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デュエプレ・デッキ回顧録 No.2【赤青剣誠】

どうも。くーぼー(@Soranaki00)です。

つい昨年、TCGの方で【赤白サムライ】が環境を席巻していたそうです。

『サムライが環境バリバリで大活躍していた』なんてDMおじいちゃんにとっては感涙ものですが、実際には元あるサムライのカードで使われているのは《ザンゲキマッハアーマー》くらいで、4コストになった《武者》オリカみたいなクロスギアを振り回して盤面をズタズタにしながら圧倒的展開力で踏み潰してくるらしいです。……何言ってんの?

しかし実は、そんなTCGに先駆けて、デュエプレでも『《武者》の世・サムライの世』と呼べるような時代がありました。

今回はそんな時代の一翼を担った【赤青剣誠】について振り返っていきましょう。


・その一閃、二の太刀要らず

という訳で、さっそくリストを見ていきましょう。

【赤青剣誠】というデッキは、主に《剣誠》がリリースされた2021年10月(10弾EX)から2022年3月(13弾発売)まで活躍したデッキで、その中でも1弾ごとに新カードの追加によってリストが更新され、前期(10弾EX)中期(11弾)後期(スーパーデッキ2021発売後)と構築が分かれているのですが、ここに挙げられているリストは後期、すなわち完全体となった【赤青剣誠】です。

デッキの動きはシンプル。

切り札である《剣誠》をG・ゼロで着地させる為に盤面にサムライを並べ、《剣誠》に《ザンゲキ》を無料クロスさせる事でサムライ達を一気に走らせる。

ただこれだけです。

とはいえ、『盤面にサムライ5枚』という条件は一見難しそうに見えます。いくら《ザンゲキ》が軽減能力を持っているとはいえ、《剣誠》《ザンゲキ》を素引きしないとコンボまで行けないし、それだけの枚数を盤面に吐き出せば当然リソースがカツカツになる訳ですからね。

それに、そこまでして出てくるのが攻撃時6000火力のWブレイカー1体。

決して弱くはないですが、切り札というには力不足に見えるのも確か。実際にリリース前の《剣誠》の評価は芳しくなかったと記憶しています。我々は既に《アポロ》や《ツヴァイ》を経験していたので、フィニッシャーに対する目が肥えていたのもありますね。

しかし、そこは流石のデュエプレ開発班。
身も蓋もない解決方法を用意していました。

コンボに《ザンゲキ》と《剣誠》が必要なら、そいつらを持ってくるクリーチャーがいればいいじゃん。

そんな考え方でデザインされたとしか思えないこれらのサーチ獣は、単にキーカード8枚体制を実現するだけではなく、後続のサムライをサーチする事で実質サムライ2枚分になる、見た目以上に凶悪な存在でした。

特に《モノノフ・ルピア》、このカードのちにナーフされる事からも分かると思うんですけど本当にイカれてて、こいつ出すだけで1(モノノフ)+2(剣誠)打点に1焼却が付いてくるので実質4打点分になるんですよね。

ワンショットをする上で、この1焼却というのがどれだけ相手のトリガーの要求値を上げるかは言うまでもありません。

これらのサーチ鳥に加えて、当時では脅威の2コストキャントリップ獣(と言いつつ実際はそこそこ外す)《トモエ》や、アクセル能力により攻撃時1ドローを行える《コテガエシ》、《コテガエシ》と組み合わせて2ドローできる最軽量クロスギアの《メモリー・アクセラー》と、リソース能力に秀でた小型サムライがプールに数多く存在していたのもこのデッキの完成度を高める事に一役買っていました。

しかも、これらの小型サムライは《ザンゲキ》によって全員SA化する訳です。

仮に《剣誠》の攻撃を受け止め切ったとしても、盤面に吐いたG・0用のサムライは必ず吐いた分のリソースを取り返している為、今度は手札・トップのSAサムライ攻勢に対応する事が出来なくなる。

トリガーは《パーフィン》だけ(もしくはtスパーク)と、防御力こそ心許ないですが、平均5ターン目のワンショットや殴りながらのリソース力といった前のめりに働くステータスはカンスト気味

