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ツアー参戦旅日記@山口<15回目>

とうとうこの日が来た。
縦横無尽ツアー、ファイナル。
去年10月に始まったこのツアー、香川に初参戦した時はファイナルなんて想像もできない遠い遠い未来のことだと思っていたのに。

6/2木曜日、東京駅発7時半ののぞみで徳山駅へ向かう。
車窓から見る空は今日も快晴!
 神に祝福されている宮本さんのファイナルにふさわしい雲ひとつない澄み切った青空。

11時45分、定刻に徳山駅到着。
降りてきた乗客の女性ほとんどがエビバデさんと分かる出で立ち。
駅からランチ場所へ直行して、MっちとMIちゃんと合流。
3人で「とうとうファイナルだね~」「私たち参戦頑張った!!」とお互いの健闘をほめたたえ、山口名物の瓦そばなるもの(とお刺身)を食べてお腹いっぱい。

その後MIちゃんと別れて、Mっちと駅の「ぞうさんのさんぽみち」で記念撮影し海まで散歩したりお土産を見たりしてから、バスで会場へ向かい14時頃到着。

…暑かった。本当に、暑かった。
日傘さしてたのに熱中症になるかと思うくらい暑くて、水を大量補給。
15時半過ぎにやっとキーホルダーをゲットしてレジが終わると、会場から「Just do it」の歌声が!!
Mっちと二人、「今日歌うのかな?」「代々木かな?」とワクワク😍
歌声はリハとは思えぬ大迫力の本気で、でもやけっぱちと言うかべらんめえ調な感じで、なんか宮本さんらしい、と思って笑ってしまった。

グッズ売り場付近に大きな機材箱が複数置いてあって、それに「宮本」、「宮本浩次」と書いてあったので、何か分からないままとりあえずスマホで撮影。
結構大きかったけど、何を入れる箱かなぁ?

会場を出て一旦近くのレストランへ避難し、涼んで水分補給してから17時半過ぎに再び会場へ。

今日の座席は2階席だったのでやや凹んでたんだけど、1番前の列でセンターブロック通路側で、視界を遮るものがなくてすごく見やすい!!
会場が上手くできてるのか距離もとっても近く感じる。
1階の13列目位の感じで、肉眼でも表情が分かる。

…よし、今日は全てを見届けるぞ。
思う存分拍手できるように、指輪と腕時計をしまった。
何一つ見落とさない。
宮本さんとメンバーの一挙手一投足、歌声、表情。
全てを見届ける。
そう決意した。
(最後の方はメモをほとんど取らなかったので、時系列とか話した内容が微妙に違ってるかもしれません。スミマセン。
そしてファイナルに相応しく長文です。センチメンタルの塊です。スミマセン💦)

ブラームスがフェイドアウトして暗転すると、今回のツアーで体験したことの無い物凄い拍手。
観客の熱い期待が伝わってくる。
…ファイナルなんだな、本当に、と実感。

光の世界、物凄い気合いは伝わってくるけど、一音一音噛み締めるように丁寧に。
髪がツヤッツヤで、2階席から見ていた私には天使の輪が見えた。
足元の光が宮本さんを取り囲んで周り天に昇っていく様で荘厳。

夜明けのうた、ライトが少し当たりやっと顔が見える。
早くも感極まっていたのか、ちょっと鼻声。
声が物凄く伸びてる。
スクリーンに映し出される夜が開けていく様。
何度も見てるのに感動で動けなくなる。

今日はツル次。若次。

Stranger、ズラし気味に歌う感じに思わずエレカシ宮本かと思ってしまった。
ここからスタンディング。
フェイク連発で文句無しにカッコイイ!
ライティング最高!
「オレが生きてる証」をすっごく力込めて2回歌う。

…おかしいな。
異邦人まで来て、そう思った。
客席をちっとも見ない。観客側に目をやってるかと思えば、実は宙を見据えてあらぬところを見ていたり。
後ろを向いたりうつむいて髪の毛で顔が見えなかったり。
動きも宮本さんにしては極端に少ない。
山形参戦で、動きをセーブしてスタミナ切れにならないようにして、そのパワーを歌に振り向けているのは分かった。
前回参戦した福井も動きは少なかった。
でも今日は福井にもまして動きが少ない。

