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平家物語

「尼ぜ、われをばいづちへ具して行かむとするぞ」「浪の下にも都のさぶらふぞ」

「平家物語」の物語世界へ誘い込む一節は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・・。ですが上記は巻十一のくだり。

「平家物語」巻一~巻十二、そして灌頂巻(別巻)。古来数ある戦争の中で、源平合戦は長く語り継がれてきました。「平成狸合戦ぽんぽこ」にも長命狸の那須与一の回想シーンが出てきます。那須与一が扇を射るシーン。原作には続きがあります。那須与一の美技に感動した平家の男が白柄の長刀をもって舟の上で舞い始める。那須与一は伊勢三郎義盛にけしかけられて、この男の首をも射抜いた。美技に寄せた人々の思いが壊され、あたり一面静まり返る。いくさのむごたらしさを語る一節です。原作を読み込んでこそ、伝わってくるものがあります。

巻十一。源義経の指揮する源氏に壇ノ浦に追い詰められた平氏一門。ついに二位の尼(平清盛の妻)は安徳天皇を抱き、三種の神器を身に着け舟端に立ちます。安徳天皇はまだ八歳。

「おばあ様、僕はこれからどうなるの?どこへいくの?」「波の下にも都はございます。みんな一緒に参りましょう。」

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