2021.5.5 Japan Jam参戦記
縦横無尽ツアーの年内遠征が一段落し、久しぶりに自宅で過ごす週末。
少しだけ時間が出来たので、縦横無尽ライブベスト盤を見た。
わずか3曲だけだったけど、今年の5月5日のJapan Jamの映像があり、あまりの感動に打ち震えたのでこの記憶を忘れてしまうのは勿体なさすぎると思って、いつものように自分のためにここに書きます。
(もう7か月位前の出来事を思い出しながら書いてるので、諸々事実と違ってたらご容赦下さい💦)
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実は参戦するにあたり、会社の同僚にも友達にも言えなかった。
まだワクチンも接種していないし、感染状況も落ち着いていなくて、世の中に得体のしれない不安が蔓延していたころ。
自分自身も少し不安だった。
とにかく考えうる限りの感染対策を取って参加しよう。
そう思っていた。
当日、ツイ友のTちゃんと途中の駅で合流した。
かれこれ半年以上楽しくお話させてもらっていたけど会うのは初めてなので、お互いの服装を教えあって無事会う事が出来た。
初めて会ったけどやはり全然初めて会う気はせず話は弾みまくり、でも周りの目があるのでなるべく小声で静かに話しながら電車に揺られて会場へ向かう。
男前な印象通りのTちゃん(女性です)、実際に会ってますます大好きになった。
蘇我駅で電車を降りると会場へ向かう人は、一人が多いことに気づく。
戦場に赴く兵士の様に覚悟を胸に秘めてる感じで、曇り空の下、みんな一人で寡黙に歩いていた。
会場についた時刻がちょうどお昼ごろだったので、まず昼食をとった。
(ここでTちゃんが肉食な事を知る。以後、私とTちゃんが会う時の食事は肉が中心となります(笑))
それから宮本さんが出演するスカイステージへ行った。
アイナ・ジ・エンドの声が好きな私は、スカイステージで始まるBiSHを見てみたかったのだ。
ステージフロントのエリアに入ろうとしたけど、出てくる人に対して入りたい人が多すぎて、入口付近の超過密状態の混雑でもみくちゃにされた挙句、結局入ることが出来ずに外で聴いた。
次はクリープハイプとUVERworld。宮本さんはこのステージのトリ。
前の二組は宮本さんとは明らかにファン層が違うから、宮本さんのステージの時にフロントエリアに入れるとは思う。
でも出来るだけ前で聴きたい。
出来るだけ前へ行くには、宮本さんのステージ前からフロントエリアに入っておいて少しづつ前に行かないと。
そう考えた私たちは、クリープハイプのステージ前に今度は違う入口から何とかフロントエリアに入ることに成功した。
BiSHのステージから小雨が降りだし、だんだん雨と風が強くなってきた。
そしてとても寒い。
持ってきたライトダウンをレインジャケットの下に着たけど、それでも寒かった。
ゴアテックスのレインジャケットだから中は大丈夫だったのだけど、袖口から雨が入ってきて濡れた。
普段の私なら、即帰る天候だった。
…どうしてもどうしても、ソロの宮本さんの歌を聴きたかった。
去年の野音に参戦出来たことは素晴らしい経験だったけど、ソロからファンになった人間としてはやはりソロの歌が聴きたかった。
申し込んでいた昨年末のCDJは中止になってしまって、その後ライブの機会はなかった。
正直に言って宮本さん目当てで来たので、クリープハイプもUVERworldも知らなかった。
私はもともとロック好きという訳ではないのだ。
でもやはりライブという場所は特別で、真剣に彼らの音楽を聴けば伝わってくるものがあった。
彼らは一様にコロナでライブが出来ない事へのやるせなさを語り、何もできない自分の非力さを嘆いていた。
声を出せない代わりに精一杯の拍手で彼らに声援を送り、飛び跳ねまくり拳を振り上げ彼らの音楽を体に浴びる。
UBERworldのステージが終わると、やはり大多数を占めていた若者が去っていき、フロントエリアの前方が空いた。
「行こう!」とTちゃんに声をかけ懸命に走ったけど、前から7列目が精一杯だった。でもど真ん中。
……やっと宮本さんの歌が聴ける。
様々なライブが中止になり、今日も直前まで本当に開催されるのか不安で仕方なかった。
でも、今日こそ。今日こそ宮本さんの歌が聴ける。
始まる前から胸がいっぱいだった。
宮本さんのステージが始まるまでの間、みな会話もなくただ雨に打たれて待っている。
ステージでは念入りにドラムのチェックをしていた。
雨は止まない。
宮本さんが雨で濡れてしまう…それだけが心配だった。
そして始まったステージ。
登場して開口一番、「エビバデー!おじさん嬉しくて気が狂いそうです!」と。
もうこの一言で泣いてしまった。
どれだけ人前で歌いたかったのか。どれだけ待ち焦がれていたのか。
この一言だけで宮本さんの気持ちがたくさんたくさん伝わってきた。
「ようこそ!」と言った後、「…へへっ…嬉しいです」と小さく呟き「宮本です」と。
うん、知ってる(笑)。
セトリは以下。
M1: 夜明けのうた
M2: 異邦人
M3: 悲しみの果て
M4: Do you remember?