…きっとお客さんの嬉しそうな顔見ると泣いちゃうんだろうな。
泣いたらちゃんと歌えなくなっちゃうから、プロとして最高の歌を届けるのが仕事だから。
だから極力観客側を見ないようにしてるんだな。
そう思った。

低め位置のスタンドに無理やり顔の位置合わせて歌ってるのがかわゆ♥となったけど、スクリーンに崩壊していく世界が映し出された時、目を閉じて天を仰ぎみる横顔が女神のように美しかった。

キミに会いたい、冒頭低く小さく「…踊れ」。
ここで「徳山ベイベー!!」と。
ずらし気味に歌い、ネクタイ緩める仕草がカッコイイ!
曲中で「ようこそー!」「最後まで存分に思い切り楽しんでくれ!」「オレたちも全力で歌って演奏するぜ!」とのご挨拶に会場中大拍手。

化粧、「素晴らしい名曲、聴いてください」と。
やはり客席を見ない。
うつむきがちに歌い完全に歌の世界に没頭してる。
伝わってくる圧倒的な切なさ悲しさに、ファイナルの会場にいることを忘れた。 
胸が痛くて、苦しい。
曲の終わり、私の周りから何人ものすすり泣く声が聞こえた。

春なのに、声がすごく出てる。
何度も何度も顔にかかった髪の毛をかきあげる。
汗で顔や首元がキラキラと光っている。
…瞳もキラキラと輝いていて、私には涙に見えた。

shining、後ろばかり向いて歌ってた。
…泣くのをこらえてるの?
後ろ姿を、長くなった髪の毛を見ていたら、代わりに私の目から涙が溢れだした。
今日ほどこの歌の詩が心に刺さったことはなかった。
”shining 今が俺の目指した場所 そして俺の始まりの場所
俺が俺らしく生きるために 闘いの日々は続く”

…目指した場所に、今立ってるんだよね?
そうであったら、それ以上に幸せなことはない。
…宮本さんも泣いているように見えた。

宮本さんがステージからはけてからの、ドラム・ベース・ギター・KB、みんなヤバいくらいにカッコいい。特に日本代表、最高!!!

お色直しして登場の獣、今までよりは動きがあるけどやはり踊りは控えめ。左右の花道には行かないけど、会場中歌だけでノリノリ!!
相変わらず客席をあまり見ない。歌は後ろにずらし気味でカッコいい!
この独特のグルーブ感と、正確無比な演奏が何故か見事に調和して、オーケストラみたいな迫力!!!

続くロマンスでは、花道プレイはなし。
歌もうつむきながらが多い。これまでのライブでは連発だったジャンプも少な目。
その分、声はすごく良く出てた。

冬の花。
相変わらず客席を見ず、完全に歌の世界に没頭してるかのよう。
高音めちゃくちゃ出てる。
天井から降り注ぐ大量の赤い花と美しいライティング、これも見納め。
歌の終わりに胸を押さえて膝をついてしまったとき、あまりにも儚く見えて倒れてしまうかと思った。
”わたしが負けるわけがない”
そう歌って天を見上げる横顔、瞳がキラキラと輝いて美しかった。

悲しみの果て、「君に捧げる。聴いてくれ」。
そう言ってやっと客席側をはっきり見てくれた。
「行くぜ!」「山口ベイベー!」
嬉しくて、いつにも増して力を込めて、曲に合わせて拳を振り上げる。
何かを振り払うかのように、曲終わりの方で宙に向かって一発蹴り。

sha・la・la・la、「生きてるんだから仕方ねぇ」「出かけようぜ」「なんでも良いぜ!」。
曲途中で、床に落ちてた赤い花びらを大量に拾い顔にくっつける。
おでこの真ん中と左上に2枚、しばらくハートがくっついてた。
会場中のワイパーがシンクロして美しい。
宮本さん、見えてる?
去年のJapan Jamで始まったこのワイパー、声を出せないライブでは一体感を味わえ応援の気持ちを送れる数少ない術だったと今更気づく。

