神の右腕』はボーナストラックが故に黒の予言書の巻数がわからないが、時系列的にその後の『雷神の左腕』が第一巻816ページ。
『雷神の系譜』が第四巻27ページ。
パーシファルが登場する聖戦と死神の一連の話が第九巻527ページ。

巻数がそのまま概ね時系列に沿っているとみるならば、パーシファルは雷神シリーズからそこそこ時間が経った時代を生きているはず。
そのため、三度の嵐には無関係だろう。
ただ雷神の系譜を受け継ぐ直系の子孫で、槍を持つに相応しい者ではあるのかも。

結論

かつて男は勇者で、右腕を犠牲にして英雄になり、やがて雷神になった。
彼と彼の意志を継ぐ一族は邪神を封じている。
パーシファルはその末裔……かも?

ちなみにMoiraにも雷神ブロンディスの加護を受けた英雄レオンティウスがいるが、さすがに無関係かと。
時代も地理も違いすぎる。

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他にもSound Horizonの楽曲考察記事を書いています。

更新履歴

2023/05/21
 初稿
2023/08/07
 歌詞引用追加
2024/04/24
 一部歌詞引用について「※ルビは書き起こしのため誤差がある可能性あり」の注釈追記

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