【SH考察:067】朱と緋と紅と赤の使い分け
Sound Horizonの楽曲の中で、赤色を表現するにあたり、明らかに朱と緋と紅と赤を使い分けている様子が見受けられる。
今回はどのような場合で、どのような色の表現が使われているのかを調査した。
対象
Sound Horizonの楽曲全て
考察
赤色にも200色ある(かも?)
某有名人が白には200色あると言ったそうだが、赤もまた然りだろう。
一言で「赤」と言っても、鮮やかな赤くすんだ赤、オレンジよりの赤や青みがかった赤、黒っぽい赤や白っぽい赤など、様々な赤がある。
サンホラの楽曲でも赤は度々登場するが、大雑把に分けて4種類の表現が使い分けられている。
それが、赤・緋・紅・朱の4種類だ。
今回調べるにあたり、Sound Horizonの全曲の歌詞を確認した。
(とはいえ一人で人力でやっているため、漏れはあるかも)
こうしてみるとある程度パターンも見えてきたため、使われている色の表現ごとにまとめてみる。
「朱」
鮮やかな黄みの赤。
歌詞中では、夕陽や夕焼けの赤色(もしくは、その色が反射して地面が赤っぽく見えるさま)を表す表現として使用されている。
「朱」は赤色系統の中でも比較的使用回数が少なく、使用されている場合はほとんどがこの用法だった。
例外としてはこのあたりだが、夕陽の色に似た石の首飾りだったのだろうと思うとさほど違和感もない。
「緋」
強い黄みの赤。
歌詞中では血の色の表現として使われることが多い。
「緋」は赤色の表現の中では比較的使用例が多いが、だいたいが血の表現なのでまぁ物騒。
「紅」
鮮やかな赤。
歌詞中ではあまり使い方が絞られていない印象だ。
ただ後者は「深紅」の読みが「スカーレット」なのは違和感があり、スカーレットは黄みの赤で、どちらかといえば緋色に近い色味のことだ。
他の楽曲で血の色を緋色で表していることを踏まえると、ここも読みであるスカーレットのほうが意図に近いのかもしれない。
同じElysionの中でもこちらでは深紅をクリムゾンと読んでおり、謎の表現揺れが起きている。
(そしてクリムゾンは紅色に近い青みのある赤なので、深紅の表現としてはスカーレットよりはクリムゾンのほうが的確)
また、絵馬に願ひを!の『生と死の遊戯盤』では、一見血の表現かと思ったものの「紅」を使っている箇所がある。
単に夕陽が水溜まりに反射しているならば「朱」、通称最悪枕草子であることを踏まえると血の表現とみなして「緋」を使ってもおかしくなさそうだが、どちらでもないことによって、かえって解釈の幅を作っているのだろうか?
「赤」
一般的な赤色を総称する表現。
歌詞中では物質の色味を表す、一般的で普通の使われ方をすることが多い。
結論
赤色ひとつとっても、どの漢字で表すかによって意味するものの法則性がある程度見えた。
以前調べた「焔」の読みでも思ったことだが、言葉も色も、Sound Horizonの世界では非常に意味を重視して取り扱われていることがわかる。
そして直接血という表現がなくとも、緋色と言われれば暗に血と言いたいのかも、と推測もできることがわかった。
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他にもSound Horizonの楽曲考察記事を書いています。
更新履歴
2023/11/16
初稿
2024/04/24
一部歌詞引用について「※ルビは書き起こしのため誤差がある可能性あり」の注釈追記
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