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自分らしい文章を書くぞ!~そらビ報道部勉強会レポ~

自分らしい文章を書くぞ!
~そらビ宇宙報道部 勉強会レポート

「宇宙が好き!」を公言してもドン引きされない。
いやむしろ「え、楽しそう!」って食いついてもらいたい。
そのためには、おもしろさを伝えなきゃ。伝えたい!

そんな野望を抱いて参加した、そらビ・宇宙報道部。
でも、「おもしろく伝える」って、難しいですよね。どうすればいいんでしょう?

頭を悩ませていた頃、そらビ・宇宙報道部から、「『自分らしい』文章の書き方勉強会を開催します」というお知らせが。

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これは参加しない手はありません。光速で参加ボタンをぽちり!

普段、仕事(ごく普通の会社員です)以外で見知らぬ人と交流する機会はあまりなく、慣れない場にドキドキ緊張しながら当日を迎えました。
さて、どんなお話が伺えるのでしょう……?

1. 1. いよいよ当日、ZOOMにIN!

「こんにちはーっ!」

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ZOOMにアクセスすると、そらビコミュニティのオーナーで宇宙キャスターの榎本麗美さん(以下、れみさん)がいつも通りのハイテンションで出迎えてくれました。若いっていいな。すごいな。このエネルギーを見るとビッグバンって本当にあったんだろうなあと実感します。

おそるおそるこちらもビデオをONにしてご挨拶。れみさんが醸し出す、天の川のようにふんわりした雰囲気に緊張もほどよく緩んだところで、勉強会、スタートです!

1. 2. 講師は『Hanako』編集長の田島 朗氏!


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プロや…! モノホンのプロ編集者…!!

などという今更に過ぎる衝撃と感動で固まっているところに、田島さんが穏やかに口を開きました。

「文法的に、または論理的に“合っている”文章が面白いとは限らない。
情報としての正しさはなによりも重要。ただし、それだけでは個性は出ない。
今日は、そういうお話をします」

確かに、文法的に折り目正しく書かれたビジネス文書がおもしろいか?というとちょっと違う気がしますね。
感覚的には分かりますが、では具体的にはどうすればよいのでしょう?

ケーススタディとして、2014年に田島さんが南極を体験した際のレポートを読んで、学んでいきます。

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余談ですが、画面上に投影されたテキストを参加者が読んでいる間、れみさんと田島さんが興味深い会話をされていたのですが、そちらが気になって気になって、テキストが読みづらかったです!!(笑)

1. 3. おもしろい、自分らしい文章にする5つのポイント

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参加者が(田島さんとれみさんの雑談に気をとられながら)あらかた読み終わったところで、田島さんによる解説が始まりました。
ここはシンプルに田島さんのお話のみ掲載しますので、是非みなさんも自分なりに受け止めて解釈してみてください!

【1】 自分だけの切り口を決める

「南極に行った話を書くとなると、本来なら着いてからの話を書くだろう。
しかし自分にとって、南極行きで何が一番印象的だったかというと、景色でもペンギンの群れでもなかった。
南極に着くまで、がとにかく大変だった。
ただし、それをそのまま書いたらネガティブな印象を持たれてしまう。
そうではなく、しんどかったからこそ感じていた、到着するまでのワクワクを伝えたいと思った」

【2】 つかみが何より大事/具体的に台詞を引用する

「SNSの影響もあって、書き出し部分で読むかどうかを判断する習慣がついている。冒頭の省略されないわずかな部分で、クリックして読んでもらわなければならない。
“つかみ”は派手である必要はない。主観があり、つい二度見をしてしまうような、気になる“ザワザワ感”を残す」
「“つかみ”も兼ねて、印象的だった船長の台詞を冒頭に置いた。この台詞はのちほど再登場させて、存在感を強めている。大切な言葉だったのだ、という印象づけをした」

【3】 主観と事実のリズムをとる

「一番大切なのは事実を伝えること。だが、個性的な文章を書くには主観も大切。
主観を書くと温度が上がる。事実を書くと温度が下がる。
暖めたり冷やしたりをリズムよく交互に繰り返し、温度感をコントロールする」

【4】 適度に開き、適度にやさしく

「『新しく』を漢字で書かずに『あたらしく』とかなにすることを“開く”という。
漢字で書ける言葉をあえて開くことで、やわらかい印象を与えたり、文面全体の重さを変えたりできる。
カタカナにするとポップな印象になる。
“開く”のは、やりすぎると幼稚になるので、全体のバランスを見てととのえていく」

【5】 “ちゃんとした”文章でなくてもいい

「“正しい”文章にこだわるのではなく、あえて違和感を作るというのもテクニック。
パラグラフの最初と最後に過去形を置き、間は現在形にする。時制としては正しくないが、全体は過去の話であることを提示しつつも、ライブ感が生まれる。
文章としては不要なところに読点を入れる。タメ、リズム、息継ぎの表現になる。
“たったひとつのホテルしかない島”と“たったひとつのホテルがある島”。文法的に正しいのは前者だが、後者のようにすると“ある”という言葉で存在を際立たせることができる」

1. 4. 何よりも「とにかく、書く!」が大事!