"粋で 洒落てて 金持ちで"
”いかした 大人になりたいってよ”
の歌詞にものすごく力入ってた。

…なんだか自分自身に歌いかけてるみたいだな。
この曲を聴いて、初めてそう思った。
…とっくになってるよ、いかした大人に。
でも、どこまでも夢を追いかけるんだよね。
だったら私は、どこまでもついていくからね!
泣きながら、愛しいその姿に一生懸命腕を振った。

浮世、オープニングのドラムが凄い。
ここ最近の和太鼓風アレンジとは今回はまた違ったけど、とにかく凄い。
心臓にずしずし響く。
(語彙も文才も音楽知識もないためちゃんと表現できなくてゴメンね、トム!!!)
曲中間あたりでシャツの前を破った(ように見えた。乱暴に開けただけかも?)。
気合とパワーと地の底から響くような声が凄くて、それが更にこの曲の迫力を増している。
それにもまして、凄いのが宮本さんの汗!!
シャツの背中、汗が絶対滴っている。
バケツの水をぶっかけられたなんて表現では済まない、シャツのままプールで泳いでそのままあがってきたみたいなハンパない汗の量。
”本当のお前がそこに居る”で指さしを頂いた(と思う)。
最後の”光あれ!”をものすごく力を込めてはっきり歌い、マイクを床に置いて退場。

宮本さんが退場して数秒で会場の拍手がはじまった。
こんな間髪おかずに拍手が始まったライブは今までで初めて。
…宮本さん、この拍手を楽屋でどんな思いで聞いてるのかな…。

passion、ニコニコで登場。
ジャンプはセーブし、代わりに声量マックス。高音も完璧。
"It's my life !!"を尻上がりにシャウト。

ガスト、JK脱いで。
移動幅やジャンプは少な目だけど、ヘドバン凄かった💦
目玉ひんむいて、これぞ宮本という感じで歌ってる。
こうでなくっちゃ!!と何故か少し安心。
「胸を張って生きていこうぜ」
「山口ベイベー!」「周南ベイベー!」
会場中の拳の振り上げで終わるラストが圧巻。

風に吹かれて、後ろ向きで歌ったり、下向いて長い髪が顔にかかったまま歌ったり。
一生懸命気持ちを立て直しつつ、なんとか泣かずにこらえて歌おうとしてるかのよう。
今日も宮本さん自身のワイパーはなし。
目を閉じたまま、頭と腰を小さく曲に合わせて振っていた。

今宵、でアコギを持って。
「ありがとう!!」「素晴らしい盛り上がり!」「みんないいノリしてる!」と嬉しそうに会場を見渡して。
この曲は明るい顔で歌い切り「輝こうぜ、もっともっと、エビバデー!」「今も輝いてるぜー!!」。
スクリーンの月と宮本さんがとっても良く似合って、最後の言葉に涙。

あなたのやさしさを、「ちょっと古い」「今のみんなにきいてほしい曲」と紹介。
後半始まって5曲目、既に背中は汗でびっしょり。
…大好きなアルバムに入ってる大好きな曲。
ソロライブで歌ってくれると思ってなくて、去年のバースデーライブで初めて聴いた時は前奏で飛び上がって喜んだっけ。
今日も嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねまくり。
曲間、「今日が最後のライブなんです!!」「ようこそー!」
久しぶりに左右カニ歩きを目撃して、これも嬉しかった!

