【飛行機の飛ばし方】フライトシム パイロット訓練動画 PPL Lesson 03 Straight and Level 実技編
こちらは、PPL Lesson 03 Straight and Level 座学編の続きです。
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本noteの内容で予習が済んでいる方は、前半を割愛し、フライトシムを開始する11:26 よりご覧いただけます。
AIR EXERCISE
直線飛行を構成する5つの要素を、もう一度見てみましょう。
1. Constant Speed 一定速
2. Constant Altitude 一定高度
3. Constant Direction 一定方向
4. Wings Level 両翼水平
5. In balance 横Gがゼロ
これらを管理する方法を今から説明します。
RRL と PAT(S&Lを作る)
まず、自分がどこに向かって飛ぶのかの目印を外に取ります。雲とか、山とか、ビルとか、なんでもいいです。前回のレッスンでやった通り、パイロット自身の正中線上にとります。これをReference Pointと言います。
次に、Reference Altitudeを決めます。仮に、4000ftとしましょう。そして、最後にLook outです。何かエクササイズをするときは、かならずこの「R、R、L」を呪文のように唱えましょう。
Reference Point 山!
Reference Altitude 4000 ft(ターゲットをいつも意識)
Look out ぐるりと (安全確認と情報の先取りのため)
次の呪文がPATです。
Power:2400 RPM
Attitude:4 fingers below the horizon / Wings Level / Ball centre
Trim:remove control pressure
この3つだけです。シンプルですね。
スロットルレバーでPowerを、操縦桿を使ってAttitudeをそれぞれ目安の値に合わせます。Attitudeの「4 fingers」とは、実機のグレアシールドに手を置いて物差しに使った時によく言われます。もちろん機種ごとや手の大きさによって違いますが、目安を持つことが重要です。
さらに飛行機のノーズをRef. Pointに向け、グレアシールドと水平線を平行にして、Wings Levelとします。最後にラダーペダルを使ってバランスボールのずれを直します。もし、ボールが中心より右にずれていたら、右のラダーペダルをじわっと踏むと、ボールが中心に戻ってきます。Step On the Ballですね。
上昇や降下から水平飛行に移るときなど、飛行機がある状態からある状態へ遷移する時は、パワーやスピードがしばらく落ち着かずに飛行機が暴れます。定常的な水平飛行に移るまで少し時間がかかるので、しばらくP・A・Tをぐるぐると回すようにしてください。PAT、Recheck PAT、です。
PATにより、座学で解説した飛行機にはたらく力が決まり、トリムをとることでそれがバランスします。まるでやじろべえのように、飛行機にはたらく力のバランスを取ること、これが飛行機を操縦する感覚です。
LAI(S&Lを維持する)
こうして作ったS&L(Straight and Level)を、今度は維持します。バランスをとったやじろべえをモニターする作業で、その時の呪文は「LAI」です。
Look out Ref. Pointを中心に外を見ます。
Attitude 水平線を基準に4fingers / Wings level
Instruments S&Lが維持できているかを確認します。
Ref. pointに向かい、Attitudeがしっかり維持できていて、Powerが正しくセットされていれば、基本的にはうまくいっているはずです。これを計器で確かめます。まず確かめるのは、以下のピンクの丸で囲まれた計器です。
繰り返しますが、Ref. Pointにまっすぐ向かっていて、AttitudeとPowerのふたつの入力が、正しくセットされていれば、これらの計器は正しい答えを返してくるはずです。もしこれらの計器が所望の値を示していない場合は、パイロットがした入力に問題があるはずだと考えます。
例えば、速度(Airspeed)が速ければ、タコメーターを確認しましょう。パワーが入りすぎているはずです、スロットルでこれを微調整します。