甘ったれた覚悟は要らない。武士道とは死ぬ事と見つけたり。
そういう潔いデッキと言えるでしょう。

・Tier1.5の番人

で、実際にこの【赤青剣誠】がメタゲーム上でどういう立ち位置だったかというと……

Tier1.5の番人。

一言で言うとそうなるでしょうか。

いや、デッキパワーとしてはもちろん頭抜けた所がありました。
5ターンワンショットに《モノノフ》複数体による盾焼却プラン、更にリソースゲームに持ち込まれても《メモリーアクセラー》や《コテガエシ》のドローで捲っていくパワーがある……
並の環境ならTier1と言って差し支えないはず。

ただ、この環境……

【NEX】と【デイガナイト】のいる環境でした。

世間的には【NEX】【デイガナイト】【剣誠】を指して12弾環境の3強と呼ぶ向きもありますが、実際には上記2つのデッキが突出していて、【剣誠】はこれらの丁度少し下、Tier1.5に位置していたと見るのが妥当だと思っています。

というのも、【剣誠】は再現性の高いワンショット・リソース・盾焼却といった前のめりな強みがありますが、先述した通り受けの弱さが目立つ事、加えてパワーラインの低さと盤面維持の重要性、そして《ザンゲキ》への依存度など、明確な弱点もまた数多く存在していました。

が、【NEX】と【デイガナイト】にはそういった分かりやすい弱点がなく、その点において【剣誠】に水を開けていたように思います。

そもそもの話、同時期の【キリコ】なんかもそうですが、【NEX】が普通に横並べして圧殺してきたりするのがもうキツいし、なんならこれらのデッキが活躍した12弾環境は(【NEX】によるスパーク押し付けの影響もありますが)稀に見る高速環境。

【剣誠】の5キルや【キリコ】の4キルも相当無理をして速度を出していましたが、それでも複数枚が絡む必要のあるコンボデッキには少々厳しい環境でした。と言っても、これらのデッキも他のデッキとのパワーが隔絶していたので、【NEX】【デイガナイト】のTier1郡に挑戦する前にまず【剣誠】【キリコ】を乗り越えられる事を要求される過酷な事態に陥っていたのですが。

その結果、13弾が発売される直前になり、【NEX】のリソースと打点形成の大部分を担っていた《ブレイブ・ルピア》がナーフ。
それに追随して、【剣誠】からは《モノノフ・ルピア》、【キリコ】からは《薔薇の使者》と、いずれもゲームの高速化に影響を及ぼしていたカードたちがナーフされる事に。

やはりと言うべきか、これによって13弾環境は比較的低速……あるいはカードパワー低めの環境になりました。
12弾では全くと言っていい程活躍できなかった【Bロマ】が(設計図型の開拓があったとはいえ)なし崩し的にTier1に浮上してきた事からも、12弾環境の苛烈さが分かる事でしょう。《モノノフ》というデッキの核とストロングポイントを奪われた事で必然的に【剣誠】もメタ外へ消えていきました。

・おわりに


 【赤青剣誠】というデッキ、【NEX】というデュエプレ屈指の怪物デッキと同時期に全盛期を迎えた不運はありましたが、それでもなおそのワンショットの爽快感の虜になったユーザーは多かったんじゃないかと思います。というか、自分もその1人でした。

デッキのキーカードである《剣誠》も《ザンゲキ》も実質8枚入っていて再現性激高、それらが無くてもリソースを盾にしたビートダウンが仕掛けられる。

ビートダウンで脳筋プレイするのが大好きな私のような人種にとってはまさにストレスフリー、大好物のデッキでしたね。

先週発売のプレイスクロニクルパックでも【サムライ】はリバイバルテーマに選ばれ、《紫電武者》を切り札とした【赤白サムライ】は当時の【剣誠】の面影を感じさせる所が多分にあります。

この記事を読んで当時の【剣誠】に興味を持った方は、クロニクルパックによって今風に進化した【サムライ】を組んで【剣誠】に思いを馳せてみるのも一興かもしれません。

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