メンバー紹介は、いつもより一人一人丁寧に。

名越さん、「出会いはそう、〇×▽★…(メモ判読不可💦)」
宮本さんがランダムに発するフレーズを即興でギターで再現。
…え?何でそんなことできるの??
二人だけの世界に入ってた即興セッション、名越さんがとても優しい笑顔で、そしてとても楽しそうで嬉しそうだった…(涙)。

日本代表トム、「びっくりしたぜ」「素晴らしい反射神経、感性」「大好きです!」
スティックを天高く放り投げ、両手でダイナミックにドラミング!
力強くて最高にカッコいい!!
そりゃあ、宮本さんじゃなくても大好きになるよね❤
それから華麗なスティック回しを披露してからの再度のソロ。
何度聞いても重量感があってハートにびしびし伝わってくる!!

キタダさん、「クールに見えて熱い!」「魔術師!」「(バンドの)要!」。
「キタダ キタダ キタダ キタダ、マキーーー!!」
今日も後ろでひとまとめにしたヘアスタイルが超絶カッコいい!
宮本さん、ライブ中にキタダさんの肩とかに手をかけに行く事多かったよね。
どこかで精神安定剤になってたのかな。
名越さん同様、宮本さんに向けられる優しくて温かい笑顔に、また涙。

コバタケさん、「プロデューサー!」「頼りにしてる!」「司令塔!」
ソロでは天を仰ぎながらジャジーで崇高で美しいメロディーを奏で、さすがの腕前に会場から大拍手。
ちょうど20年前の5月に発表された"Life"。
コバタケさんのアドバイスで生まれたこの曲をこうやってツアーでバンドメンバーの紹介に使って。
素晴らしいツアーで歌うアルバムをプロデュースして。
宮本さんからの絶大な信頼を得てこんなに素晴らしいツアーが出来て。
しかも60代で48回公演の全国ツアー。
コバタケさんは、今どんな思いなのかなぁ。
…宮本さんを歌に専念させてくれて、ありがとうございました。
心の底から、そう思った。

そしてそしてそして、我らがボーカル、宮本浩次!!
脚を開いて腰を落としオデコをちょんちょんと指差し、メンバー紹介よりワントーン低い声で「宮本です」と。
赤いスクリーンに"HIROJI MIYAMOTO"と映し出された白い文字が涙でかすむ。
…ああ、最後だ。本当に最後だ。
「山口ベイベー!」「愛してるぜー!」と投げキッス。

あんなにすべてを見届けると誓ったのに、この辺りから周りが目に入らなくなった。
華やかなライティングもスクリーンもバンドメンバーも見えない。
ステージ上の宮本さんしか、私の目には映らなくなっていた。

ニューアルバムからの、私の大好きな3曲が怒涛の勢いで続く。

この道の先で、一音一音大切に歌ってる。
歌をきちんと届けたいという宮本さんの思いの通りに、高音に伸びがあって余裕で聞いてて最高に気持ちいい!!
後ろをむくたび、背中のあまりの汗にびっくりする。
ちょっと坂を昇るような小走りなポーズも見納め。
瞳の奥がキラキラと輝いて、今にも溢れだしそう。
曲終わりにしばらく床にうずくまっていた。

十六夜の月、冒頭「出かけようぜ、一緒に…」と。
喉が詰まってしまっていつもより言葉少なになってしまったかのよう。
歌いながら何度も何度も後ろを向いて、赤いツアータオルでゴシゴシと顔を拭く。
歌が乱れることはなかったけど…泣いてたのかな…。
”もう二度と戻らぬ遠い日の物語”
人生の折り返し地点を過ぎた今だからこそわかる曲の切なさと、ファイナルの寂しさで、胸がきゅうっとなる。

Rainー愛だけを信じて。
恒例の玉田鬼カウントもこれでラスト。
いつも思わず笑っちゃってたけど、今日はそれさえ愛おしい。
宮本さんは何度も何度も後ろや下を向いて、観客の方を振り返っては前髪をかきあげる。
降り注ぐ眩しいきらびやかなライティングとは裏腹に、その表情は何事かを強く決意しているかのよう。
ただでさえ難しいこの曲を、さらに後ろにずらし気味にして見事に歌い切り、自分をそっと抱きしめる。
いつもはノリノリのこの曲だけど、気付いたら私は完全に動きを止めて、胸の前で手を組んでじっとステージを見つめ歌を聴いていた。

