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人間関係を第一としない

こんにちは、Soratoです。

今日の記事も前回の続きです。

前回のおさらい

前回の記事は「社交不安の人の抱えている真の問題はコミュ力不足じゃない」という内容でした。

社交不安の人はコミュニケーション能力ばかりに目が行ってしまいがちだと思いますが、例え効果的な会話テクニックを学んだとしても、「相手にどう思われているか」「自分の振る舞いはおかしいのではないか」「また失敗したらどうしよう」という考えで頭がいっぱいになってる状態で行っても効果はたかが知れてるので、先に人前でのパニック感に目を向けたほうがいいという話でしたね。

また、逆に、人前でのパニック感さえどうにかなれば「人付き合いが苦手ならがも、なんとか生活はできる」程度までは回復できそうだというのは、多くの社交不安の人も納得してくれる共通の認識でしょう。

(前回パニックという言葉は使わないようにすると書きましたが、意味的に無理なので、パニックで話を進めていきます。ごめんなさい)

おススメの方法

と、問題の根本を特定できたのはいいのですが、この人前でのパニック感ってすごく難しい面があり、、、

そう簡単に改善できるものではありません。

そもそもパニック感っていくら頭で納得しても暴発してしまう類の話であり、「理屈で納得できる→症状が改善される」という単純なものではありません。

犬恐怖症の人に犬が怖くない理由をどれだけ説明しても、

「言ってることは分かるけど、分かってても怖いんだわ」

となってしまいますよね。

理性vs恐怖(パニック感)の戦いって大抵恐怖が圧勝します。

しかし、即効性と劇的な改善効果を望まないのであれば私も実践して効果を感じるおススメの方法があります。

それは、

「人間関係を第一に持っていかない」

というもの。

精神科医も推奨

本で述べましたが、私の対人恐怖の回復のきっかけは、

「もういい。人間関係が苦手でもいいや」

という心境の変化でした。

考えうるすべての改善法を試してもまったく良くならないので、無理にコミュ力をあげようとすることをやめ、他にできることを頑張ろうと思えた時から徐々に症状が改善されていきました。

個人的にはすごく回復の助けになった心境の変化であり、皆さんにも紹介したかったのですが、対人恐怖の人に「人付き合いを諦めろ」なんてアドバイスは聞いたことがないので推奨することはありませんでした。

ですが、最近読んだ精神科医が書いた本に似たような記述がありました。

私たちは時に対人関係の煩わしさから離れて自然の懐に抱かれたいと願う。それも一つのストレス解消法であろうが、現実離れの生活は一時の慰めか特殊人に許されているに過ぎない。もっと身近にその解消法があるのではなかろうか。その1つは社会における個人の役割から対人関係を可能な限り切り離すことである。例えば、職場で与えられた職務を十分にこなせている限り、対人関係でぎこちなく少し変わり者と見られたからとてどうということはない。職人はたとえ偏屈者でも自分の仕事を立派に仕上げれば世の中に大手を振って通用するはずだ。商人にも商人気質というものがある。商人には信用が何よりも大切だ。それは口先で成り立つものではない。一般に〇〇気質という場合の気質は堅気に通じる。社会生活において大切なのは仕事や役割であって、対人関係は二の次であるべきだ。ところが、この第一が仕事や役割、第二が対人関係という順位に逆転が見られる場合に精神の混乱をきたすことが極めて多いのである。社会的に仕事一途、役割への過剰同一化が問題にされているけれども、よく見ればやはり、対人関係が第一順位にされているのである。対人関係が第一順位にされると、おのずと対人関係に振り回されがちになるのは言うまでもなく、その結果、仕事や役割は二の次とされて、社会における自己の位置付けを見失うことになる。そのために一層対人関係に振り回されていく。

対人恐怖 著 内沼幸雄 講談社新書

個人的に特に注目していただきたいのは、以下の部分です。

『ところが、この第一が仕事や役割、第二が対人関係という順位に逆転が見られる場合に精神の混乱をきたすことが極めて多いのである』

『対人関係が第一順位にされると、おのずと対人関係に振り回されがちになるのは言うまでもなく、その結果、仕事や役割は二の次とされて、社会における自己の位置付けを見失うことになる。そのために一層対人関係に振り回されていく』

私も運動、瞑想、栄養、ポジティブシンキング、、、とありとあらゆる改善法を試しましたが、どれほど効果的と思われる方法論を用いても、(人間関係を最重要項目と考え、)「うまくやらねば!」と思えば思うほど些細な相手の反応が気になったり、自分の言動や挙動のおかしな面が気になったり、「失敗したらどうしよう」という恐怖心も強まり、プラスマイナスゼロであまり大した効果はありませんでした。

