見出し画像

猫に喰われる話

うちの猫は基本一緒に寝てくれない。預かりの時期に変なクセを付けない方がいいかもと、寝室に入れなかったのが原因かもしれない。
結果うちのこになって、一転一緒に寝ようと毎日寝室に連れて行くが、最初の2年くらいはすぐに立ち去った。

その後、寒い冬の季節は一旦去った後、室内も猫も冷えた頃に『布団に入れろ』と起こされるようになった。でも、暖かい季節、暑い季節は余程気が向いた時じゃないと添い寝すらしてくれない。

このところ、急激に寒くなり、今までタオルケット一枚ですら熱かったのに、薄手の掛け布団を追加してもまだ何となく寒い。猫もこんな季節になると、私が布団に潜り込んだ後に立ち去るべきか暖を取るか、明らかに迷いを見せる。

そして、暖を取ると決めた時。

普段は見下ろす姿を下から見上げる事になる視界に、真顔で無表情の猫が私を覗き込むようにして歩いて来る。その近付いて来る姿は何故か獲物を仕留めるハンターの雰囲気を漂わせていて、その度に私は何故か『喰われる…』と錯覚し、そして嬉しくなるのだ。

そんな私の想いなど知る由もなく、猫は私の右脇に腰を落ち着ける。そのまま眠るのか、僅かな時間の添い寝の後に寝室を去ってしまうのかは、神のみぞ知る。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?