神々のロックンロール

ほんとうのリストは可愛らしい少女脆い硝子で箱庭を築く

憂鬱

水面にひかりを落とす遊園地いつまでも炎えあがる劫火の
ぬぐえないほのかな疑念ゆるされることないさだめもあるのではなど

過言及

生命の時間は生命生命の値段のやすさ破綻した世界
のどを灼く海水のからさおたがいの潮の匂いを伏せるひとたち

分割

あかさびのふらここにそのやわらかな重みをあずけて海をみるひと
やすらぎはあすを知らぬもの嫌われる歌をうたえばぶさいくなとき

歌を書くひと

桃というこのうえもなく吝しみないドルチェなめぐみヴィーナスがそこに
みえていないしくみつくりにかこまれてその日かぎりの生きるこころみ

危機

月の火はもえひろがりゆくみずの炎地球をあついつめたさで占める
いり江にははれた日の船しろい帆がひらいた窓にありばいをきざむ

斜線の下

薔薇の花のための奴隷である者はひたすら待ってみずからをなくす
どくだみの小さな群生十字架の白い顔をあげ初夏明るむ墓地

こごえる

すこし知りほとんど知らぬ水深に私らのいまと未来はしずむ
夏至の方へ寄せゆくときののぼり坂憂き世はつぎの花時のあるか

おそれる

本能の折れるすぱいくのいずいま崩壊しゆくその蟻はきく
また私はあとにされるの人間が壊れてしまう家の寒風

音楽と夏

ささやかな笑いも音楽打ち寄せる波また波は歌うように笑う

失認

ちょこれいとの空箱に植えたたんぽぽをずっとみている蠢めく花を
黄金のしょこらみどりにひかる花きみがきみなのできみのないさだめ

泣きたくて爆笑してははかなさのほど何時間をいまというのか
なんどめのわかれだろうか過去の殻のなかへ沈みゆくかけがえないひと

銀色に泡だっている美ら海に神の復興そのアフロディテの

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