あるいは、高度(Altitude)が下がっていたらどうでしょう。この場合は、姿勢(Attitude)が低すぎることが多いですね。外を見て、Attitudeを確認し、エレベータで修正します。
方向(Direction)については、少し説明が必要です。
Directional Indicator(DI)は、Magnetic Compassとのシンクロを常に忘れないことが大事です。最近のトレーニング機には、このシンクロを自動的に行うものもありますが、原始的なDIは、放っておいても地球の自転速度と同じ4分間に1度の割合でずれていきます。
コンパスと同期したDIをチェックして、方向が変わっていることを発見したとしましょう。原因は2つ考えられます。ウイングスレベル(バンク角がゼロ)か、ボールセンター(バランスボールが中心にあること)のどちらか、あるいはその両方が崩れているはずです。バンクの場合はエルロンで、ボールの場合はラダーで修正しましょう。どちらかを直すと、どちらかに影響が出ますので、いずれのケースでも直した後にバンクとボールをもう一度確認します。
さらに、DIが回っていなくても安心はできません。バンクとボールの両方がずれているケースでは、お互いが打ち消しあうように働き、方向が変わらない(DIの変化として現れない)ことがあります。これはStraight and Levelとは言わないので、やはりボールを確認して、同様に直します。
それぞれの計器を見るタイミングなど、細かいテクニックについては有料版で解説します。
Regaining Straight and Level
このPATとLAIを応用すれば、S&Lが崩れた時にどのようにリカバリーするかが直ちにわかります。
つまり、バンクが入ってしまった場合は、エルロンで直してP・A・T、その後L・A・Iと続けます。
あるいは、ピッチが上がってしまった場合はエレベータ直してP・A・T、その後L・A・Iと続けます。
その両方の場合は、エルロンでバンクをゼロとし、ピッチをエレベータで直してP・A・T、その後L・A・Iと続けます。
同じことですね。
S&L at different Airspeed
最後に、あるS&Lから、違う速度のS&Lに移行する方法を紹介しましょう。S&Lの定義をもう一度確認すると、
1. Constant Speed 一定速
2. Constant Altitude 一定高度
3. Constant Direction 一定方向
4. Wings Level 両翼水平
5. In balance 横Gがゼロ
Constant Speedとあり、何ノットで飛べとは書いてありません。つまり、ある一定の速度を維持している場合は、その速度が遅かろうが速かろうがStraight and Levelと言えるのです(2 から5までを満たしている前提で)。
では、その速度はどのように調節するのでしょうか。入力と出力の関係を考えればもうわかりますね。そうです、パワーと姿勢の組み合わせを変えることで、新しい速度での等速直線飛行を確立します。次の表に例を示します。
パワーについては想像がしやすいでしょう。車のアクセルと同じです。
たとえば、「通常」より「低速」としたい場合は、パワーを減らします。この表の例では、1800RPMに下げています。すると、飛行機は機首を下げて「通常」のスピードを維持しようとしますので、高度を落とさないようにパイロットはこれをエレベータにバックプレッシャーを与えて支えます。高度が落ちないところまで姿勢を上げると、1800RPMという低パワーに見合う、ある高い姿勢で落ち着きます。しばらく待って、支えているバックプレッシャーを抜くためにトリムをとります。これは、P・A・Tですね。
「通常」より「高速」としたい場合は、上記の逆操作となり、姿勢は低い姿勢で落ち着きます。やはりトリムをとってP・A・Tの後L・A・Iです。
つまり、飛行機は速度によって姿勢とパワーが違います。
遅く飛ぶとき:頭を上げて、小さいパワーを当てる
速く飛ぶとき:頭を下げて、大きなパワーを当てる
馬と同じですね!
これで、本日のレッスンの課目を完了しました。あとは、練習あるのみです。
以上が、直線飛行の無料版レッスンになります。これだけでも直線飛行をするのに必要な情報は全て網羅していますので、練習すれば上手くなるはずです。
以下の有料版では、スキャニングのやり方の詳しい解説と、航空力学の知識である静・動安定という切り口でS&Lを考察し、より安定して飛行機を飛ばすためにはどうすればいいかを考えてみます。是非ご覧ください。
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