91. 戦闘状態 その5.

介護保険の介護サービスを利用するにはまず市の福祉介護部高齢者福祉課か地元の地域包括支援センターで『要介護認定の申請』をする必要がある。

要介護認定とは、被保険者(今回は、母。)が介護保険からサービスを受けられるかどうかを市が確認する手続きである。この手続きは本人、家族が原則として申請するが、身寄りが無い場合や事情で家族が手続き出来ない場合は『地域包括支援センター居宅介護事業所』に申請の代行を無料で依頼出来る。申請が受理されると窓口で日時を設定し、訪問調査員が被保険者を訪問し、認定調査をする。 約束した日時に認定調査員が直接被保険者を訪問し、心身の状況(現在は74項目)について調査する。この74項目の調査結果から要介護度をコンピュータで一次判定する。
一次判定の結果と、訪問調査の際に認定調査員が調査項目に関連して書き取って来た事項と、医師の意見書(主治医意見書)の3つを総合して介護認定審査会が二次判定する。介護認定審査会の二次判定の結果を元に、市が要介護度を認定する。原則として申請から30日以内に「認定」か「非該当」かの結果を通知する。(実際はもっと待たされる人もいる。)

「認定」の場合介護を必要とする状態に応じ要介護状態区分7段階のいずれかに認定される。※要介護状態区分7段階(上から重い順に、

 要介護5 日常生活を遂行する能力が著しく低下しており、
      全般にわたって全面的な介助を必要とする状態。

 要介護4 日常生活を遂行する能力がかなり低下しており、入浴や排泄、 
      衣服の着脱など多くの行為で介助を必要とする状態。

 要介護3 入浴や排泄、衣服の着脱など日常生活の行為の中で
      一人で出来ない事が多い。
      理解力の低下、暴言、暴力などの行為が見られる状態。

 要介護2 立ち上がりや歩行が一人で出来ない事が多い。要介護1の
      日常生活能力の低下に加え理解力の低下も見られる状態。

 要介護1 立ち上がりや歩行などが不安定で、日常生活上の基本動作や
      金銭管理に部分的な介助が必要な状態。

介護サービスを利用出来るのは上記の要介護5から1までに該当する場合のみである。

 要支援2 要支援1の状態から日常生活動作を行う能力が僅かに低下し、
      何らかの支援が必要な状態。

 要支援1 日常生活の基本動作はほぼ自分で行う事が可能であるが、
      何らかの支援を要する状態。

 非該当  非該当とは自立の状態である。
      日常生活動作が自立出来ているという事。 

母の現時点での状態がどれに該当するのか、また退院後はどの段階まで回復し住環境も含めてどんな援助を必要とするかを判定して貰う訳である。

ちなみに10年前、父が最初の脳梗塞発症から入退院し自宅に戻った時は「要支援」だった。当時「要支援」は単一で1と2に区分されていなかった。父は在宅でお気楽な独居生活をしていたが10年間のうちに徐々にレベルダウンした。当初は「ヘルパーなんぞ要らん自分一人で大丈夫だっ」と威張って言っていたのが、少しずつあれも出来なくなりこれも出来なくなって現在は要介護3にまで重くなってしまった。要介護3は独居の限界である。もし4にまで落ちたらその時は本人の安全安楽のためにいよいよ短期・長期の施設入所を検討しなければならない。

要介護認定の有効期間は6ヶ月。母がこの7段階のいずれに該当するかによって色々考えなければならない事がたくさんある。

市役所には10分ほどで着いた。庁舎に入り、市の『福祉介護部高齢者福祉課』の窓口に行く。運良く待たされずに担当者と会えた。
介護保険の要介護認定を申請したいのですが。
「どうぞお掛け下さい。被保険者はご両親ですか?」
母です。
「では、この用紙に記入して下さい。
 ご本人の身分証明になるものをお持ちですか?」
担当者から申請用紙を渡され、母の住基カードを見せる。担当者は住基コードから母の介護保険の被保険者番号を検索した。その番号を申請用紙に記入する。母の氏名、住所、生年月日と私の氏名、住所、生年月日と続柄を申請書に記入する。窓口の担当者から介護保険の仕組みについて詳しく説明を受ける。申請書には印鑑は要らない。氏名、住所、生年月日は正確なデータが要るので本人の身分証明書や自分の身分証明書を持参した。また、被保険者である母が入院中のため、病院の名称と所在地、主治医の氏名が必要となる。入院した日時と入院した時の状況、現在の状態も聞かれた。家族構成についても詳しく。

8/12の10:30に認定調査員が母を訪問するという。その時間の都合は市の窓口の担当者が直接母の入院先の病棟に電話を入れ、認定調査に病床訪問する事の了解を得ていた。今回の認定調査について必要時には市の担当者から私の携帯に連絡するという事で了解した。申請手続きはここで完了。8/12の認定調査を待つとする。母にその時間は必ず病室にいるように言わねば。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?