M5 : ロマンス
M6 : P.S. I love you
M7 : sha・la・ la・ la
M8 : 冬の花
M9 : 昇る太陽
M10 : ハレルヤ
EN : 今宵の月のように
黒のロングジャケットに黒スキニー、黒シャツ。やや髭次。
ロックフェスだからもっとノリノリの曲で始まるのかと思ったらオープニングは「夜明けのうた」。
ノリノリでない曲でも、圧倒的な歌声に観客は初っ端から釘付けになる。
大粒の雨が舞台の上でキラキラ光り、まるで演出の様。
長い髪を風になびかせて歌う姿は神々しくさえあった。
元旦にこの曲をインスタで聴いた時の感動を思い出す。
宮本さんにとって会いたい”私の愛する人”って、ファンなんじゃないかな…。
宮本さんの歌う姿を見ながらそう思って聴いていたら、じんわりと涙が浮かんできた。
続く「異邦人」は狂気炸裂の雄叫び。初めて聴く人はびっくりしただろうな。雨でびしょびしょのステージに膝をついたり転げまわったりと、どんな状況であろうと一切手を抜かない。そんなところが胸を打つ。
「Do you remember ?」の前に「言いたいことがあったんです」と。
何事かと声を出さずにざわつく観客を前に、「お尻出してブー!」。
…観客固まる。
伝わらなかったと思ったのか、再度「お尻出してブー!」。
再度固まる観客を前に「大切な事なので2回言いました」と満足気。
からの「次は〇×▽★…Do you remember ?」と何故か切れながら曲紹介。
ジャケットを脱いで挑みかかるように観客を睨みつけるマジ顔がカッコ良かった。
「ロマンス」。何故か執拗にリズムに合わせて股間を指差し(かなり長い時間)。あれは何のアピールだったの…?
「P.S. I love you」、出だしで「悲しみと交差するとき」を何故か「かりそめの…」と歌ってしまい「ごめんなさい、歌詞間違えちゃった!」「失礼しました~!」と中断。
一旦客席に背を向けて天を仰ぐようにして一人で考える。
「例えば若き日の夢がぁ~………えぇ~」となかなか歌詞が出てこない。
一生懸命口パクで伝えようとするけど(きっとみんなしてたと思う)、届く訳もなくやきもき。
やっと歌詞を思い出して気を取り直し「新曲です」と歌いなおそうとすると、日本代表ドラムが光の速さすぎて慌てたのか「ああ~、かいしてるぜ~君を~」になる。
玉田さーん!!と心の中で突っ込み。
私にとっては宮本さんファンになったきっかけのこの曲、途中から嗚咽号泣。
「sha・la・la・la」、「新曲です」「気に入ってます」「どーんと生きていこうぜ!って歌です」と紹介。
この歌を聴くのを凄く楽しみにしてきた!
今の宮本さんそのものが投影されてる気がして、聴いてると泣けてくる。
どこまでも夢を追いかけてほしい、私たちどこまでもついていくから!