PS. I Love you。
声が少し掠れている。

”愛って何だか分かった日が きっと新たな誕生日”

最初聴いた時は意味が分からなったこの歌詞を、格別な思いで聴いていた。

…宮本さん、私ね、宮本さんのファンになって本当に生まれ変わったと思ったんだよ。
50歳になって、もう楽しい事もときめくことも何一つない、このまま老いて死に行くだけだと思っていたのに。
こんなに楽しい毎日が待っているなんて。
こんなに誰かを大切に思うなんて。
2年前の私には、逆立ちしたって想像すらできない未来だったよ。

…出会ってくれて、本当にありがとう。
涙がぽろり、と頬をつたった。

ラストで”I love you, you, you, you !!!"と会場中を指差し、両手を思いっきり天に伸ばして持てるあらん限りの愛を会場中に振りまくと、大拍手にこたえるかのように小さくうなずいて「…ありがとう」と呟く。
それから静かにマイクを床においてステージから去っていった。

拍手は鳴りやまないまま、アンコールを熱望する拍手へと形を変えた。
今まで参戦した中で一番の熱量。
数分後に宮本さんが登場すると、更に大きくなる拍手。
今日は黒JK、白のオリンポスT、黒スキニーでにっこにこで登場。

今日はファイナルだけあっていつもより饒舌。
「本当に幸せです。こんなに温かい雰囲気でファイナルを迎えられてありがたい」「ありがとうございます」

そして改めて一人一人メンバー紹介。
コバタケさんに「歌に集中させてもらって、本当にありがたかった。」と。
コバタケさんは「冬の花で久しぶりにやって3年。アルバム3枚作って。ぼく、このツアー、頼まれてもないのに立候補したの」とまた自ら志願したことをアピール。
47都道府県ツアーは大御所のコバタケさんにとってさえ、大きな意味があってチャレンジだったんだろうなぁ…。

名越さんを「椎名さんの時に知って、絶対一緒にやりたいと思った」と紹介。と、突然「つまんないですか、これ?」と会場に問いかける。
観客全員笑いながら(声を出さずに)首を横に振ったのを見て、続ける。

玉田さん、「最初に知った時、びっくりした。コバタケさんの紹介でお願いした」と。
「何か一言ありますか?」と宮本さんにふられると日本代表は爽やかな声で(日本代表は声もいい!!)「夢の様でした。こんな凄いメンバーとやれるなんて。楽しいツアーでした」と感動の面持ち。

ここで宮本さん、突然名越さんを振りかえり「名越さんも一言」と。
名越さん、「感無量です」と、本当に一言。
…さすがです。

キタダさんに「よく会いますよね」と語りかけると、キタダさんは「完走しましたね」と優しい笑顔。
宮本さんを見守るかのようなその優しい笑顔に、いつも幸せをもらってた。
宮本さん、キタダさんの肩によく手をかけにいってたもん、きっと宮本さんも、そう思ってたはず。
キタダさん、ありがとうございました!!

…あー、もうなんて最高なメンバーなんだ!!!
縦横無尽バンド、forever !!!

こんな感じでいつもより少しだけトークが長かったからか、前列にいた子供がちょっと騒いだかなんかすると、すかさず宮本さんが「大丈夫ですか?」「そろそろ終わるんで」と声をかける。
相変わらず客席をよく見てる!!

「ステキな雰囲気、ありがとう!!」「この曲からスタートしました。自分のものに出来たかなと思ってます」と言って始まった木綿のハンカチーフ。

…また後ろ向いてる。
歌が始まる直前まで後ろを向いたままだった。

今日も最初に起きてた手拍子は途中で止んで、会場中が美しいピアノの旋律と天に届きそうな伸びやかな歌声に聴き入る。
(蛇足ながら今日も例の箇所の歌詞は正しく歌われたことを報告致します)
うん、宮本さんの曲になってる!!
コバタケさんが、そっと涙をぬぐっていた。
私も感無量。

