見出し画像

かまど猫

猫の季語を探していたらかまどというのを見つけた。昔は今のように暖を取るものがなかったから、火が消えた後の竈の中に猫が潜り込みんで灰だらけになったのを、こう表現したらしい。

今は竈などある家は少ないと思うが、子どもの頃に住んでいた家は土間に竈があって、そこでご飯を炊いていた。そこに猫が潜り込んでいるのは見たことはないが、お風呂(五右衛門風呂)の下の竈にはよく猫が潜り込んでいたのを覚えている。

おばあちゃんが風呂を沸かそうと、新聞紙に火をつけた釜に放り込んだ瞬間に、猫が中から猛然とダッシュして飛び出してきたことが何度かあった。今のようではなく、猫が暖を取るのも命がけであった。

かまど猫か、ふーん、よく言ったものだ
と、何だかちょっと懐かしい発見をしたような気持になった。

今、飼っている猫は「暖」を拒否している。炬燵猫という季語もあるようだが、炬燵にも入らない。蒲団にも潜り込んでこない。警戒心が強く、ただひたすらまるまって寒さを耐えている。
捨てられて恐い思いをしたせいだろうか、と思うとちょっと可哀想である。

飯田蛇笏にこんな句があるそうだ。
しろたへの鞠のごとくに竈猫
これは竈猫と似合わぬ美しい猫のイメージだが、灰をかぶって白いのだろうか?

猫の本を見ていたら、鞠のようにまるまっている姿が、アンモナイトがぐるぐるしているのに似ているということで、これを「アンモニャイト」と呼んでいた。かまど猫が羨みそうな、いかにも平和なダジャレ?である。

今は昔 縁側に 祖母と竈猫


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?