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水曜、夜のメメント・モリ 第十二回

今週のテーマ:「ゆく年くる年、向かう人来たる人」


年末、忘年会ムードですね。

僕は、毎年情報の更新量が多いので、この1年で何が起こったのかよくわかっていません。

ただ、それでも出会った人や自分にとって大事な瞬間を忘れたくないから、振り返りの時間は取るようにはしていて。

今年初めて知り合った人や彼ら彼女らの近況について、ここに記しておきます。

・瀬戸内国際芸術祭でお話しさせていただいた文筆家の彼女は、美しい人だった。ルポルタージュと物語を組み合わせた文章を書いたその人は、物腰柔らかだけれど少し雑で乱暴な言葉を織り交ぜて話すから、なんだかおかしかったことを覚えている。今後運が良ければ、またお会いできるかもしれないし、できないかもしれない。

・ほんの少しだけ一緒に働かせて頂いたAさんは、チャキチャキした方だ。とにかく仕事がテキパキしていて、それでいて大胆。かと思えば、愛嬌もあるから、「これは仕事ができる人だな」と納得した。一緒に働けて良かったと思えた人は、後にも先にもこの人だけになるかもしれない。ただ、勤務初日にザっと業務内容を教えた後にワンオペで事にあたらされるのは、流石に心細かった。

・僕は文章で負けたと思ったことがない。が、唯一「これは負けた」と思った相手がいる。詩の時間にいた西成(「西成」は敬愛を込めて釜ヶ崎と読んで欲しい)のおっちゃんは、文章が上手い下手関係なく、素直だった。表現するために言葉を飾るでもなく、するっと出てきたことを置いているに過ぎなかった。ただ、詩はそれだけでよかった。きっと、文章を書く上でこの事は忘れないと思う。

・東京生活のほとんどを過ごしたゲストハウスで出会った彼女と彼がゲストハウスのスタッフを辞めた。ゲストハウスは誰かが来て、誰かが旅立つところ。分かっていた別れに驚きはなく、新しい場所へ行く2人に「またね」はちゃんと言えたから満足である。彼女はネパールへ旅に行ったし、彼は屋久島へインターンをしに行った。少し遠いけど、次に会うときは自分から会いに行くつもり。

・11月、里親に2人目の子どもが生まれた。それはそれは忙しい人だから、最初に報告を聞いた時はドギマギしたけれど、やはり幸せそうである。東京→東北→東京→香川の移動を1泊2日でこなす化け物体力の人だけれど、流石に年も年だからこのまま大人しく幸せでいてほしい。僕は僕で、毎年の帰省にお年玉をあげられる大人ではありたい。

・人間関係は一期一会派の僕だけれど、この人とはずっと関係が続くといいと思っている人がいる。相手は自分の事を話すことが苦手らしいが、だんだん胸の内を打ち明けてくれるようになったし、弱いところも見せてくれるようになった。僕自身も、自分のパーソナルスペースに人を入れることが苦手だが、向こうになら「いいよ」を出せる。この温度感は、ずっと大切にしていきたい。

「来年やりたいこと書きたいな~」と思っていましたが、今年の「良かった」を言語化する方がいいや、と思ってこっちを書きました。

ここに書いたことはほんの一部に過ぎなくて、ストーリーにしようと思えば無数に物語が生まれるくらい、可能性が秘められた出来事でいっぱいです。

言葉で事実を飾りすぎるのは好みではないから、全てを言語化してここに書くことはしないけれど、それだけ縁に恵まれた1年でした。

今年あった出会いが来年に来ないよう、今年無かった出会いが来年にあると思うので、それはそれでウキウキして待っています。

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