このことは前回の孤独の研究でも似たような現象が示されていました。

・孤独な人に、「自分のことをレコーダに向かって話してください。後に他者が評価します」という指示を与えた。すると、孤独な人の話は孤独でない人に比べ、あまり感動する部分がなく、興味深さも孤独でない人に比べ劣ると評価者に評価された

・しかし、条件を変え、「後に他者が評価します」という部分を省き、「自分のことをレコーダーに向かって話してください」というだけの指示にすると、孤独な人の話は孤独でない人の話と同じくらい興味深いと評価された

この時の孤独な人の心理状態は、「孤独から抜け出したい」「相手に好かれたい」という思いにとらわれすぎて、「私は気に入られているだろうか」「これが一番面白い話だろうか」といったことに「集中しすぎている状態」であることが指摘されています。(ほぼ、考えすぎとイコール)

この現象って社交不安の人ならすぐに分かってもらえる典型的なあるあるですよね。

「うまくやらないといけないと思えば思うほど、いっぱいいっぱいになり、焦ってヘマをやらかす」

というおなじみのアレです。

幸福に関する研究でも似たような現象がありました。

・2011年のデンバー大学などの研究では、参加者に「普段どれくらい幸福を大事に考えているか?」を尋ね、過去18ヶ月間に体験したストレスと比較した。すると、幸福を重視する人ほど人生の満足度が低く、逆にストレスも高い傾向が見られた

・別の研究では、320人の男女を対象に、数週間にわたり日記をつけさせたところ、こちらも幸福を重視する人ほど孤独感に襲われやすく、うつ病になる確率も高い傾向が見られた

私たちは、不屈の意志で幸福をつかみ取ろうと努力する人こそが幸福な人生を享受できると考えがちですが、現実には幸福を重視する人ほど逆に不幸感に悩まされていたのです。

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幸福を重視する⇔逆に不幸感に悩まされる

対人関係を重視する⇔逆に対人不安に悩まされる

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精神の問題って本当に難しく、解決しようとやっきになることがどんどん事態を悪化させていく謎の逆効果現象が起こりうるのです。

これらのことから分かる通り、精神の問題ってひたすら押せばいいという単純な問題ではないのです。

一番幸せなのは、幸福なんて特別必要でないと悟ることだ
-- ウィリアム・サローヤン --

ダメ人間のダメダメ人生を受け入れろと言ってるわけではない

即効性と劇的な効果は保証できないものの、「言われてみると確かに・・・」と思えるアドバイスだったのではないでしょうか?

私も未だに「人と目を合わせて喋るのが苦手」という傾向は変わっていませんが、この対人恐怖特有の症状の生活への実害度って日によって変動があり、私が、「なぜ私は人前でキョドってしまうんだろう。年下でも快活に振る舞えているのに情けない・・」と思っている時は自己嫌悪の種になり、「まあいいや。私は人前での堂々とした振る舞いで勝負するタイプじゃない。他で頑張ればいいや」と思っている時は、ほとんど気になりません。

多少症状があろうが、私がさほど気にかけていなければ問題なく人とコミュニケーションはとれますし、そのような心境で過ごしていると自然と挙動不信感は消えていきます。

(無論、一念発起し、「バッチリ目を合わせて喋れるように努力せねば!」と改善に取り組むとことごとく悪化します)

引用文で示した、

『ところが、この第一が仕事や役割、第二が対人関係という順位に逆転が見られる場合に精神の混乱をきたすことが極めて多いのである』

の意味が分かりますよね?

私は今でも完全に症状がなくなったわけではなく、心の葛藤も完全に消え去ったわけでもありませんが、症状を発端として悪化していくパターンと抜け出す方法が分かっているので、すぐに気持ちを切り替えられるようになったという感じですかね。

ただし、対人関係に死ぬほどコンプレックスを抱えてる人たちに「一旦、うまくやるのを諦めろ」といっても、「こんな状態で問題を放っておいていいはずがない!」と強烈な心の反発が返ってくると思うので、次回はその点をフォローしていきます。

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一生懸命人生を好転させようと努力してるものの、「幸せな人生」や「理想の自分」を追い求めれば追い求めるほど苦しくなっていると感じる方は是非目を通してみてください。

占いとスピリチュアルのアドバイザーという私とは水と油の方ですが(笑)、似たようなトラップにはまっている人っているんだなーと思いました。


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