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猫の思い出

今日は猫の日だ。わが家には猫がいなかったことのほうが少ないほど、いつも猫がいた。でもここ十年いない。愛猫ルナを失ったショックから未だに立ち直れていないのだ。ルナは犬のような猫だった。夫の帰ってくる足音を聞いて、ドアの前まで走っていく。夫婦げんかをしていると、困った顔をしてにゃんにゃんと言いながら仲裁をする。誰にでも分け隔てなく接するという気遣い屋さん。(その辺は犬とは違うが)あと音楽が好きだった。とくにクラシック。なんとも優雅な猫だった。音楽をかけているとスピーカーの上に乗って目を瞑るのだ。その時間は止まるまで続く。小さい頃はお腹が弱く下痢しやすい子だった。だから一緒にお風呂に入ってじゃぶじゃぶ洗った。嫌がるルナにキスをした。思い出すだけで涙が出てくる。今でもあの時あのかわいらしい姿を目に焼き付けて箱にしまってしまいたいほどだ。大切な写真は何枚もある。虹の橋に行ってしまった時、アルバムを作った。くりかえし見るルナの姿に癒やされる。時に夫の恋人のようにふるまう猫は、叱ると遠くまで歩いていって机の影に隠れる。そして恨めしい顔でわたしたちを見つめてくる。「あたしはなにも悪いことはしてないのに酷いわ」そう言ってるかのようだ。でもわかっている。ルナは例え悪いことをしてもルナ的にはちっとも悪くないんだって。だから本気で叱った事も怒った事もない。せき込むとベッドから降りていくいくのは偶然だろうか。毎回だから、たぶんわかっているのだ。いつも掃除機でルナの毛を吸っているのを見ている。頭のいい人間のような子。いつまでもいつまでも天国に居ても幸せでいてほしいと願っている。

#猫の日

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