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社交不安の原因はコミュ力不足ではない
こんにちは、Soratoです。
前回の続きを書いていきます。
(毎回記事にスキボタン押してくださってる方、ありがとう!)
会話テクニックではない
※私がここで言う社交不安はトラウマ的な心の傷の影響で人が怖くなっているタイプの社交不安ではなく、「人からの評価が怖い」タイプの社交不安なので、その前提で読み進めてください※
私は社交不安の人に「聞くテクニック」なんて教えても意味がないと分かっているのでテクニック的な話はほとんどしませんでした。
社交不安の人が「聞くテクニック」を実践しようとしても、「聞かないといけない!聞かないといけない!」という考えで頭がいっぱいになり、次第にまったく相手の話が入ってこない状況に焦り、「いや、絶対おかしいと思われてるだろ!」といつもの失敗パターンに陥ってしまいます。
これは会話以外の症状でも同じです。
例えば、私は今でも人と目を合わせて喋ることが苦手で、このタイプは「正視恐怖」と呼ばれています。
私のような対人恐怖気質のある人が、よく聞く、
「目を合わせて喋るのが苦手な人は眉間をみて喋ればいい」
というアドバイスを実行するとどうなると思います?
ー------
私「なるほど。眉間を見て喋ると自然と目を合わせて喋ってるように見えるのか。よし、眉間をみて喋るぞ!」
ジーー。(一生懸命相手の眉間を見て喋る)
私「・・・」
私「大丈夫か?自然と眉間をみれているか?目を合わせるのが苦手だから眉間を見てるってばれてないか?」
私「あ!今の反応気づかれたような気がする!」
(頭がパニックになって相手の話がまったく入ってこなくなる。焦っていっぱいいっぱいになるので次第に相手も「?」と思い始める)
私「やばい!どうにかしてごまかさないと!」
(あたふた、あたふた)
私「いや、絶対おかしいと思われてるだろ!」
ー------
と、いつもの失敗パターンに陥ります(笑)
テクニック系のほとんどってバリエーションが変わるだけで、結局着地点は一緒なんですよね。
ちなみに、「眉間だと目が近いから鼻をみて喋った方がいい気がする」と、「鼻を見て喋る」に変えても結果はまったく同じです。
「目を合わせて喋るのが苦手だから鼻を見てるってばれてないか?」「鼻ばっかり見ておかしいと思われてないか?」と心配になり、まったく会話に集中できず、「いや、絶対おかしいと思われてるだろ!」と頭が真っ白になります(笑)
ほかにも、対人恐怖の人の「隠すテクニック」「ごまかすテクニック」ってバリエーションが無数にあり、例えば、緊張して汗をかくのを隠すためにわざと厚着をして「私は緊張してるんじゃないよ!暑いから汗をかいてるんだよ!」という戦略に出る例もあるそうですが、結局、行きつく先は、「いや、絶対おかしいと思われてるだろ!」で効果はたかがしれてるんですよね。
原因は何なのか?
テクニックを用いてもうまくいかない原因については、様々な角度からの説明ができると思いますが、私は、(結局何も試みても)「相手にどう思われているか」「自分の振る舞いはおかしいのではないか」「また失敗したらどうしよう」という考えで頭がいっぱいになる「人前でのパニック感」が一番大きな要因だと思います。
※私のnoteはパニック障害の方も見てると思うので念のため書いておきますが、ここでのパニックはパニック発作とは違います。パニック障害の人のことを考えると、あまりパニックという言葉は使わないほうがいいと思うので、以後、「人前での不安感」という言葉に置き換えて書き進めていきます。ただし、私の感覚では一番しっくりくる言葉は「人前でのパニック感」ですので、社交不安の人はそちらで考えてください。
「聞くテクニック」「自然と目を合わせるテクニック」「発汗をごまかすテクニック」・・・
どんなテクニックであれ、「相手にどう思われているか」「自分の振る舞いはおかしいのではないか」「また失敗したらどうしよう」という考えで頭がいっぱいいっぱいになりながら行ってもうまくいきそうにないのは容易に想像がつきますよね。
また、逆に言うと、何らかの世紀の発見がなされてスイッチ一つ押せば「人前での不安感」が消える装置が開発されれば、「コミュ力ばっちりで、活発で輝いている自分」にはなれなくても、「人づきあいが苦手ながらも、何とか生活はできる」という程度まではすぐ回復できそうだというのは、多くの社交不安の人も納得してくれる共通の認識ではないでしょうか?
コミュ力が低いから私は不安になる⇒これが間違い
では、人前での不安感をどう改善するかと考えたとき、多くの人は、
・私はコミュ力が低いからこそ人前での不安感に悩まされている。
→コミュ力を磨けば不安感は自然と改善されるはずだ!!
と考えるでしょうが、ここが間違いで、実際は逆。
「不安感に襲われるからこそコミュ力が低くなっている」であり、先に不安感が改善されることでコミュ力は自然とあがります。
このことを示唆する孤独に関する興味深い研究を紹介しました。
・孤独な人に、「自分のことをレコーダに向かって話してください。後に他者が評価します」という指示を与えた。すると、孤独な人の話は孤独でない人に比べ、あまり感動する部分がなく、興味深さも孤独でない人に比べ劣ると評価者に評価された
・しかし、条件を変え、「後に他者が評価します」という部分を省き、「自分のことをレコーダーに向かって話してください」というだけの指示にすると、孤独な人の話は孤独でない人の話と同じくらい興味深いと評価された
孤独に苦しめられている人が抱えている問題は表面的に見ると「コミュ力の低さ」でしたが、真の原因は「人に評価される」というプレッシャーであたまがいっぱいいっぱいになっていることだったのです。
私が思うに、これは多くの社交不安の人にもあてはまります。
社交不安の人でも家族とは喋れるという人は少なくないでしょうし、症状がきつすぎて家族すら無理という人も、これまでに普通に会話してきた経験は必ずあるはずです。
また、仮に(今後実際に会うことはない遠方の人と)メールでやりとりをするとなった際、話し方がまったくわからなくて何も書けないという人はいないでしょうし、頭が真っ白になって相手が何を言っているのかわからないという人もいないと思います。時間をかけて冷静に考えれば、最低限の意思疎通はできるでしょう。
あなたも仮に、対面による恐怖、相手に評価される恐怖さえなければ、日常生活を営める程度(または、人付き合いが苦手ながらもなんとか生活はできる程度)のコミュニケーションはこなせると思いませんか?
正しい回復像
これらのことから、多くの社交不安の人の抱いているであろう
・効果的な社交テクニックを身に着ける
→相手の反応も上々になる
→みんなと和気あいあいと喋れるようになる
→社交に自信がつき、社交不安も回復する
という、「社交テクニック(=コミュ力up)」がきっかけとなって正のスパイラルが起こる回復像は必ずしも正しいものではなく、
・「相手にどう思われているか」「自分の振る舞いはおかしいのではないか」「また失敗したらどうしよう」という人前での不安感が先に改善されることで自然とコミュ力も改善される
という回復像が成り立つことが分かると思います。
で、私が推奨するのは、もちろん「後者」です。
(次回へ続く)
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