てんとせん-4
今ここにいるわたしは、ここから抜け出す具体的な道や方法を知っている。切符やチケットを手に入れたら国境を越えられるし、アクセルを踏めばすぐにでも県境は跨げる。幼少期のような保護者も必要ない。「移動する」ことは時間とお金があれば自由だ。だけど、ここにいる。
声がなくなったわけじゃない。弱くなって、影に隠れてしまってじっと固まっている。かわいそうなわたしの希望と夢。隅っこに追いやられて抜け出すことができなくなってしまった。ちいさなちいさな声。
自らが鍵をかけてしまった牢獄の鍵を開けようと、今、左手の掌にはちいさな金色の鍵を握りしめている。
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