そして、本当に本当に最後の曲、ハレルヤ。
「ステキな時がやってきますように」「ハレルヤーーー!!!」

メモはもう取ってなかった。宮本さんだけを見ていた。
うるんだ瞳がライトを反射して更にキラキラと輝いている。
その瞳に目が吸い寄せられて、魔法にかかったようにとにかく思いきりジャンプし続けた。拳を振り上げた。

何も考えられなかった。
夢を追いかけ続ける人。ハレルヤと自分を鼓舞して前へ進み続ける人。

ステージには、宮本浩次がいた。
エレカシとか、ソロとか関係ない。
私の好きになった、宮本浩次その人が。

涙が溢れだして、宮本さんの姿が見えなくなる。

そして、歌が終わった。
肩で息をしている宮本さんの顔が、笑顔に変わる。
強烈なオーラが放たれてて、直視できないくらい眩しかった。

いつものようにメンバー全員一人一人と握手してからのハグ。
ハグの時間が今までより長めで、まるで別れを惜しむみたいでキュンとなった。
それからステージ中央で全員手をつないで高く振り上げた時。

宮本さんは1ミリも泣いてなかった。
今まで見た中でナンバーワンの、最高にピッカピカに輝く少年の笑顔。
本当に本当に本当に心の底から嬉しそうだった。

…ああ、やりきったんだね。全部出しきったんだ。
届けたかったものを、全て届けたんだね。

最高に輝く笑顔が、それを物語っていた。

コバタケさん、顔が真っ赤になってる。泣いてる。
宮本さんはそれに気づくと、最高の笑顔のままコバタケさんの手をぎゅっと握りしめる。それから一緒にステージからはけていった。
その姿を見て、また涙。
今日はお尻出してブーは無し。

…良かった。ファイナルを見届けられて良かった。
ただただ、そう思った。
そのあとのことは、よく覚えてない。
気付けばホテルの部屋で呆然としていた。


翌朝、徳山駅から電車に乗り岩国へ向かう。
岩国城と錦帯橋を見て岩国空港から飛行機で帰る予定だった。
晴天。

…宮本さん、昨日は泣かなかったな。
ローカル電車に揺られて穏やかな青い瀬戸内海をぼーっと見ていたら、ふとそう思った。

昨夜見たインスタを思い出す。
感謝を伝えるかのように、最後の弾き語りは「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」。
そして「…昔から舞台の上に立つのが好きでね」としみじみ口にした言葉。

そのセリフが脳内再生されたとたん、宮本さんと一緒に駆け抜けた8か月の思い出が全て突然鮮やかにフラッシュバックした。

初参戦高松でのニアミス事件。
宮本さんトークで盛り上がり笑い転げた金沢のお寿司屋さんの夜。
仙台で聴いた青葉城恋唄。
札幌のグッズ待機列で出会ったエビバデさん、素敵なマダム。
紅白出演決定で熱かった博多。静岡の富士山とガテン系男子。
行く先々でめぐったお城。城跡。
国際フォーラムで私の2列前にいたエレカシの三人。
復活した宮本さんを見て号泣した山形。
ライブ後に見た満開の夜桜とピンクムーン。
…それから、それから…。

好きを追いかけて、こんなにはるか遠くまで来た50年前の歌好きな少年。
その少年が大好きでただ応援したくて、駆け抜けた私の8か月。

… 青春だった。
10代の頃、勉強ばかりして青春時代がほぼなかった私。
そんな私に、50代にはいって神様から与えられた、青春みたいに楽しくて幸せな時間。
本当に本当に、ありがとう。
感謝の気持ちが溢れだして、涙が止まらなくなる。

もう宮本さんは、次を見ている。
まだまだ追いかけていくよ。これからも、ずっと。
この先も、宮本さんが見せてくれる新しい景色を一緒に見たいから。

金曜日午前中の人影もまばらな山陽本線で、人目を気にせず思う存分泣きながら、そう誓った。

車窓越しに、祝福するかのような雲一つない青空がどこまでもどこまでも広がっていた。

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