ストップモーションについて

2023.11.1

 ハロウィンということで、童話的であり不穏な空気を纏ったストップモーションアニメの話をします。 個人的にじわじわとアツいジャンルです。


ティム・バートン

 ハロウィン×ストップモーションと言えば、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を手掛けたティム・バートン監督が印象深い気がします。幼少期からDVDを持っていた自分としては、一番身近なストップモーション映画作品と言っても過言ではないです。同監督作品の『フランケンウィニー』もストップモーション作品とのことですが、未鑑賞のため言及しません。観ます。
 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』今年のハロウィンに間に合わなかった方はぜひ、クリスマス前に観てください。サンディ・クローズが来てくれるかも……。

クレイアニメ

 前述の作品を知らなくても私たちの身近にストップモーション作品はあります。Eテレ、みていましたか?『ニャッキ!』『ジャム・ザ・ネイルハウス』『カペリート』『ロボットパルタ』に聞き覚えはありませんか?これらの作品もストップモーション作品です。自分は印象的に記憶していますし好きでした。
 人形やその他の素材をコマ撮りして、それらを連続して再生した時に動いているように見せる撮影技法がストップモーションです。魅力としては、その中で生じるぎこちなさや、造形・世界観の独創性が挙げられます。また個人的に、音響はほとんどが後付けになるため、効果音などがASMRのように際立って聞こえる作品が多いと感じています。

『PUI PUI モルカ―』

 あと、みんな知ってる大事な作品を忘れていましたね。『PUI PUI モルカー』これもストップモーションです。最初にこれを例に挙げればよかった。これまでの長い文読まなくていいです。説明がいっぺんに片付きました。

 ここから最近観たストップモーション作品について話します。

『オオカミの家』

 まず、今年8月に日本公開された『オオカミの家』。予告の時点で溢れ出る異質さと不気味さ。ストップモーションというだけでなくワンカット撮影だという驚異。『ミッドサマー』を手掛けたアリ・アスター監督が絶賛し、同時上映された短編『骨』の製作総指揮に名乗りを上げていることから、何とは言わないがお墨付きの映画です。
 限りなくアナログに作られた異世界を観てほしい。レイトショーで鑑賞後、ひとり夜道を歩いてほしい。オオカミが呼んでいるから。

 前述の『オオカミの家』に寄せられたアリ・アスター監督のコメントには、ヤン・シュヴァンクマイエルとクエイ兄弟という二人の映像作家の名前が挙げられている。二人ともストップモーション作品を手掛けている。

クエイ兄弟

 クエイ兄弟の作品は短編集がⅠⅡⅢとAmazonPrimeVideoで観ることができる。(2023.11.1 現在)
 荒廃したティム・バートンとでも言えばいいのか、作品全体に漂う不気味さは別格で、安全ピンやボタンなど馴染み深いもので作られたその世界がすぐ近く、例えば壁の内側などに存在したらと思うと背筋が凍る。説明が少ないため話の筋も理解し難く、不条理にさえみえる。この全く知らない感が気持ち良い。

ヤン・シュヴァンクマイエル

 ヤン・シュヴァンクマイエル監督作品は、クエイ兄弟作品よりはとっつきやすい。でも、それは決してみんなにオススメというわけではない。こっちもこっちで人を選ぶ。
 『オテサーネク』と『ファウスト』を観たけれど、話の筋はちゃんと理解して追うことができる。また、彼の作品は全編がストップモーションなのではなく、実写映画の要所要所でその技法が用いられているのが特徴だ。
 彼のストップモーションを二作品観て思ったのは、リアルで気持ちが悪い。ただでさえストップモーションで撮られて不気味さをもっている対象が、動きや細部のリアルさを付与されることによってより気持ち悪い異質なものとなっている。単純にキッショくて観るのやめようかとちょっと思った。白昼夢のような魅力を持った彼の作品、次は『アリス』を観ます。

『JUNK HEAD』

 最後に日本の作品の話もします。『JUNK HEAD』 アマプラで観れる、今すぐ。世界の完成度もストーリーのバランスも素晴らしい。
 そして何より作品の背景が何より自分に刺さった。この作品は監督である堀貴秀が、ほぼ一人で七年かけて制作した映画である。その姿は、作品内で生殖能力を失った人類である主人公が人類再生を目指して一人で旅立つ姿と重なる。旅路の果てに人類再生の鍵はあるのか、独力で世に放った作品はどう映るのか。
 そんな中、先日続編制作決定の報が出た。タイトルは、『JUNK WORLD』
 HEAD→WORLDになることで、監督一人の頭の中の世界がフェーズを新たに更に広がっていくようで期待が膨らむ。独特の世界観故に多少の不気味さはあれど、コメディターンも多くキャラクター造形も愛嬌たっぷりなので、今回挙げた作品のなかでは比較的観やすい作品ではあると思う。

 長くなりましたが、秋の夜長のお供にストップモーション作品を選んでみてはいかがでしょうか。 過ぎちゃったけど、Happy Halloween‼

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