田島さんの解説が進むたび、参加者からは無言の「なるほど…!」があふれてきます。
そして最後に、実際に文章をつくっていく最も大事なポイントとして、
*  とにかくたくさん書く
*  自信を持って書く
*  まずはもりもりで書き、そこから推敲していく
という3つのアドバイスをいただき、講演は締めくくられました。

1. 5. 質疑応答も大盛況!

宇宙報道部に名乗りを上げた参加者も、ただ黙って感心していただけではありません。
活発に感想や質問が寄せられました。

Q.南極は寒いイメージだが、暑さを想起させるワードが印象的だった。

A.南極と言っても広いので、端の緯度が高い場所は極寒というほどでもない。ただ「暖かかった」と書いても伝わらないので、重ね着していたシャツを脱ぐという描写でイメージできるようにした。

Q.数字と固有名詞が多用されているのは、事実を伝えるという目的のためか。

A.その通り。数字、固有名詞をしっかり記述することで、事実感を強化することができる。

Q.「」と“”の使い分けは。

A.印象の問題だが、「」でくくるのは比較的オフィシャル感が出る。“”はもう少し弱く、心の声や個人の感覚など。

Q.体言止めのコツは。

A.普通に書いていると文末が「~だ。」「~る。」に固定化されてしまいがち。変化を加える効果がある。

Q.まずはもりもりに書き、そこから推敲するという話だが、どのくらいの時間がかかるのか。

A.文章にもよるが、書くときは一気に書く。一気に書いて、そこから一晩寝かせて、他人に読んでもらったりして、仕上げていく。自分のペースだとおおよそ3日ぐらい。

Q.自分の体験を知ってもらいたいときの伝えるポイントは?

A.知ってほしいことがあると、つい熱くなりがちなので、温度感を調整する。不特定多数の読者であれば特に、適度に冷ますことが重要。温度感でリズムを作らないと、最後まで読んでくれない。もう少しプライベートな、自分のSNSやブログであれば熱いままでもよいときがある。

名残惜しいですがこれにて勉強会終了です。
最後にみんなで記念撮影。ポーズは「そらビ」の「S」です!

スクリーンショット (25)

たまに逆向きがいますが、それもまた「個性」ってことで。

1. 6. 「みなさん、鋭いですね! 嬉しいです」

講演終了後にお時間をいただき、田島さんにお話をお伺いしました!

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――本日は大変勉強になるお話をいただきありがとうございました。田島さんのご感想をお伺いできますでしょうか。

「まずは質問の質がとても高くて、びっくりしました。真剣に聞いていただいて、『伝えたいけれどもしていない話』が伝わっていた。指摘が鋭い。嬉しかったですね。
また、自分のことで言えば、現在はマネジメントの仕事が多いのですが、久々に『自分はどのように原稿を書いていたのか?』を振り返る良い機会になりました」

――田島さんは『BRUTUS(男性誌)』の編集から『Hanako(女性誌)』の編集に移られ、そこで読者層が激変していますよね。宇宙というジャンルにおいて、読者層、ターゲティングというのはどのように考えられますか?

「今後、宇宙はもっと開かれていきます。映画をISS(国際宇宙ステーション)で撮影するという話もある。火星に移住するというプロジェクトもある。そういう世界になっていくなか、既存の宇宙好き以外に楽しさ、可能性を自分ごととしてどう伝えていくかがポイントなのではないでしょうか」

――『Hanako』では「ハナコラボ宇宙部」という取り組みをされていますが、手応えはどうでしょう?

「まだまだこれからです。ライフスタイルのカテゴリでは、例えばSDGsや防災といった“カタい”テーマも扱っていますが、これらは家の中にあるもの、生活と紐付けやすいんですよね。そういう暮らしとの接点が、宇宙ではまだ見つけられていないと感じています。ISSではLIONさんやワコールさんといった生活に身近な企業も実験をしているので、記事を作ってみたりしています。
宇宙飛行士も、科学者やエンジニアだけではなく、誰でも応募できるような時代になるなか、どう伝えていくのか。これからも試行錯誤が必要ですね」

田島さん、講演、そしてインタビューと、長時間ありがとうございました。
そらビ・宇宙報道部も、宇宙飛行士部やカルチャー部とともに、宇宙をもっと身近に感じてもらえるよう、「伝える」力を身につけていきます!

レポート:榎本 恵(えのき)


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