このライブで、♪夢はsha・la・la・la~で観客が手を上げて左右に振る現象が発生した。
観客全員の気持ちの表れだったと思う。
「ハレルヤ」の前に「必ず素敵な日がやってくるように、みんなに捧げます。幸多かれー!」と言ってくれた宮本さんにまたしても号泣。
たくさんのファンがライブに来られますように、という願いがこもっているように私には聞こえた。
声は出せなくても最高の盛り上がり。
観客全員が拳を振り上げジャンプしている。力いっぱいに拍手している。
一瞬ここがどこなのかを忘れた。
歌の持つ祝祭感に引っ張られてどこか最高にハッピーな場所へ連れて行ってもらった気分になった。まさにハレルヤな歌。
ハレルヤの後、拍手も待たずに即「では期待に応えてアンコールやります!」と宣言して「今宵の月のように」が始まる。
とにかく時間内に全て歌いきる。今すべきは歌う事。拍手なんていらない。
そういう覚悟を感じた。
声がどこまでも伸びて夜空に届きそうだった。
宮本さんと男前五人衆ががっちり握手してキラキラな笑顔を見せ、ステージからはけていく時に「気を付けて帰ってくれ!色々あれだから」と言った。
今回フェス開催という事で取材に来ていた会場外の報道陣を差していたと思われる。
他のアーティストがコロナでああだこうだ結構長い時間を割いて話してたのとは対照的に、宮本さんはこれだけ。
「俺は歌で伝えたから良いんだ」
宮本さんがそう言ってる気がした。
…うん、伝わったよ、宮本さん。
何も言わないあなたの歌が一番心にドーンと響いたよ。
いつの間にか雨がほとんど上がっていた。
宮本さんのステージが終わった後、山崎さんがステージに出てきて密を作らないように規制退場をお願いします、と呼びかけた。
それから「皆様の協力のおかげで最後まで無事に終えることが出来ました、ありがとうございました」と言った。
それを聞いた時、思わず泣いてしまった…。
ステージとステージの間にも必ず出てきて「安心安全なフェスは作れる。それを証明したい。そのためにモッシュやハイタッチ、声出しなどの行為は禁止です。協力お願いします」と何度も丁寧に呼びかけていた。
そして観客はみんなルールを厳密に守っていた。
侍のようにカッコ良かった。
1日1万人の観客じゃ、利益なんてないのだろう。
どんなに細心の注意を払って開催しても必ずフェスはたたかれる。
何かあった時の覚悟を持ったうえで、それでも音楽を絶やさないという強い意志での開催だろう。
そんな山崎さんの覚悟と熱意が伝わったのか、残っていた観客から山崎さんに対して拍手が起こった。
温かい拍手だった。
ちょっとびっくりしたような表情を見せて、それから山崎さんは優しい笑顔になって「気を付けてお帰り下さい」と言った。
退場する観客は自然とスタッフに向かって「ありがとうございました」と頭を下げて帰っていった。
…フェスを開催してくれてありがとう。
精一杯の気持ちだった。
Tちゃんと駅までの道を歩きながら「…良かったね」と話した。
他に感想が出てこない。
感動しすぎると、人間って言葉が出てこないものなんだ。
観客の前で宮本さんが久しぶりに歌えたこと。
その喜びを分かち合えたこと。
宮本さんの大きな愛を歌を通して受け取れたこと。
明日からまた頑張れる、そう思えたこと。
全部良かった。
夢の様な時間だった。
電車に乗り帰路につく。途中でTちゃんと別れた。
どこをどう帰って来たのか記憶にない。
翌日から、私は生まれ変わったように元気になった。
昨日ライブに行く前まで鬱々としてたのが噓のように。
久しぶりのライブで歌える喜びで爆発している宮本さんからもらった大きな大きな愛が、毎日を生きていくエネルギーに変換されていた。
コロナで世間は暗いムードだったけど、私は一人別世界にいたと言ってもいい。
あの場にいた人はみな同様な経験をしていると確信している。
音楽は不要不急なんかじゃない。心を守る大切なものだ。
…この特別なフェスに参加したことを一生忘れない。そう思った。
2週間が経過して、感染者は一人も出なかったと報告があった。
私は会社のデスクで密かにガッツポーズをした。
<追記>
後日、TLで見つけた画像があって。
フェスの会場にメッセージを書き込むコーナーみたいなのがあって、その画像らしいのですが(私は現地では残念ながら気づきませんでした)。
真ん中に大きく「宮本さん大好き」と書いてあって、周りに「俺も」「おれも」「あっしも」「私も」「me too」「わたしも」「わたも」「ミヤジ大好き!」「また会はう!」「私もじゃす」「最高!」「宮本さん好きー!!」etc...の文字。
この画像見るたびに温かい気持ちになります。
私も次回はここに「宮本さん大好きー!!」と愛を叫びたい。